2025.03.10 Mon
ONLINETOPICS

人間科学部社会学科卒業論文報告会
代表3人が研究成果を発表

20250310人間科学部卒論報告会_02▲代表3人による卒業論文報告会
人間科学部社会学科の卒業論文報告会が1月30日、生田キャンパスで開かれ、4年次生3人が教員や後輩らの前で研究成果を発表した。
同学科では16のゼミごとに代表論文を選び、その中からさらに「文化・システム系」「生活・福祉系」「地域・エリアスタディーズ系」の3分野で代表論文を選出している。
今年度は、▽長田和久さん「部活動の地域移行における各自治体の指導者研修」=広瀬裕子ゼミ▽井原楓さん「発達障がいのある子どもをもつ父親のナラティブ研究―父親が抱える葛藤と人生における子どもの障がいの意味づけに焦点を当てて―」=小峰直史ゼミ▽杉崎羽紗さん「『迷惑施設』と行政に対する信頼―神奈川県藤沢市大清水浄化センターの事例から―」=靏理恵子ゼミの3論文が選ばれた。

部活動が学校単位での活動から、地域と連携した活動へと移行が進むなか、長田さんは「指導者の質の保証」という課題に着目。地域移行に向けた実証事業が行われている東京都日野市(民間企業への委託)と板橋区(区による運営)に対して調査を行った。両形式の利点と課題を整理し、民間企業への委託については「認定する仕組みづくり」、市区町村による運営については「都道府県規模でのガイドライン制定」が必要と論じた。
20250310人間科学部卒論報告会_03▲会場からの質問に答える長田さん
20250310人間科学部卒論報告会_04▲障がいに不寛容な社会に対して
声をあげることの大切さを訴えた井原さん

井原さんは、発達障がいのある子どもを持つ父親8人にインタビューを実施。子どもの障がいを自身の人生にどのように意味づけているかを、TEM(複線径路・等至性モデル)という可視化の手法を用いて明らかにした。そのうえで、「理解するだけでは社会は変わらない。当事者だけでなく、すべての人が、障がいに不寛容な現代社会に対して声をあげることが求められる」と強調した。

杉崎さんは、社会的な必要性は認められるが、近隣住民から嫌悪される「迷惑施設」の一例として、藤沢市の下水処理施設を取り上げ、行政と住民の関係性について分析した。新聞や市史、会議議事録などを深掘りするとともに、現地でのフィールドワークも意欲的に行った。建設当初から現在に至るまでの施設の歩みを明らかにし、「PRイベントや施設見学を通じた交流が、住民との信頼関係構築に重要な役割を果たした」とまとめた。

20250310人間科学部卒論報告会_05▲「迷惑施設」と近隣住民の関係性について
考察した杉崎さん
これから卒業論文執筆に臨む後輩たちに対して、長田さんは「計画性が大事。まずは目的を明確にすると良い」、杉崎さんは「人生で一度の貴重な機会なので、テーマ設定も含めてチャレンジしてほしい」とアドバイスを送った。井原さんは、さまざまな困難や葛藤があった執筆期間を振り返り、「インタビューに協力してくれた方々を裏切れないという気持ちや、ゼミの先生、仲間の存在が大きな支えとなった」と語った。

関連情報