2024.05.17 Fri
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シンポジウム「裁判員制度15年の成果と課題」

20240517裁判員制度_01▲裁判員制度15年について幅広く意見を交わしたシンポジウム
専修大学法学研究所は5月11日、神田キャンパスでシンポジウム「裁判員制度15年の成果と課題」を開催した。元裁判官や弁護士、ジャーナリスト、裁判員経験者など10人が登壇し、制度の成り立ちとこれまでの経過、今後の課題について活発な議論を交わした。専修大学法学研究所、裁判員ラウンジなどの主催、日本弁護士連合会(日弁連)の共催。約50人が来場したほか、約150人がオンラインで視聴し、関心の高さをうかがわせた。
最初に日弁連副会長の坂口唯彦氏が「12万人を超える市民が裁判に参加し社会に定着しつつあるが、問題はまだまだある。さらによい制度にしていかなければならない」とあいさつした。

第1部は「裁判員制度の15年を振り返る」をテーマに5人が講演した。共同通信社編集委員の竹田昌弘氏が裁判員制度導入の経緯や15年間の司法上の出来事を解説。元裁判官の村山浩昭氏は、裁判員制度スタート時の状況について「手探り状態だった。法廷で見て、聞いて分かる裁判にしようとわくわくした」と振り返った。講演を受け、飯考行法学部教授をコーディネーターに、パネルディスカッションが行われ、制度導入後の変化などを話し合った。

第2部の「課題と展望」では、さまざまな視点から見えてきた問題点が提起された。日弁連が2012年に提出した「裁判員裁判に関する改革提案」を取りまとめた弁護士の前田裕司氏は「残念なことに意見はほとんど反映されていない。より充実した制度にするためにもさらなる提案をしていきたい」と話した。
また、裁判員ネット代表で弁護士の大城聡氏は2023年から対象年齢が18歳以上に変更された点に言及し、「制度開始以来もっとも重要な変更にもかかわらず、議論がされないまま突然決まった。そのため、環境整備が不十分だ」と強調した。
最後に飯教授は「裁判員制度への関心が薄れてきているが、メリットも多く、改めて議論していくことが大切だ」と結んだ。
20240517裁判員制度_02▲第2部のパネルディスカッション
20240517裁判員制度_03▲15年を機に「改めて議論していくことが大切だ」
と総括した飯教授

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