2023.03.24 Fri
ONLINETOPICS

2022年度卒業式・学位記授与式
コロナ禍を乗り越え 日本武道館で挙行

2022年度卒業式2 外観
2022年度の卒業式・学位記授与式が3月22日、東京都千代田区の日本武道館で、午前と午後の二部制で行われた。学部(一部・二部)卒業生、大学院修了生、法科大学院修了生、計約4,000人が満開の桜の下、新たなステージへ旅立った。

式では佐々木重人学長が各学部総代に学位記を授与。優れた成績を収めた学生に与えられる川島記念賞では50人が表彰された。

佐々木学長は式辞で「苦しかったコロナ危機を乗り越えた自分自身を肯定し、本学で学んだことにプライドを持って、堂々と楽しく人生を歩んでほしい」と餞の言葉を述べた。

祝辞で松木健一理事長はコロナ禍でも奮闘した学生の門出を祝い、日髙義博総長は専修人としてのこれからの活躍に期待を寄せた。

午前の部(経済・法・経営・大学院経済学研究科・同法学研究科・同経営学研究科・法科大学院)で総代謝辞を述べた小城まどかさん(経営)はコロナ禍の学生生活を振り返り「先が見えない不安の中、努力を続けたことで、困難に屈しない心が培われた。コロナ禍という前例のない道を進んできた私たちだからこそ、新しい時代を生きる力や可能性を信じて、未来への一歩を踏み出す」語った。
2022年度卒業式4 小城さん▲「困難に屈しない心が培われた」と大学生活を振り返った総代謝辞の小城さん(午前の部)
2022年度卒業式4 藁科さん▲「互いを尊重し、支えあえる社会を築いていきたい」と誓った総代謝辞の藁科さん(午後の部)

午後の部(商・文・ネット情報・人間科学・大学院文学研究科・同商学研究科)の総代謝辞は藁科佳奈さん(人間科学)。「専修大学での学びは何物にも代えがたい大切な時間だった」とし、「不確実な未来でも、周囲と手を取り合うことで、前に進んでいけると信じている。互いを尊重しながら支えあえる社会を築いていきたい」と誓った。

また午前の部では、川島記念体育賞総代の森重航さん(経営・スピードスケート部)と、同賞受賞の菊地吏玖さん(経営・野球部)がステージに上がり、「コロナ禍で苦労した経験は、今後社会に出て生きていくうえで役立つ」(森重さん)、「最後に味方してくれるのは自分自身。自分を信じ、やり続けることが大事だ」(菊地さん)と同窓生に力強いメッセージを送った。

式は4年ぶりにご家族も参列して開催された。学位記を受け取った卒業生・修了生は、うららかな春の陽を浴び、千鳥ケ淵の桜を満喫しながら、友や恩師との別れを惜しんでいた。
2022年度卒業式5 森重さん、菊地さん▲同窓生にメッセージを送った森重さん(左)と
菊地さん

佐々木重人学長式辞

2022年度卒業式6 佐々木学長
本日、専修大学の学部・大学院・(法科大学院)それぞれの課程を修了し、学位を取得された皆さん、ご卒業おめでとうございます。

新型コロナの影響は、一定程度に抑えられておりますが、本日の式典は、座席の間隔に余裕を持たせるため、午前午後の2回に分けて挙行することといたしました。ただし、会場内でのマスクの着用は各自の判断に委ねることといたしました。油断は禁物ですが、ポストコロナ時代の始まりを感じさせる現状に少し安堵しております。これまで、学内外での感染防止対策にご協力をいただいた皆さんにこの場を借りて深く感謝したいと思います。

また、保護者の皆様にも、謹んでお慶びを申し上げます。加えて、コロナ対策として2020年度から始まったオンライン授業への対応など、これまで本学の教育活動に物心両面で皆様からお力添えをいただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
学部卒業生の皆さんは、本学に入学した2019年度からの4年間を、今どのように振り返っていらっしゃるでしょうか。皆さんは、本学で、コロナ前の1年、コロナが猛威を振るった約2年半、そしてコロナが収束に向かった、ここまでの半年を過ごされました。2019年度は、本学にとって、あらたに経営学部ビジネスデザイン学科および文学部ジャーナリズム学科の学生募集を開始した年度でもあり、本日は、両学科第一期生の卒業式でもあります。また神田キャンパスでは、高層新校舎の建設も進捗し、翌年の商学部移転や国際コミュニケーション学部新設の準備が整うことで、来る2020年の本学創立140周年を迎えるばかりとなっておりました。

しかし、コロナの影響から2020年度前期は、対面での授業を原則すべてオンライン授業に切り替えました。皆さんにとっては、まさに急転直下、激動の2020年であったと思います。当初、先生方も慣れないオンライン授業の準備や運営に四苦八苦でありましたが、皆さんは、辛抱強く対応してくださいました。前期末に実施したオンライン授業に関するアンケート結果でも、オンライン授業の利点を指摘する意見をいただきました。

その一方で、改善の必要がある深刻な問題提起も多くいただきました。そのなかでも未だ忘れられない回答があります。それは、「各授業の終了後に課題として提出することを求められるレポートの分量が多いので、徹夜しても間に合わない」という悲鳴にも近い自由回答です。他方、その年の皆さんの単位の修得状況は、例年よりも良好に推移したという興味あるデータも報告されました。

2021年度は、感染防止対策のもと、対面授業の割合を徐々に増やしてゆきました。当時3年次であった皆さんには、週あたり2回ほど通学してもらうように設計しました。この頃になると、皆さんのオンライン授業に係る科目選択、サイバー上のディスカッションやコミュニケーション技術、課題作成などがスキルアップしたせいでしょうか、2021年のオンライン授業に関するアンケートに寄せられた回答のなかには、「教授側にも撮影、録音、動画編集といったスキルが求められ、かなりの負担がかかっているのではないかと感じます。その負担のせいで授業の進め具合に支障をきたしていた授業もありました」という少し辛口ですが、先生を気遣う意見や「動画の授業は、普通の対面授業には設けられている学生側の筆記を待つ空白の時間が削られているためその分を学生側が動画を停止して筆記する時間をとる必要が出てきます。仮に90分の動画で一度も途切れずに解説されているものがあったとしたら、実際に学生がその授業にかける時間は2時間強になると思います」という学生目線に立った技術的アドバイスもいただけるようになりました。
 
2022年度を迎えるにあたり、本学は、皆さんにとって大学生活の最後となる1年を、対面中心の授業運営で進めようと決めておりました。しかし、それは、単にコロナ前の学修環境を再現するというものとは、質的に大きく異なっていたことは注意すべきであります。期せずして皆さんは、対面授業の重要性を体感しつつも、その学生生活の随所で、オンラインスキルを縦横に駆使している姿がありました。例えば、就活でのオンライン選考、学内外の各種コンペで求められるオンラインプレゼン、オンライン留学、国際交流協定校の学生とのオンラインゼミナール等を苦もなくこなしている様子を見るとき、今後皆さんは、いわば「オンラインネイティブ」として、デジタルデバイスを自然に操り、自由な発想で新たな価値を産み出すことの得意な世代となる予感がしております。是非、苦しかったコロナ危機を乗り越えた自分自身を肯定してもらいたいと思います。
 
「質実剛健」および「誠実力行」は、本学の学風とされておりますが、それは、何事にも自分らしく自然体で、心身を鍛えながら、誠実に人生を歩むという誓いが込められております。皆さんが学部に入学された2019年度の入学式において、私は、皆さんに二つのお願いを申しあげました。第一は、自分のライバルは、他人ではなく、自分自身であり、4年後になってみたい自分となるために懸命に努力し、少しずつ成功体験を積み上げてほしいと申しあげました。このことは、これからの人生においてもまったく変わらないと肝に銘じてほしいと思います。

二つ目のお願いは、いわゆるソサエティ5.0で、皆さんが本学で身につけた専門知識や技能を活かすためのスキルといえるデータサイエンスを積極的に学ぶよう勧めたことです。本学では、全学部で本年度から「Siデータサイエンス教育プログラム」をスタートさせましたが、皆さんにとって、このプログラムがこれからのさらなるスキルアップの動機付けとなったとしたら幸いです。専修大学の生き残り戦略は、「活躍する卒業生の姿を見せること」にあります。是非、本学で学んだことにプライドを持って、堂々と楽しく人生を歩んでください。

また、本年度をもって二部経済学部、法学部、商学部をご卒業される皆さんに一言申しあげます。本学は、1880年に夜間の経済と法律専攻の「専修学校」として創立されました。現在の二部が設置された1929(昭和4)年から94年を迎える今年、2019年度の最後の学生募集で入学された多くの皆さんが卒業されます。二部教育のレガシーは、今後とも本学の教育目標に受け継がれ、学部、大学院及び法科大学院教育の枠組みのなかで、夜間時間帯で展開される授業や社会人向けのリカレント教育という形になって、活かされてゆくことでしょう。過日、二部学生会からも活動終了の報告を受けるとともに、学生会費の残額がすべて本学に寄付されました。この場を借りて、あらためてお礼を申しあげます。
 
最後に、SDGs目標16.は、「平和と公正をすべての人に」でありますが、今もロシアによる軍事侵攻によりウクライナの無辜の市民の命が奪われている悲劇に心が痛む日々が続いております。一日も早く、ウクライナにまた平和が戻ることを祈りつつ、学長式辞といたします。
 
令和5年3月22日
専修大学 学長 佐々木 重人
2022年度卒業式フォト17
2022年度卒業式フォト7
2022年度卒業式フォト6
2022年度卒業式フォト8
2022年度卒業式フォト11
2022年度卒業式フォト10
2022年度卒業式フォト14
2022年度卒業式フォト13
2022年度卒業式フォト16