2023.01.12 Thu
ONLINETOPICS

「学長伝書鳩」No.21
「佐々木さん」と呼ばれて・・

  伝書鳩no21

■ハラスメントのないキャンパスへ
最近、本学のキャンパス・ハラスメント対策室が教職員と学生に向けて発信した「ハラスメントのないキャンパスへ2022-⑦」・「呼び方、呼ばれ方について」と題するコラムを拝読する機会があった。その内容とは、私たちが人を呼ぶ時に、「あだ名」や「呼び捨て」、「くん(ちゃん)」を親愛の情を込めて使用することがあるが、それと裏腹に人を傷つける場合もあるかもしれないというものである。同コラムは、自分たちの常識・当たり前が、ハラスメント的な言動になっていないか、ぜひ「振り返りの機会」を持ってほしいと提案している。

■学部学生時代の恩師
私は、このコラムを読んで、自身が本学商学部の学生だった頃(1974年度~77年度)、ゼミナールでご指導いただいた檜田信男先生のことを思い出した。檜田先生は、(他)大学を定年退職後も旺盛な研究活動を元気に続けていらっしゃったが、2022年3月11日に92歳にて急逝された。コロナ禍の影響で、ご葬儀は、ご家族のみにて執り行われ、「偲ぶ会」が同年の10月8日に開催された。しかし、私は、その直前に「濃厚接触者」となってしまい、自宅待機の必要があったため、残念ながらその会には出席することができなかった。

檜田先生は、ゼミナールで、若い我々ゼミ生を呼ぶときに、性別や学年に関係なく、必ず「・・さん」とおっしゃっていた。したがって、私に対しても、先生は「佐々木さん」と、ゼミナールの時間に限らず、個人的な面談や電話口でも使われた。先生から「佐々木さん」と呼ばれた時、私は、なにか自分が少し大人として扱われているような、また背筋がピンと伸びるような心持ちがしたという記憶がある。

■「専修大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に向けて
今、誰に対しても「・・さん」と呼ぶ意味には、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)、とりわけLGBTQへの理解促進にも繋がるという考えが含まれているとされる。本学は、SDGsの達成に向けた取り組みを積極的に進めているが、ダイバーシティ&インクルージョンは、SDGsの17の目標すべての底流にある考え方でもある。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは、人種、民族、国籍、性別、性自認、性的指向、年齢、言語、宗教、信条、出身、婚姻の状況、家族関係、ライフスタイル、障がい、疾患、経歴等の事由にかかわらず、それぞれの個を尊重し、認め合い、良いところを活かすという考え方を意味する。

今後、当職としても、「専修大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言」の策定に取り組み、その啓発に努めてゆきたいと思う。また冒頭に紹介したコラムが提案した「振り返りの機会」を心がけ、可能と思った場面では、檜田先生のように、「・・さん」と呼んでみたいと思う。