2022.08.09 Tue
ONLINETOPICS
ウクライナ取材を通じて考える戦争報道
文学部ジャーナリズム学科と現代ジャーナリズム研究機構
「表現の自由」考える連続講演会を開催

須賀川さんは、これまでにアフガニスタン、イスラエル、パレスチナなどの紛争地帯で取材を続けてきた。戦争取材はフリーランスの記者に頼ることが多かったが、ウクライナでは、入念な準備の後、TBSの各支局が連携し、3班が順番に現地入りして取材する体制が取られたと、大手メディアの変化を説明した。
現地からの報告として、ハルキウ郊外で行われた兵士の遺体回収の現場が上映された。爆弾が仕掛けられている恐れがあるため、遺体に紐をひっかけ、引っ張り出す様子を記録した。また、クラスター弾が打ち込まれ、鉄の扉を貫通した跡、森の中に散乱する金属の破片なども生々しい映像で伝えた。

綿井さんは1990年代後半からジャーナリストとして活動を始め、アフガニスタン、イラク戦争などの実態を伝え続けている。ウクライナ・ブチャには、虐殺行為の取材のために世界中のマスメディアが訪れた。その様子を綿井さん自身が撮影し、レポートした動画を会場で流した。「現在は世界中の人がスマホでさまざまな情報を発信できる時代になった。それでも日本人記者が日本語で伝えることに意味がある」と強調した。また、フリージャーナリストの立場から、戦争取材にかかる多額の費用、安全の確保、放映の機会の有無などといった課題にも触れた。
シンポジウムは「専修J『表現の自由』を考える連続講座」の3回目。初回(7月2日)はメディア総合研究所事務局長・岩崎貞明さんが「攻めて守る表現の自由~『表現の不自由展 東京2022』」と題して基調講演。16日には弁護士の宮下萌さんが「ネットヘイトに焦点を当てて」をテーマに講演した。毎回、山田健太文学部教授が司会を務めた。


