2022.06.24 Fri
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外国語のススメ【第120回】リスニングの練習に最適の勉強法は?

                                                                         国際コミュニケーション学部准教授   宮田 宗彦 
(外国語教育研究室長)
(応用言語学〈第二言語習得・英語教育学〉)
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 外国語のリスニングスキルを上達させるトレーニングの方法には様々なものがありますが、その中でもディクテーションはとても有効な方法として知られています。ディクテーションとは、音声を聞いて1語1語正確に書き取るという勉強法です。例えば、英語のリスニングを上達させたいのであれば、英語の音声とスクリプトを用意し、何度か聞いて英文を書き取ります。書き終えたら、スクリプトと突き合わせます。その際、書き取ったものとスクリプトの違いを確認し「なぜ聞き取れなかったのか」をきちんと分析する作業を繰り返し行うことで、結果的にリスニングの力を大きく伸ばすことができます。
 外国語の音声が聞き取れないということには実は多くの要因が絡むのですが、その要因の中で最も重要なものは次の三つです。語彙の不足、音声の誤認識、そして文法理解の不足です。ディクテーションは、この3つの問題点を抽出し、その不足を補い学ぶ機会を与えてくれる良いトレーニング方法なのです。     
 最初の語彙の不足ですが、ディクテーションを行った際、聞き取りの結果とスクリプトを突き合わせ、自分の聞き取れなかった部分が知らない単語やフレーズだった場合、聞き取れない原因は語彙の不足ということになります。この場合、聞き取れなかった単語やフレーズを繰り返し聞き、覚えていくことで、リスニングが向上します。
 次の音声の誤認識ですが、ディクテーションを行った際、聞き取れなかった部分が既に知っている言葉であったり、あるいは書かれていればわかるのに音声のみでは聞き取れなかったりした場合、その原因は音声の誤認識ということがわかります。この場合、聞き取れなかった部分がどのように発音されているのか繰り返し聞き、その発音に慣れ、音声を正しく認識していくことで、リスニングが向上します。
 最後の文法理解の不足ですが、文が全体的に聞き取れなかったり、あるいは文の一部が全く抜け落ちるように聞き取りができていなかったりした場合、その原因の多くが文法理解の不足ということになります。この場合、聞き取れなかった部分、あるいは全体がどのような語順により成り立つものかを理解し、その文法を学び直すことで、リスニングが向上します。ディクテーションは継続的に行うと、リスニングを劇的に上達させることができるとても有効なトレーニング方法です。