2022.05.17 Tue
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「18歳で裁判員⁉」シンポジウム
年齢引き下げの課題や対応策を考える

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今年4月から裁判員に選ばれる年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられたことを受け、課題や対応策を考えるシンポジウム「18歳で裁判員⁉」が5月14日、神田キャンパスで開かれた。法学研究所、裁判員ラウンジ(法社会学ゼミ)など主催。
オンライン配信とのハイブリッド方式で開催され、95人が参加した。
 
昨年5月、少年法の一部改正に伴い、裁判員年齢の引き下げが決まった。早ければ2023年2月にも18歳、19歳が裁判員になり、刑事裁判に参加することになるという。
2022051718歳裁判員シンポジウム02▲大学生の裁判員就任増加への対応について報告する飯教授
第1部では、裁判員制度に詳しい弁護士や研究者が報告。年齢引き下げについて周知や国会での議論はなく、長らく裁判員制度にかかわってきた大城聡弁護士は「まさに寝耳に水。裁判員制度開始以来最も重要な変更であるにもかかわらず、何の議論もなかった。プロセスに大きな問題がある」と指摘した。

飯考行法学部教授は、大学生の裁判員就任が倍増することについて論じた。裁判員に就任した際の授業や試験への配慮は大学によって異なると指摘。飯教授が大学100校を対象に行ったアンケート(45校回答)では「不利益への配慮あり」が本学など20校。「特段の配慮なし」は15校だった。飯教授は「学生は辞退できるが、公民権行使の一つとして裁判員を務めたい学生に対し、制度的な配慮を整備しておくことが望ましい」と語った。明治大学の藤井剛特任教授は、今春から高校で導入された新科目「公共」と法教育について説明した。
第2部では、18歳の当事者や裁判員経験者を交え、パネルディスカッションを行った。
20歳で裁判員を経験した女性は、「評議では、学生だから意見を言えないと思ってほしくなくて、必死で考えて発言した。社会経験がない学生が人の人生を左右するような判断を下していいのかという思いが、裁判が終わってから強まった」と当時を振り返った。これに対し牧野茂弁護士は、「社会経験がなくても、若者らしい正義感に基づいて堂々と発言していい。それこそが裁判員裁判の主旨だ」と話した。

18歳の金尾純令さん(法1)は、年齢引き下げについて最近まで知らなかったとして、「中学高校で、裁判員制度についてわかりやすく教えてほしい。もし選任された場合は引き受けたいと思うが、学生が不利益を被らないよう授業の公欠制度や心理的サポートがあればいいと思う」と語った。
2022051718歳裁判員シンポジウム▲パネルディスカッションで発言する金尾さん(右から2番目)

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