2022.02.22 Tue
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS
外国語のススメ【第117回】英語の方言や訛りの聞き取りについて
国際コミュニケーション学部准教授 宮田 宗彦
(外国語教育研究室長)
(外国語教育研究室長)
(応用言語学〈第二言語習得・英語教育学〉)

リスニングの勉強をするときに, 英語の方言や訛りについてどのように聞き取りの練習をすれば良いか頭を悩ませている方々がたくさんいらっしゃいます。特に最近トーイックで出題されるリスニング問題での方言や訛りについて質問を受ける回数が増えました。トーイックの試験ではアメリカ英語, イギリス英語, カナダ英語, そしてオーストラリア英語の4つの英語の方言や訛りによるリスニング問題が出題されるので, それぞれどのように違うのか, 又どのように聞き分ければいいのか勉強方法がわからないというところがその質問の理由になっています。
厄介なのは, 訛りの聞き取りです。ある訛りでは聞き取れる言葉が, 他の訛りでは全く別の言葉や, 知らない言葉に聞こえてしまうことがあります。ひとくちに, アメリカ英語, イギリス英語と言っても実は地方や人種により多くの訛りが存在しますが, 誤解を恐れずに言えば, 大まかに訛りによるそれぞれの特徴を覚えて, トーイックのリスニングに対応することができないわけではありません。例えば, アメリカ英語やカナダ英語では /r/ の発音を伸ばして発音しますが, イギリス英語やオーストラリア英語 /r/ の発音はあまり強調されません。このような違いを覚えれば, アメリカ英語やカナダ英語ではdoorは「ドア」と発音しますが, イギリス英語やオーストラリア英語ではdoorは「ドー」になることが理解でき, 聞き取ることができるようになります。しかし, 膨大に存在する訛りのルールを1つずつ覚えて, 実際の問題に対応するにはかなりの時間と労力がかかります。それではどうすればいいか。 実は多聴によって, 訛りに慣れることが最も早道ではないかと考えられています。トーイックの過去の問題を使い, それぞれ訛りのある英語を何度も繰り返し聞き, その特徴に慣れていくことで, 聞き取りの能力が伸びると考えられます。