2021.11.25 Thu
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第114回】コネクテッドスピーチについて

                                                                         国際コミュニケーション学部准教授   宮田 宗彦 
(外国語教育研究室長)
(応用言語学〈第二言語習得・英語教育学〉)
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 なぜ英語のリスニングはこんなに難しいのかと辟易してしまうことはありませんか。言っていることが全然聞き取れないので, 実際になんて言っているのか確かめようとスクリプトを見ると, 音声と書いてある英文と全く違うじゃないか, なんて思われることがあるかもしれません。語彙や文法の知識, 読解力も十分あるのに英語が聞き取れない, こんな風に悩まれる方がたくさんいらっしゃいます。 英語のリスニングの難しさの理由の一つにコネクテッドスピーチという現象があります。日本語のように音節をはっきり区別して発音する言語と異なり, 英語は単語と単語が連続すると, まるで単語どうしがのりでくっついてしまったかのように音が混ざり, 変化する言語なのです。我々が英語のリスニングで苦労するのはこのためです。
 コネクテッドスピーチの中でよく聞く例はwaterでしょう。「ウォーター」と発音はせず,「ワーラー」と発音します。これはtの後ろに母音が来たときにtが [l ]や[d ]に近い音に変化する為です。get out 「ゲラウ」, it is「イリィズ」, not at all 「ノラロー」などが例として挙げられます。同じ子音が重なると2つの音が1つの音として発音される変化が起きます。例えば, bad dogは「バッドッグ」wet towelは「ウェッタウル」になります。消えてなくなってしまう音もあります。tやdは2つの子音に挟まれた時, 無音となります。例えばnext weekは「ネクスウィーク」だし, Christmasは「クリスマス」ですね。つながって1つになる音というのもあります。子音で終わる言葉の後に母音で始まる言葉が続く場合, 最後の単語の子音と最初の単語の母音の音が合体して1つの音に変化します。例えば, an apple は「アナッポ」, tell usは「テラス」, a cup of coffeeは「アカッパカーフィー」になります。様々なコネクテッドスピーチの音の変化が重ねて起きる例ですが, Did you eat yet?(もうご飯食べた?)という意味の英文の実際の発音は「ジュイーイェッ?」なのです。
 ここで紹介したコネクテッドスピーチの例はたくさんある中のほんの少しですが, 音のつながりを意識し, 音と文字のつながりに注意をしながら英語を学ぶ機会を増やしてみてはいかがでしょうか。コネクテッドスピーチを意識的に学ぶと, 聞く力が上がり, 更には英語らしい発音ができる様になり, リスニングとスピーキングの力を劇的に向上させることにつながります。