2021.05.18 Tue
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第110回】言葉は音からできている!

                                                                         商学部准教授   中原 孝信 
(マーケティング情報・モデルとデータ分析)
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 私は、在外研究のためにアメリカのメリーランド大学で2018年度の1年間を過ごしました。メリーランド大学には著名なマーケティング研究者が多く在籍しています。その方々と一緒に共同研究をして一年の滞在期間中に研究成果をあげることを目標にしていました。これまでも英語を利用する機会はありましたが、アメリカで長期間生活することは始めてで、言葉の壁や文化の違いを肌で感じる素晴らしい経験ができました。
 最初の壁は複数人のネイティブとの会話でした。日本にいるときから、ネイティブ同士の会話は、話の展開や会話のペースが速いということを聞いていましたが、速さだけではなく、英語には音声変化がたくさんあり、それを知らないとフレーズを聞き取れないことに気づきました。そのきっかけは次のフレーズでした。「ツィーニーダワーヘル?」んん?どういう意味。後でホストに聞いたら「Does he need our help?」でした。「ダズ ヒー ニード アワー ヘルプ」って発音しないの!?
 実は文章とそれを読むときの音が違うのです。これをきっかけに調べたところ英語には「連結」「脱落」「同化」など、フランス語と同じように音声変化があることを知りました。実はこのルールを知らないと聞き取れないフレーズがたくさんあるのです。例えば、「脱落」だとsome moreは「サム モア」ではなく「サモア」になります。これまでも確かにgoing to を「gonna」と発音することなど知っていましたが、そこには明確なルールがあることを知りませんでした。英語でテキストを見ながら音声を聞いている場合に、自分が読む音と聞こえてくる音が大きく異なる場合は、音声変化が原因かもしれません。
 日本語の場合は主語がよく省略されます。とくに話し言葉では主語を省略して楽をすることがよくありますが、英語の場合は音声変化によって楽をしているのです。日本語では、音を細部まで完全に聞き取って会話をしているので、日本語ネイティブの人からすると聞き取れない音というのは信じられないですが、英語の場合はネイティブでも全てを細部まで聞き取れていない場合もあるとのことでした。まさに言葉は文字からではなく、音からできたということを強く実感した経験でした。