2021.01.30 Sat
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第107回】外国語の学習法について

                                                                         国際コミュニケーション学部准教授   宮田 宗彦 
(外国語教育研究室長)
(応用言語学〈第二言語習得・英語教育学〉)
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 「外国語を学ぶのに一番の勉強法は何ですか?」
 このような質問を受けることが度々あります。効果的な学習方法を求める気持ちは良く理解できます。なぜなら、外国語の学習は長く険しい道のりであることに加え、長く学習を継続していてもなかなかその効果が実感できないことが多いからでしょう。そこで、なかなか上達しないのは、今やっている勉強法が悪いからではないか、もっとより良い学習法があるのではないかとお考えになるのではないかと思います。
 世の中にはさまざまな外国語の学習法があります。学校教育で広く行われる訳読と文法中心の学習、会話学校などで取り入れられているコミュニケーション中心の学習、マルチメディアを利用したCALL学習、またはテレビ等で宣伝される語学教材を購入し利用する学習法など、さまざまな例を挙げることができます。 
 一番の学習法とはどのようなものでしょうか。実は、どの学習法が最も効果的かということを決めることはできません。「語学に王道なし」と言われるように、何か特別で効果的な学習法が存在するわけではないのです。しかし逆に言えば、どのような学習法にも効果はあるのです。それぞれ一長一短はありますが、一見異なるさまざまな学習法に共通する特徴があることが明らかになっています。学習する際に、この特徴に注意して学習体験を重ねていけば、どの学習法でも、効果を期待することができるでしょう。特徴の一つは理解優先ということです。言語というものは聞くこと、読むことを理解することにより習得される、というものです。理解を優先して、聞くこと、読むことに大量に触れることにより、習得が起きます。
 もう一つの特徴は聞くこと、読むことに対して、外国語で表現する機会を持つことで習得が起こります。端的に言えば、内容理解のためだけに聞いても読んでも単語の意味さえわかれば文の大体の意味がわかることが多いので、細かい言葉の形式のところまで注意がいきません。ところが外国語を使って表現するとなると細かいところまで注意がいかないと表現できません。 聞くこと、読むことの理解と共に、聞くこと、読むことに対して表現をすることで、必要な言葉の形式を学ぶ機会をたくさん持つということです。
 理解と表現、この二つの特徴を合わせ持つ外国語学習法であれば、どのような方法でも効果が期待できます。どれだけ多く理解と表現の機会を持つことができるかでその学習の効果が測れるでしょう。