2020.12.25 Fri
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第106回】外国語学習の動機について

                                                                         国際コミュニケーション学部准教授   宮田 宗彦 
(外国語教育研究室長)
(応用言語学〈第二言語習得・英語教育学〉)
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 皆さんが外国語を学ぼうとする理由は何でしょうか?すでに外国語を学ばれている方も、これから外国語の勉強を始めようとされている方も、外国語を学ぶ動機があり、外国語の学習に関心を持たれていると思います。
 日常的な言葉で言えば、動機は「やる気」を意味します。この「やる気」は一体どこから来て、どのような形をしているのでしょうか。そしてこの外国語を学ぶ「やる気」が、学習の成果に大きな影響を与えることをご存知でしょうか? 第二言語習得における動機づけについて、初期の研究では、外国語学習に影響を与える動機には外発的なものと、内発的なものとが二つ存在すると考えられました。
 
 外発的動機を持つ学習者は、良い仕事や待遇を得たい、あるいは良い学校に入学したいなどの外発的な理由によりその外国語を学びます。一方で内発的動機を持つ学習者は、学習対象の言語の言葉や文化を理解し、その言葉や文化に親しむことに強い動機を持ちその言語を学ぶというものです。しかし研究が進むと、この外発的動機と内発的動機は独立する二つのものではなく、連続し発展するものとして捉えられるようになりました。全く動機 づけられていない状態から、外発的に動機づけられた状態を経て、内発的に動機づけられている状態まで段階的に繋がっている一つのものだと考えられるようになったのです。
 内発的動機と外発的動機を繋がる連続体と捉えると、最初は動機のない状態から始まります。この状態では自分では何も決めず、何も動機づけられていません。例えば「英語が嫌いで全然やりたくない」などという場合がこれに当たります。次に続くのは「英語は必修科目だから仕方なく勉強する」などといった状態で、動機が全く外発的です。しかしその次の段階になると動機を自分で決めるようになります。「大学生にもなって英語くらいできないと恥ずかしいから勉強しよう」などという場合がこれに当たります。さらにもう一歩進むと、動機がさらに個人的なものに変化していきます。「英語を使う仕事につきたいから勉強しよう」などという場合がこれに当て嵌まります。
 そして最終的には内発的に動機づけられた状態に至ります。この段階ではその外国の言葉や文化に親しむことを強い動機とし、その言葉を学ぶことそのものを楽しみにするようになります。皆さんの外国語を学ぶ動機はどのようなものでしょうか。自身の動機を捉えることができれば、学習の成否を占うことができるでしょう。