2015.11.17 Tue
ONLINETOPICS
山岳部・橘井駿さんがヒマラヤの未踏峰ザニェII峰登頂成功
山頂への足跡を目に焼きつけた
「やったぞ」――10月4日午後零時5分(現地時間)、ネパール東部にそびえる未踏峰、ザニェII峰(6318メートル・カンチェンジュンガ山群)の頂上に立った橘井駿(きつい しゅん)さん(法3・山岳部)は、他の5人の仲間たちと抱き合って初登頂を喜んだ。励まし合い、力を合わせて成し遂げた快挙。みんなの目には涙がにじんでいた。「学生だけでヒマラヤのだれも登ったことのない山に挑戦しよう」。日本山岳会の創立110周年記念事業での呼びかけに、首都圏の大学山岳部員など男子学生6人が名乗りを上げた。その一人が専大山岳部の橘井さん。専大山岳部員の海外遠征は2013年以来。
故郷仙台市では小中高と野球に打ち込み本格的な登山は大学から。高校の恩師にパキスタンの山の写真を見せられ登山にあこがれていた。山岳部で冬山や岩登りを体験したものの海外での登山は初めて。
目指す前人未到のザニェII峰は情報がほとんどない。「とてつもなく大きなチャレンジになる」と橘井さんの胸は高まった。
真下孝典さん(青学大4年)を隊長に学生遠征隊が編成された。橘井さんらは高地対策などの訓練に励み、国内では5回事前合宿を行った。
一行は9月3日にカトマンズ入りし29日に登山活動を開始。やはり未踏のローナク峰(6070メートル)の登頂も予定されていたがルート作りが困難で断念。現地ガイドやコックと別れ、ベースキャンプから上部のルート工作、荷揚げなどは学生たちの手で行った。
途中、高山病で体調を崩す隊員も出た。隊員たちは話し合いを重ね、「なんとしても6人全員でザニェIIの頂を極めよう」と決意を新たにした。通信・気象を担当した橘井さんは登頂2日前のルート作りを担った。
登頂日。ルートのほとんどは氷河に覆われ、隠れているかもしれないクレバスに注意を払いながら一歩一歩踏みしめていった。山頂への最終の道は急峻な雪の斜面。ロープを使い5メートルほど登っては休む、を何回か繰り返し最後の力を振りしぼって頂に着いた。刻み続けた雪上の足跡を目に焼きつけた。
6人が立つといっぱいになる小さな頂上からパノラマの視界が広がる。雪化粧したネパール側の山々と中国側の肌むき出しの茶色の山々と抜けるような青い空。雄大なコントラストに目を奪われた。
「無事下山したときの達成感こそ登山の面白さ」――橘井さんらは10月23日帰国。再会した山岳部主将の前田翼さん(文4)から「たくましくなった。やりとげた自信が顔に表れている」と肩をたたかれると、はにかんだ笑顔を見せた







