2017.06.02 Fri
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外国語のススメ【第75回】ガリレオ・ガリレイ (Galileo Galilei)

法学部教授 水崎 高浩(物理学担当)
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子どもの頃、ガリレオについて習った時、ガリレオ・ガリレイという名前になんとなく不思議さを感じた。ガリレオなのかガリレイなのか。それから十数年後、駆け出しの研究者として、ガリレオの祖国イタリアに出かけた。イタリアで行われる国際会議に参加するために。当時、国際会議に行く時は、時間があれば、訪れる国の歴史を振り返り、挨拶程度の新しい言葉を覚えたりしていた。この会議の時は、なぜかいつもよりもすこしだけ熱をいれて語学の勉強をした。ガリレオへの思いがあったからかもしれない。
イタリア語にも、他のヨーロッパの言語のように単語には性・数があるが、便利なことに単語の最後のアルファベットで判別できる場合がある。例えば、ペペロンチーノ(peperoncino)のようにoで終わる単語は男性名詞になり、パスタ(pasta)のようにaで終わる単語は女性名詞になる。ただし、ラテlatteのようにeで終わるものには男女を決める規則はない。これを適用すると、ガリレオ(Galileo)はoで終わるので男性名詞になる。しばらくして、同じ話題が物理学会誌の小さなコラムにも取り上げられており、iで終わるガリレイ(Galilei)はGalileoの複数形であり、ガリレオ家を表すとも記されていた。つまり、ガリレオ・ガリレイは、ガリレオ家のガリレオという意味になる。どこかに引っかかっていた疑問がついに解けたような小さなよろこびを感じた。

※ガリレオ・ガリレイ:16−17世紀に活躍したイタリアの物理学者・天文学者であり、実験と理論に基づく近代科学を始めた人。振り子の等時性、慣性の法則、太陽の黒点などを発見した。また、当時発明された望遠鏡を夜空に向け、月の凸凹や木星の衛星(ガリレオ衛星と呼ばれる)を発見し、天文学の草分けとなった。写真のガリレオ像は天体望遠鏡をもっているのに着目してほしい。

写真:フィレンツェのウフィツィ美術館の入り口広場にあるガリレオ像
(法学部 大井万紀人教授 撮影・提供)