2018.06.01 Fri
CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第84回】単語学習から連語学習へ

法学部准教授 八島 純(英語)
【第84回】単語学習から連語学習へ
決まった語の組み合わせから成る表現を「慣用句(成句)」や「イディオム」と呼ぶのに対し、共起しやすい(よく一緒に用いられる)語の組み合わせを「連語」あるいは「コロケーション」という。たとえば、「猫をかぶる」という表現は慣用句に該当するのに対し、「迷惑をかける」は連語に該当する。慣用句は、通常、似たような語を組み合わせても得られない特殊な意味を持つ(たとえば「子猫をかぶる」や「猫を身につける」などでは「うわべをおとなしくみせる」という比喩的な意味は出ない)ので暗記するしかない。それに対して、連語は慣用句のように字面から推測できない意味を持つわけでなく、慣用句ほど単語同士の結びつきも強くないため、組み合わせられる語の選択にある程度の幅があることが多い(たとえば「迷惑をかける」以外にも「迷惑を与える」ということもできるし、「大きな迷惑をかける」というように連語の一部を修飾することもできる)。このため、連語は意識して覚えられることが少ない。
しかしながら、外国語の学習においては、単語や慣用句だけでなく、連語を覚えることが非常に役に立つ。たとえば英語で「化粧」は“makeup”と言うが、「厚化粧」は何と言えばよいだろうか。化粧が濃いことを表す形容詞は“heavy”(あるいは“(too) much”など)がよく用いられるので、“heavy makeup”などと言えばよい。では、さらにもう一歩進んで、「厚化粧をしている」と言いたければ、何と言えばよいだろうか。これは、“wear heavy makeup”や“wear too much makeup”などと言う。“makeup”という語がどういった形容詞や動詞と一緒に用いられやすいかを知らなければ、なかなかパッと出てこないのではないだろうか。
単語をたくさん覚えたのに、いざ文を作るとなると覚えた単語をうまく使いこなせないという人は、連語も意識して覚えてみることをおすすめする。市販の連語辞典を活用するのもよいし、自分が読んだ文章からお気に入りの連語を抜き出して、オリジナルの(単語帳ならぬ)連語帳を作ってもよいだろう。100個、200個、と覚えていくうちに表現力が格段に豊かになるに違いない。