2019.03.27 Wed
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2018年度卒業式・学位記授与式ー動画を公開しました

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2018年度専修大学卒業式・学位記授与式が3月22日、東京都千代田区の日本武道館で行われた。旅立ちの日を迎えたのは学部学生(一部・二部)4107人、大学院77人、法科大学院18人の計4202人。思い出と希望を胸に、新たな一歩を踏み出した。

式では、学部、大学院、法科大学院の各総代に学位記を授与。学術、体育などで優れた成績を収めた学生に与えられる川島記念賞では延べ44人に賞状とメダルが贈られた。

佐々木重人学長は式辞で平成という時代を振り返り、災害とボランティアについて言及。「人は、人によって支えられていることを肝に銘じ、自分ができることを実践することが社会知性の開発をめざすことであり、ボランティア精神と相通じる」と大学の理念を説き、卒業生・修了生の社会での活躍を期待した。

日髙義博理事長は「忘れてならないのは、自分にとって大切な価値観は何かということ。凛(りん)として生きていってください」と祝辞を述べた。

小宮多喜次校友会長の祝辞に続き、卒業10年目の先輩としてタレントの上田まりえさん(平21文)が登場。「想像もしなかったことがこれから起こるだろうけれど、過ごしてきた時間の中に、未来の自分を助けてくれるものがある」と激励した。
卒業生・修了生を代表して橋口萌花さん(経営学部)が謝辞。旅立ちの日にあたり、「夢に向かって頑張ってこられたのは、仲間がいたからです。私たちはこの4年間、専修大学で大きく成長できました」と振り返った。そして「専大での経験や仲間の存在が、これからの自分の活力になります」と力強く語った。

平成最後の卒業生たちは、暖かな日差しの下、晴れやかな笑顔を見せていた。当日は大勢のご父母・保護者が門出を祝福した。




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佐々木重人学長式辞


本日、学部・大学院それぞれの課程を修了し、学位を取得される皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご父母・保護者の皆様には、本学への物心両面でのご支援に対し、厚く御礼を申し上げますとともに、ご子弟・ご子女の晴れの門出にあたり、心からお慶びを申し上げます。

皆さんの卒業を機会に、専修大学のユニバーシティ・アイデンティティ (UI)について考えてみたいと思います。UIとは、大学の存在やその理念・個性・特徴を広く学内外に伝え、そのイメージを向上させるための統合戦略のことです。本学は、その教育目標である「社会知性の開発」というミッションをUIの核に据えて、各学部・大学院のカリキュラムが設計されております。
すなわち、皆さんが在学中に身につけた知識や技能が、自らだけのものということで完結するのではなく、それらを家族や企業のような組織はいうまでもなく、地球的視野に立った地域社会にある諸課題の解決のために生かすべき姿勢を身につけることが期待されているのです。そのためには、深い人間理解や倫理観に裏打ちされ、柔軟で独創的な発想を用いるべきことも強調してまいりました。

多くの皆さんは、この後、社会人として、それぞれの職業人生の第一歩を踏み出すわけですが、在学中の就職活動では、自分自身を知るための「自己分析」に取り組んだ方も多かったことでしょう。私たち教職員も、皆さんが入学する際に持っていた本学に対する期待に応えることができたのか、そして皆さん自身の目標の実現にあたって本学が役立つ存在であり続けることができたのか、自問しております。皆さんがこれまで歩んできた道やこれから進む道は、一つとして同じものはありません。しかし、その歩みのなかの一時期、皆さんが専修大学で学んだ者に共通する価値観つまり、社会知性の開発をめざすというヴィジョンに触れながら、知識・技能を会得するための努力を続けてくれたとすれば、専修大学のUIがめざす目標の半分が達成できたと考えております。残りの半分が達成されるのは、今後の皆さんの人生の節々において、それぞれの努力が報われた時、あるいは自ら掲げた課題を解決した瞬間に、皆さんが専修大学での学びとの繋がりを意識し、かつ言葉で語っていただいた時と考えております。それこそが、専修大学のUIが完結した瞬間でもあります。

「平成」という時代がまもなく幕を閉じようとしております。平成は、「自然災害との格闘の時代」と評した新聞記事を読んだことがあります。火山の噴火、記録的豪雨そして巨大地震が頻発しました。とりわけ、平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、生田キャンパスの旧2号館、旧3号館、神田キャンパスの旧5号館を使用不能に至らしめ、その年の学位記授与式・入学式も中止となりました。時間割の全面組み替え作業も行われ、新年度の授業は、半月以上も繰り下げされました。

専修大学の姉妹校である石巻専修大学は、被災地域の直中にありました。幸い、大学の建物は無傷で運用可能であったため、震災直後の様々な活動にかかわる行政・医療の機関が臨時にそこに設置されました。そして、復旧活動に携わる多くのボランティアの方が活動する際の拠点ともなりました。
日本におけるボランティアは、平成7年の「阪神・淡路大震災」をきっかけにして全国的に定着したということから、その年を「ボランティア元年」と呼ぶことがあります。ボランティア活動の基本理念は、公共性、自発性、無償性、先駆性にあると言われるようですが、人はなぜ、そのような活動に携わろうとするのでしょうか。

昨年の夏、山口県の山中で2歳の男の子が行方不明となる出来事がありました。その捜索活動にボランティアとして参加した尾畠春夫さんが捜索開始からわずか30分後にその子を発見したというニュースは、まだ記憶に新しいと思います。尾畠さんは、15歳のときから50年間、無事に商売を続けることができたことを感謝して「その恩を返す」という考えから65歳からの人生をボランティア活動にささげようと決心されたそうです。その座右の銘は、「刻石流水」、「かけた情けは水に流せ。受けた恩は石に刻め」だそうです。その意味は、人から受けた恩は、決して忘れてはならない一方、自らの行動は、感謝や見返りを期待して行うものではないというものです。

専修大学の4人の創立者たちも、国費や藩費によってアメリカ留学の機会を与えられた恩に報いるため、次世代の若者に自分たちの得た知識を還元する目的で専修大学の前身となる「専修学校」をつくることを決心しました。その際、専修大学からの俸給は、ゼロでの出発でした。このような創立者の志は「社会に対する報恩奉仕」という建学の精神で表現されますが、今日、それは、「社会知性の開発をめざす」という教育目標に投影されているのです。
社会知性の開発をめざすことは、ボランティアの精神と相通じるところがありそうです。つまり、人は、常に人によって支えられていることを肝に銘じ、同時に自分にできることで人を支える、これを普段の社会生活のなかで自然に実践することが、社会知性の開発をめざすことと考えます。

皆さんの門出を祝う今日が良き思い出の日となりますことを祈念しつつ、学長式辞といたします。卒業おめでとうございます。

平成31年3月22日
専修大学 学長 佐々木 重人

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