2019.10.03 Thu
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公開講座「歴史を紐とく」古代史における信仰・宗教の変遷をテーマに

abm00041220▲古代史における信仰について、多くの人が熱心に聴講した
18回目を迎えた公開講座「歴史を紐とく」(エクスションセンター主催)が9月28日から生田キャンパスで始まった。専修大学と川崎市教育委員会の連携事業で、これまでに約3万人が受講。今回は反響の大きかった「宗教」をテーマに全4回にわたり古代信仰、宗教が国家レベルから民衆レベルまでの階層社会へ及ぼした影響、役割ついて考察する内容だ。
abm00041234▲「横穴式石室と黄泉国」をテーマに講演する土生田教授
初日は土生田純之文学部教授と荒木敏夫名誉教授が登壇し、延べ567人が耳を傾けた。

土生田教授は「横穴式石室と黄泉(よみ)国」と題し講演。ヤマトタケルの死後、魂は白鳥になったといわれる「白鳥伝説」、イザナキノミコトが黄泉の国から逃げる場面で桃が登場することを話した後、横穴式石室の埋葬品から桃型土器が出土していること、鳥の絵が描かれている壁画や、膝の皿を取り除かれた人骨の出土例があることから、死者のよみがえりに対する恐れをみてとる。「古代の人は死者のよみがえり、悪霊を恐れ、寄せ付けないようにしていたことが分かる」と土生田教授は推察する
荒木名誉教授は11月14、15日に行われる令和の大嘗祭(だいじょうさい)を前に、「大嘗祭の誕生―宗教儀礼と天皇」をテーマに大嘗祭の歴史、古代の王権・国家の成り立ちについて縦横に論じた。

大嘗祭は皇位継承に伴う重要祭祀。平安時代に書き記されたさまざまな書物から儀式のやり方を探り復元してきた。
大嘗祭にいたるまでの儀礼、当日行われる儀式の数々、大嘗宮の配置図などを図式で分かりやすく解説。「儀式は古式通り行われていると思いがちだが、時代によって変わってきている」と話す。その理由として莫大な費用を挙げ、その時代の国家財政によって左右されていると話した。意外な事実に受講者の中には驚く人もいた。
abm00041235▲「大嘗祭について解説する荒木名誉教授
★10月19日のテーマと講師は次の通り。

▽「仏教『公伝』とはなにか」中林隆之文学部教授
▽「奈良時代の神社と村落―古代出雲における神社遺跡の検討から―」田中禎昭文学部准教授

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