2019.12.12 Thu
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「ありのままの日常を描きたい」 映画監督・金聖雄さん授業で語る

abm00043456▲金聖雄監督
根岸徹郎法学部教授の学際科目109(映像読解)に、ドキュメンタリー映画監督の金聖雄(キム・ソンウン)さんが登壇し、自身の映画づくりについて語った。12月5日、神田キャンパスで行われ、学生約30人が聴いた。

金監督の主な作品には、『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』(2013年、毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞受賞)▽『袴田巖 夢の間の世の中』(16年)▽『獄友(ごくとも)』(18年)――の冤罪3部作がある。いずれも再審請求事件当事者たちの釈放後の日常に密着してカメラを向けた。

最新作『獄友』では、狭山事件の石川一雄さん、布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅谷利和さん、袴田事件の袴田巖さんら、冤罪を通して結ばれた友情を描いている。
刑務所の中に喜びや悲しみがあって、出会いがあった。人生の大部分を獄中で過ごしたにもかかわらず、桜井さんは『不運だったけれど不幸ではなかった』と言って、笑い飛ばしている」と金監督は話す。
「正義をふりかざすのではなく、普通の日常を取り戻そうと前向きに歩む人々の姿を、ありのままに伝えたい。それは自分自身の生き方にもつながっている」と映画を撮る際の「まなざし」を語った。

最後に、冤罪3部作に続く作品を企画中で冤罪当事者を支える妻や姉など女性の姿をクローズアップしたいと、次回作への意欲を語った。

学際科目109(映像読解)は映像、映画などに託されたメッセージを探り出し、隠された意味や意図を読み解くことを目標としている。映画界の第一線で活躍する監督や字幕翻訳家らをゲストスピーカーに招いている。

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