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2019.07.22()
専修大学経済学部経済学部での学びINFORMATION

経済学部での学びーアメリカ社会が抱える構造的課題と矛盾に迫る

専修大学経済学部 塙 武郎

 塙ゼミは、「アメリカ経済と都市政策」という大きな研究テーマを掲げ、世界で最も豊かで貧しいアメリカ社会の深層部分に接近し、その構造的課題と政策について深く学ぶことを中心目標としています。自分の頭と言葉(語学も含めて)、客観的エビデンスに立脚して社会的・経済的事象を説明するスキルと習慣を身に着けることをゼミ生に求めています。オレゴン大学、南オレゴン大学、サスケハナ大学などアメリカの大学に長期・中期・短期留学をするゼミ生も多いのも特徴の一つで、経済学や政策研究の専門知識に裏づけされた英語力を磨くよう指導しています。一部4年生のゼミ生は夏休みを利用して自分の足でアメリカに入り、現地の住民や役所等にヒアリング調査を行い、その調査結果をゼミナール論文(卒業論文)に盛り込んで、オリジナル性の強い研究を進めています。

 私自身の専門領域や研究関心についてお話します。私は、アメリカ国民に最も身近で、かつ重要な行政サービスとされる初等中等教育(義務教育を含む)が、どのような財政システムや政策によって運営され、また課題に直面しているのかを、シカゴやニューヨークなど大都市を事例として制度的・実証的に研究を進めてきました。アメリカではSchool District、「学校区」と呼ばれる地方自治体が初等中等教育サービスを提供する行政単位として存在しており、学校区ごとに教育予算や教員人事やカリキュラム等がすべて独自に決定されます。私はアメリカ社会の普遍的価値とされる「地方自治」をまさに体現する学校区の存在が、人種間に学力格差や所得格差を生み出す制度的要因の一つになっていると考えています。
 これは、アメリカの構造的課題といえます。アメリカでは都市部は黒人やヒスパニック等のマイノリティや貧困層が多く暮らし、逆に郊外は白人の富裕層が多く暮らしています。これを英語でsegregation、人種ごとの居住地区の「分断」と言いますが、この「分断」こそが学校区間の財政格差を助長し、地方自治にともなう格差、制度的矛盾を生み出します。

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 州が自州内の学校区に教育補助金を交付していますが、しかしそれは学校区間の財政格差を完全に是正するような制度設計にはなっていないことを、私は明らかにしました。むしろアメリカでは、上位政府(州)が下位政府(学校区)に対して財政資源を地域間で再分配する補助金の仕組み(財政学では「財政調整制度」といいます)は根付かず、政治的にも保守派がこれを容認しないという州政治の現実もあります。私はこれらを事例研究で明らかにし、論文や著書で発表してきました。

 経済学・財政学・政策研究は、現実社会に目を向け、できるだけ具体的に学ぶことで面白くなり、視野が複眼的になります。ぜひ専修大学経済学部に身を置いて、じっくり日本の現実、アメリカの現実、そして世界の現実を見抜く眼を養ってください。

センディ

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