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2019.01.31()
専修大学経済学部経済学部での学びINFORMATION

経済学部での学びー企業・団体へのインターンシップ(「学外特別研修」)

専修大学経済学部 谷ヶ城秀吉

 厚生労働省と文部科学省の発表によれば,2018年における大学生の就職内定状況は堅調で,10月1日現在の内定率は77.0%に達したそうです(厚生労働省「平成30年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)について」2018年11月16日)。1990年代後半から2000年代前半のいわゆる「就職氷河期」における同日の内定率はおおむね60%台前半でしたから,それに比べれば,隔世の感があります。

 この四半世紀の間に就職活動の内容も変化しました。1990年代以降の大卒就職を解説した本田由紀さんは,大卒者の非エリート化が進んだこと,スケジュールがたびたび変更されたこと,インターネットを介したエントリーシートの提出が一般的になったことのほか,インターンシップが選考過程の1つになったこともこの四半世紀の重要な変化として挙げています(本田由紀(2017)「1990年代以降の大卒就職:変わったもの,変わらなかったもの,変わるべきもの」『国民生活』55)。実際に2010年卒では51.6%であった学生のインターンシップ参加率は,2019年卒では80.0%に達しました(キャリタスリサーチ「インターンシップに関する調査」2018年3月)。企業へのインターンシップは,今後の「就活」でその重要性を益々高めていくものと思われます。

 専修大学経済学部では,「就職氷河期」まっただ中の1999年6月に専門・選択科目「学外特別研修(インターンシップ)」の導入を決定し,2001年度から実施してきました。当時,インターンシップの正規科目化は全国的に見ても珍しく,参考例の少なさゆえに講義は手探りで進められたようです(専修大学経済学部「学外特別研修(インターンシップ)」実施委員会編(2002)『私たちのインターンシップ』2001年度版,ⅰ頁)*。この講義が導入されるまでの過程や,この20年間で克服した課題などは,当時の関係者に別途お書きいただくとして,私は現在の科目内容や意図をご紹介することで責を果たしたいと思います。

 本科目を履修した学生は,夏季休暇中に1~2週間のインターンシップを体験します。派遣先は多岐に亘っていて,民間企業はもちろん,地方自治体やNPOなども選択可能です。派遣先を学生自身が探してくることもあります。職場体験の内容も多様で,他大学の学生とともに集団で体験させていただく場合もあれば,派遣学生の目的や問題関心に合わせてカスタマイズされたプログラムを体験する場合もあります。いずれの学生も派遣の前後では顔つきも変わり,逞しく成長して大学に戻ってきます。

 ただし,本科目はインターンシップの参加だけを目的としているわけではありません。そうではなく,「経済学という学問の対象が「生きた経済社会」」であることを学生たちが「肌身で感じるよう」になることが本科目最大の目的です(「シラバス」)。言い方を変えれば,学生たちが机上で学んだ「経済学」と実社会を架橋する術を知ることに本科目の狙いがあると私は考えています。したがいまして,本科目ではその術を知るための契機になりうるような以下の講座を準備しつつ,学生が「<社会を見る目>を自らの努力で養う」ことができるように努めています。

 前期(4月~7月)は,外部講師をお招きして「働くこと」の実際を学ぶとともに,外部講師の具体的な体験談などもお聞きして「働くこと」の意味を考えます(「仕事論講座」)。なぜ働くのか。どのような企業・団体で働くことが望ましいのか。答えは1つではありません。そうした問いに対する自分なりの「答え」を外部講師との質疑応答や学生同士のディスカッションを通して学生自らが導き出せるように支援します。

 派遣前の「仕事論講座」で学習したことと職場体験の双方を踏まえたうえで,自らの体験の意味と残された学生生活での課題発見を目的として毎年12月にインターンシップ体験発表会を開催しています。発表会には派遣先の関係者もお招きするので,学生たちは,何度も何度もリハーサルを繰り返します。とはいえ,PowerPointを見やすく整え,プレゼンテーションの効果を技術的に高めることだけが目的ではありません。自分は何を体験できたのか。他の学生との相違は何か。自分の体験は何がユニークで,何が足りなかったのか。この不足を補うために経済学部の残りの学生生活では何を学べばいいのか。プレゼンテーションの準備作業は,そのような課題に気づくための不可欠な過程であると私は考えています。

 最近では,大学での学びが役に立つのか否かという点だけが議論の対象になりがちです。そうした議論ももしかしたら重要なのかもしれませんが,結局は水掛け論で,その議論から好ましい解を導くことは難しいと私は考えています。それよりも,大学での学びを役立たせる方法を考えた方がおもしろいし,よほど役に立つでしょう。大学で学んだ机上の「経済学」を実社会でどのように役立たせることができるのか。本科目の履修が,そうした問いの第一歩となれば幸いです。

* 筆者が「学外特別研修(インターンシップ)」を担当する際に本科目開設当時の実施委員長であった原田博夫教授からご恵贈いただきました。ありがとうございました。

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