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2018.01.13()
専修大学CALL教室・外国語教育研究室TOPICS

外国語のススメ【第80回】比較表現から学んだ第二外国語学習の楽しみ

経済学部准教授 恒木健太郎(経済学史担当)

外国語のススメ

英語だけでなく第二外国語を学ぶと、それぞれの言語の「考え方」のようなものがおぼろげに見えることがある。私にとってその体験は比較表現だった。以下の2つの文を見てほしい。

She is older than me.
Sie ist älter als ich.


 
いずれも「彼女は私より年上だ」という意味の文で、前者は英語、後者はドイツ語である。私が驚いたのは、“than me”という表現だ。20年も前に学校で習った文法では、比較の基準とその対象は格を揃えなければならない、と教えられた。だから英文の場合、比較の対象(she)は主格なので、その基準となる「私」は主格(I)でなければならない、と思っていた。実際、ドイツ語では比較の対象(sie)に合わせて、その基準(ich)も主格になっている。ところが、こんにちの英語では違うらしい。

    常用:She is older than me.
    まれ:She is older than I.

ああ、学校文法の弊害。そう嘆きたくなるが、私にはこの現象が「面白い」。たしかに、現在の英語では後者は古めかしい言い方かもしれないが、ドイツ語を学んだ私にはこちらの方が正統派に見えるのである。何となく、現代の変化に対応させる英語と昔ながらの規則を守るドイツ語の体質の違いを感じてしまうのは、気のせいだろうか。いずれにせよはっきりしているのは、言語の用法に唯一不変の正解はない、ということだろう。「正しい○○語」のような標語のいかがわしさに騙されないためにも、貪欲な外国語学習は役に立つと信じてやまない次第である。


 
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