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2016.04.01()
専修大学経済学部TOPICS経済学部での学び

ゼミナール報告―ドイツを中心としたヨーロッパにおける経済史・労働史 経済学部講師 枡田 大知彦

経済学部講師 枡田 大知彦
 
専修大学経済学部では、少人数制の授業において、学生諸君が主体的に学ぶことを重視しています。2年生から始まるゼミナールは、こうした学びかたの中心に位置する授業です。以下では、私が担当しているゼミナールの活動およびその内容について、ゼミ生である経済学科4年生の中橋勝久君と経済学科3年生の三浦利緒君に自由に語っていただきます。専修大学のゼミナール、そして経済学部における学びの雰囲気を知っていただければと思います。

枡田ゼミの2つの柱―プレゼンテーションと輪読―

私たち枡田ゼミナールが普段行っていることには、2つの大きな柱があります。プレゼンテーションと文献の輪読です。
プレゼンテーションは、ゼミ生がいくつかの班に分かれ、それぞれが設定したテーマについて文献・資料等を深く調べることから始まります。調べた内容をまとめて発表し、それに対する質問等に答えることにより、研究の完成度を高めていきます。2015年度の前期は、すべての班がドイツに関連するテーマでプレゼンテーションを行いました。先生の研究テーマに近いナチス期の経済政策をはじめ、ドイツの祭事、ドイツが武器輸出大国となった歴史的な経緯、ドイツと日本のプロサッカーチームの比較など、ヴァラエティに富んだものになりました。
文献の輪読では、ひとつの班が文献のひとつの章を担当し、事前に章の内容をまとめたレジュメを作成します。授業当日は、そのレジュメに従って報告を行います。担当班でないゼミ生も、授業までに文献を読み、論点・疑問点等を提起します。その後、質疑応答を通して、章の内容をしっかりと把握します。毎週担当班を交代して、文献を最後まで読み進めていくのです。2015年度の後期には、ヨーロッパにおける経済・社会の現状を描いた文献の輪読を行い、それぞれの内容について理解を深めました。まず、近年のドイツとEUの問題に焦点をあてたエマニュエル・トッド著『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる―日本人への警告―』(文春新書、2015年)を読みました。続いて、大きな話題を呼んだトマ・ピケティ著『21世紀の資本』(みすず書房、2014年)に挑戦しました。いずれもなかなか難しい内容でしたが、ゼミ生皆で読むことにより、理解することができたような気がします。

枡田ゼミでの学び

枡田ゼミでは、経済のあり方や働きかたなどを中心に、さまざまなことを歴史から学んでいきます。何かの歴史を学ぶ、あるいは何かを歴史から学ぶことを通して、プレゼンテーション能力、ディスカッション能力、コミュニケーション能力、問題発見能力等、社会において必要とされる多様なスキルを身につける、あるいは高めることを目指しています。
先生がドイツの経済の歴史・労働の歴史を専門とされていることなどから誤解される場合があるかもしれませんが、このゼミナールはドイツの経済、その歴史ばかりを調べたり、学んだりする場ではありません。ゼミ生ひとりひとりが興味のある事柄を調べることができるゼミナールです。プレゼンテーションについては、班ごとに話し合ってゼミ生自身がテーマを設定します。班のメンバーの決定もゼミ生が行います。2015年度は、最初に自分が関心をもっているテーマを発表し、テーマが近い、あるいは関連しているゼミ生同士で班を組むというかたちをとりました。また、卒業論文のテーマは、「歴史から学ぶ」のであれば、どのようなテーマでも選択することができます。ドイツやヨーロッパの経済・労働の歴史に関する特別な知識も必要ありません。ゼミナールに入った直後の二年生のときに、基本的な文献の輪読を進めていくうちに、自然と身についていきます。
枡田ゼミでは、例年春休みにゼミ合宿を行っていますが、場所や日程についてもゼミ生が話し合って決定します。2015年3月は熱海で、2016年3月は東京都内のホテルで開催しました。ゼミ合宿では、基本的に個人の研究報告を行い、その内容について皆で討論します。ゼミ活動で培った力、身につけたスキルの集大成としての報告となりますので、1年間で自分がどのくらい成長できたのか、確認できる機会となっていると思います。
枡田ゼミは、できてから3年目のフレッシュなゼミナールでもあります。現在、卒業生は1名であり、四年生は5名です。いまや、三年生14名(1名留学中です)、二年生11名が所属していますが、少人数から始まったゼミナールです。それゆえ、先生の学生をみる目は非常にあたたかく、細かいことまで考えていただいています。授業時間以外でも、卒業生を送る会や合同ゼミナール等のイベントを行い、つながりを深めていきます。
上記のような活動を通じて、私は、枡田ゼミにおいて重視されることは、自ら率先して行動する自主性と、他者と協力しながらゼミ活動を進めるのに必要な協調性であると考えています。自主性と協調性。枡田ゼミでは、この二つが相反することなくバランスをとって両立しているのです。

2016年度の活動

私たち枡田ゼミの今年度の活動についてお話しします。四年生は就職活動の傍ら、卒業論文の準備、執筆作業に取り組みました。二年生は、ドイツの経済の歴史に関する基本的な文献を輪読しました。このことは、今後のゼミナールにおける活動の土台となると思います。三年生は自由に4つの班を作って、テーマを設定し研究を進めました。事前に班ごとに集まり準備を進め、授業ではプレゼンテーションとそれに関する質疑応答を繰り返しました。それぞれの班の研究テーマはさまざまなジャンルのものとなりました。具体的には、現在大きな問題となっているドイツにおける難民問題やパナマ文書についての研究、先生の専門分野にかかわるドイツにおける東西地域間の賃金格差についての歴史的な検討、また、日本におけるこれからの問題ともいえる民泊問題を対象とした研究などに取り組みました。充実した内容の報告を行うためには、授業時間以外に班単位で集まり、事前にしっかりと準備することが欠かせません。一緒に文献や資料を調べ、レジュメを作成し、発表することにより、班のメンバーとの絆が大変強いものとなっていくことを実感します。すでに指摘したことですが、枡田ゼミのプレゼンテーションは、テーマの設定から報告の内容・方法の決定まで、ゼミ生が主導して行います。そのうえで、枡田先生に指導していただき、プレゼンテーションの完成度を日々高めていくのです。

合同ゼミナール

上記のような班単位の集団での学びのひとつのゴールといえるのが、他の大学のゼミナールと一緒に行う合同ゼミナールです。枡田ゼミでは、外部との交流、他大学の学生のみなさんとの親睦を深める機会が設けられています。合同ゼミナールは、枡田ゼミの一年間の活動の中でも極めて重要な意味を持つイベントです。合同ゼミナールにおいて、専修大学および枡田ゼミの外部の人の前で発表すること。こうした目にみえる目標があることが、ひとりひとりに枡田ゼミのゼミ生であるという自覚をもたせ、気を引き締めて活動に取り組むことにつながっています。他の大学の先生や学生のみなさんの前で、恥ずかしくないプレゼンテーション、報告ができるように、毎年ゼミ生一同が懸命に努力しています。
2015年度の合同ゼミナールは、夏休み明けの9月末に生田キャンパスの10号館において開催されました。獨協大学経済学部の市原博先生のゼミナールのみなさんをお招きいたしました。今年の合同ゼミナールでは、9月24日に私たち枡田ゼミが獨協大学のキャンパスにおうかがいしました。2つの教室を使って、それぞれのゼミナールが複数の班に分かれてプレゼンテーションを行い、その内容をふまえて討論しました。また、市原先生のゼミ生によるディベートを見学し、大きな刺激を受けました。その後、総勢50名以上がひとつの大きな教室に集まり、レクリエーションを含む交流会を行いました。毎回大いに盛り上がり、ゼミ生同士の親睦を深める貴重な機会となっています。以上のように、枡田ゼミでは、他の大学のみなさんとの交流を通して、視野を広げ、多角的な見方を身につけていきます。こうしたことにより、自分たちの調べているテーマについても、さらに理解を深めることができるようになります。

卒業論文

三年間のゼミナールの活動の集大成が卒業論文です。枡田ゼミでは、必ず卒業論文を書いて卒業していくことになっています。集団での学びだけではなく、個人での学びも重視しているからです。ひとりの力で、興味のある事柄について長い文章を書くことは、人生においても貴重かつ重要な経験となります。こうした経験は、大学そしてゼミナールでなければ、なかなかできるものではないと思います。プレゼンテーションは、集団での学びを通じて協調性を養うものであると考えます。それに対して、卒業論文の執筆は、先生の指導を受けながら、テーマの設定からその完成まで個人で進めていくものです。卒業論文は、ゼミ生が、ゼミナールでの活動に熱心に取り組んできたことの証しとなるでしょう。
四年生は現在、卒業論文を執筆中であり、三年生もすでにテーマ、あるいは論文の方向性は決まっています。卒業論文のテーマは、班単位で行われるプレゼンテーションのテーマ以上に、多様性に富んでいます。先日、三年生が卒業論文のテーマを発表したのですが、ドイツや日本の経済・社会の歴史という先生の専門分野に近いものだけではなく、高齢化社会(への対策)の現状や大都市への一極集中、税金・社会保障制度の国際比較といった昨今社会において注目されている問題や、日本独自の文化、エンターテインメント産業、スポーツと経済の関連など、ゼミ生個人の興味・関心と強く結びついているテーマまで、さまざまなものがありました。卒業論文の執筆にあたっては、これまでのゼミナールの活動、例えばプレゼンテーションや輪読等を通して培った力を存分に発揮し、それぞれのテーマに取り組みたいと考えています。

ゼミ生からのメッセージ

私は、枡田ゼミに入るための面接の際、作成した資料に「マルクスとケインズが、お互いの思想を体現した国はどこか、と語り合った。二人とも最終的に日本をあげた」というジョークを記したことを覚えています。日本は資本主義国家でありながら、社会主義的な構造をとっているという話なのですが、枡田ゼミで学んでいく中で、こうした見方の意味をより深く理解できたような気がしています。自分の知的好奇心を満たすことができる場所。それがゼミナールであると、私は考えています。
枡田ゼミでは、さまざまな事象・問題について歴史から学んでいくことを重視しています。こうしたアプローチは、例えば、過去の事象の積み重ねである、現在の経済のあり方を分析し、理解するためにも、有効であると思われます。また、枡田ゼミは、経済学部のゼミナールですが、物事の文化的な側面に注目する場合もあります。テーマや対象を、さまざまな角度からみる、あるいは考えることで、より深く理解できるようになると考えています。
ゼミナールでの活動を進めていく中で、私は伝える力の成長を感じています。このゼミナールでは、基本的に紙媒体の資料、レジュメを用いた発表を行っています。枡田先生は発表の作法について細かいところまで指導してくださります。私は「何を重視すれば、どのように表現すれば、人を引きつけることができるのか」ということを考えながらレジュメなどを作成していることが多いように感じています。独りよがりの発表ではなく、相手に伝えるプレゼンテーションを行うことが重要である。私は今、このことをあらためて強く感じています。私だけではなく、ゼミ生の全員が、ゼミナールに入る前と現在とを比べると、伝える力が格段に成長したのではないでしょうか。枡田ゼミでの活動、経験を通して培われたこうした力、意識は、大学生活や就職活動においては勿論、社会に出て歩んでいくこれからの人生においても、重要な役割を果たすものだと思います。
ゼミナールは、まず学生自身が考え、目標を設定し、自ら行動することにより、はじめて成り立つ授業です。勿論、自分の努力が足りなかったことも、結果に満足できなかったこともありました。しかし、自ら考えて行動した結果に、意味のないものなどありません。それは、自分の中に経験として蓄積されていくのです。学生は、たとえ失敗したとしても、まず行動することが重要なのだと思います。
失敗してしまったとき、上手くいかなかったときには、相談にのってくれる、あるいは指導してくれる先生がいます。多くの大学生が、その力、その個性を発揮し活躍できる場所が、ゼミナールです。有意義な学生生活を送るため、自分の能力を試してみたいなど、ゼミナールに参加する理由、動機にはさまざまなものがあるかと思いますが、ゼミナールで活動することでしか得られないもの、それが多くあることは疑いありません。充実した学生生活を送るためにも、是非ゼミナールに参加していただきたいと思っています。勿論、私たち枡田ゼミも、新しい仲間の参加をお待ちしています。
▼獨協大学のキャンパスで実施した合同ゼミの様子

ゼミナール報告―ドイツを中心としたヨーロッパにおける経済史・労働史

ゼミナール報告―ドイツを中心としたヨーロッパにおける経済史・労働史02

ゼミナール報告―ドイツを中心としたヨーロッパにおける経済史・労働史03

▼2016年春休みのゼミ合宿

ゼミナール報告―ドイツを中心としたヨーロッパにおける経済史・労働史04

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