児雷也豪傑譚

 美図垣笑顔(生没年不明)以下、四名の戯作者によって嗣作され、画師も七名(歌川国貞(1786-1864)他)が関わった幕末期合巻を代表する長編合巻。書名の角書に「蝦蟇妖術大蛇怪異」とあり、蝦蟇(がま)と蛇、蛞蝓(なめくじ)の三すくみを用いた妖術が派手に繰り広げられる伝奇物語で、江戸期の最後まで出されたが、未完。

 合巻は明治の中頃まで大量に出続けた。幕末に近づくにつれて物語はより伝奇的に長編化し、作者や絵師も嗣筆しながら長期にわたって物語が書き継がれていった。表紙や口絵は数多くの色板が重ねられ、時には上下に続く絵柄となり、草双紙ならではの美麗な装幀が人気を呼んでいた。