古今和歌集

 表紙は紺地に唐草文の古金襴、見返しは金箔紙で金銀の切箔砂子地に雲形、片輪車の文様、本文は鳥の子紙で一面九行書、朱書(声点・合点)がある。古筆了栄(1607-1678古筆鑑定家)の極札が一枚ある。

 藤原定家が書写した古今集のなかで、貞應二年(1223)七月書写本と嘉禄二年(1226)四月書写本が特に知られているが、貞應二年本は、仮名・真名両序を有し最も流布している伝本である。本書は貞應二年本の系統にある一本で、その奥書を持つ最古の伝本である。書写者は、大納言花山院師継(1222-1281)で、宝治三年(1249)二月九日に定家自筆本(二条家相伝本)を借用し、定家の父俊成所持本をも校合し、証本として伝えようとした伝本である。

 古今和歌集は紀貫之(-945)らが編纂、十世紀初頭になった我が国最初の勅撰和歌集として知られ、歌はおよそ千百首をおさめる。平安朝文化の出発点ともなった古典といわれている。