2025.09.17 Wed
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【理工学研究科】海洋ベントス学研究室の大学院生が日本ベントス学会のポスター賞を受賞しました

理工学研究科 生命科学専攻の海洋ベントス学研究室(研究指導教員:阿部 博和 准教授)に所属する大山 雄太郎さん(修士課程2年)が2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会においてポスター発表を行い、日本ベントス学会の学生優秀発表賞を受賞しました。
IMG_2653▲表彰式の様子
2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会は、2025年9月9日から12日まで東北大学新青葉山キャンパスで開催され、約300名の参加者が集いました。
学生優秀発表賞は学生会員のうちエントリーのあった発表を対象に審査が行われ、大山 雄太郎さんの発表は35題のポスター発表から選ばれた3件のうちの1つとして学生優秀発表賞を受賞しました。
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発表タイトル:「金華山島のニホンザルにおける海岸利用頻度と海藻類の利用可能性の関係」
発表者:大山 雄太郎、辻 大和、阿部 博和

【発表概要】
宮城県石巻市の牡鹿半島から約1 km離れた金華山島に生息するニホンザルは、海産物採食という珍しい行動を見せることが知られています。ニホンザルは日本固有種で、海産物採食がみられるのは全国で7地点のみであり、金華山では森林の食物が乏しくなる夏と冬の時期にニホンザルの海藻類の採食行動が多く見られるとされています。しかし、ニホンザルにとっていつでも海藻類が利用できるかというとそうではありません。海には潮の満ち引きがあるため、水に浸かることを嫌うニホンザルは潮が引いているときにしか海藻類にアクセスできません。また、海藻類は種類によって生育する高さが異なり、生育状況は季節によっても変化します。そのため、ニホンザルにとっての海藻類の利用可能性は時間的に大きく変動すると言えます。
本研究では、2023年4月~2025年4月まで継続的にセンサーカメラでニホンザルが海岸に訪れたタイミングを記録するとともに、並行して行った海藻類の生育状況の調査結果からニホンザルにとっての海藻類の利用可能性を評価することで、ニホンザルの海岸利用頻度が高いときには海藻類の利用可能性が高いことを示しました。
IMG_2380▲2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会で
ポスター発表を行う大山さん①
IMG_2366_edit▲2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会で
ポスター発表を行う大山さん②
【大山雄太郎さんのコメント】
この度は、2025年日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会の学生優秀発表賞をいただくことができ、大変光栄に思います。
私はこの研究を行うにあたって、人とのつながりを強く感じてきました。私の研究は一人でできるものではなく、海洋ベントス学研究室や動物生態学研究室の皆様、調査のたびに乗船させていただいた船会社や黄金山神社の職員の方々といった多くの方に支えていただきました。そのため、関わっていただいた方々に恩返しをするためにも良いものを作り上げたいという思いが強かったので、今回の受賞を大変うれしく思います。
私は大学院修了後、教員になることを目標に日々生活してきました。そのため、現在に至るまで、研究活動を通して伝わりやすい話し方やスライド・ポスターのデザインについても学んできました。今回の発表は培ってきた能力を余すことなく発揮でき、今後、教育現場に出るにあたっての大きな自信につながるものとなりました。私の研究はこれで終わりではなく、サルの海産物採食について解明したい部分やより深めた部分が残っています。これからも研究活動に励み、結果を積み重ね、新しい発見ができるように日々精進して参ります。
IMG_1993▲金華山島でセンサーカメラの設置
IMG_7514▲海藻類の調査を行う大山さん