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06 12

 
専修大学管理者用(広報課専用)法学研究所EVENT法学部EVENT公開講座・シンポジウムEVENT

法学研究所公開講座「法と政治の現況I」 (12/6,12/14,1/15 神田)

〜学生と市民のための公開講座〜

学生と市民のための公開講座へようこそ!

 今年度から『法と政治の現況』という題名で新しい公開講座を始めます。今回はその最初のシリーズです。専修大学法学研究所では、これまでに『法律学と政治学の最前線』、『現場からの法律学・政治学』という題名の公開講座を開いてきました。今年度からの公開講座もこれまでと同様に、まさに今日起こっている法と政治の問題を取り上げ、皆さんとともに解決の方 途を探っていきたいと考えています。
 おそらく将来の人々は、1990年代から世界は別の時代に入ったとして、それまでの時代と 区別するための名称をつけるのではないでしょうか。冷戦終結後、グローバリゼーションが顕著なものとなり、それを軸にして世界が動いています。当初、それは世界を一つにして平和をもたらすと期待される向きもありました。確かに、グローバリゼーションにより、冷戦に勝ったアメリカが主導する自由民主主義が広まり進化しました。人権の意識が高まり、人種や性差や階級による差別は、伝統的宗教に厳格に基づく国においてさえ、問題視されるようになってきています。日本における裁判員制度の導入や民法改正などもこうした流れと無関係ではありません。今日、ポピュリズムという言葉は消極的な意味で用いられる傾向がありますが、それもこうした民主化の進展のなかで出てきた現象であり、完全に否定することはできないはずです。
しかし、グローバリゼーションがさまざまな問題を生み出したことも事実です。グローバリゼーションとは、ヒトやマネーや 情報が世界を駆けめぐり、国境の壁を簡単に超えるようになることです。2019年現在の移民・難民は 3億人以上になります。世界の人口のおよそ 26人に1人です。 ブレグジットはそれが引き起こした 問題の一端でしかありません。日本でも外国人労働者をめぐる法改正が行われました。グローバル企業は中規模国家と同レベルの資金力をもち、世界政治の主要なアクターになっています。タックスヘイブンの問題が明らかにしたように、それが動かす莫大なマネーの流れを把握することはきわめて困難であり、そうしたマネーが いかなる問題を生み出すかも見通せません。 世界各国で、また国家間で起こっている格差問題も、その主たる要因はグローバル経済にあります。日本は先進国のなかではアメリカに次いで格差の大きな国です。インターネットにより情報が瞬時に世界に広まることは当たり前になりました。ビッグデータをどう管理するかは、世界共通の問題になっています。新冷戦とも言われる米中対立の核にある知的財産権の問題も、こうしたグローバルな動きと連関しています。
 こうしたグローバリゼーションの動きに対し、一方では国際機関が力を増し、国家を超えた連携により世界大で の管理を進めています。もっとも、それこそがグローバリゼーションの元凶であるとする反対運動も、これまた世界大で起こっていますが。他方では グローバリゼーションへの反動として、国家主義とそれに連動したナショナリズムが台頭し、急速に力をつけています。反動といってもグローバリゼーションそのものを否定するわけではありません。それは不可能なことです。むしろそれを利用して暴力的な国家権力 の増大と強権的な国民統合をはかることに主眼があり、とくに東アジアでそれは顕著です。 国際法などなきがごとく軍事力の拡大に向かう様は、19世紀に戻ったかのようです。 さらに、同様に重要な反動 としてテロリズムがあります。それが 政治を動かす重要な手段になってきたばかりか、ISのように、従来の国家という枠組みさえ破壊するテロ組織も出てきています。
 21世紀に入ってから顕在化した問題はさらに深刻です。クローン人間、 自律型の軍事的 AI、地球温暖化、これらの問題は核兵器と並んで、人類滅亡を予感させるまでになっています。クローン人間を最初に考えたのは、徹底的な人種主義政策を採ったナチスです。自律型の軍事的AIの危険は、映画「ターミネーター」が描くとおりです。今年、国連で禁止条約が結ばれましたが、どこまでそれが遵守されるかはまったく分かりません。地球温暖化がもたらす破滅的な危機は、日本でも身近なものになってきました。昨年の 夏、東京は 40度を記録し、アメリカやポルトガルでは 50度にも達しました。高温による火災 が世界各地で頻発し、CO2を吸収する森林の消失が危ぶまれています。また、今年 10月の台風は東日本と北日本で記録史上最大の雨量をもたらし、多くの河川が氾濫しました。地球温暖化がもたらした現象であることは明らかです。このような問題は、グローバリゼーションによって引き起こされたというよりも、それの根底にある近代文明に起因します。 グローバリゼーションという近代文明の帰結により、それが一層顕在化したと言えるでしょう。これに対処するためには一国ではなく、世界全体で協調した政策を採らざるをえません。しかし「〇〇第一」を掲げる国家主義的なナショナリズムが横行するようでは、簡単にはいかないでしょう。
 以上のように、今を生きるわれわれに突き付けられた問題はあまりに多く、途方に暮れるばかりです。それでも手をこまねいている訳にはいきません。できるところから早急かつ確実にやるしかないでしょう。 日本は民主主義に基づく法治国家です。少数の人間の意志によって統治される政治ではなく、情報をオープンにしたうえで、一人ひとりの市民が熟慮し、そこから生まれる 国民の意志 を法に結実させる政治を行わなければなりません。その際重要なことは、浮ついた空理空論と内向きの利害意識に溺れることなく、日本だけでなく世界や人類の将来も見据えつつ、一つひとつの身近な問題に堅実に向き合っていくことでしょう。
 「法と政治の現況」と題した今回の「学生と市民のための公開講座」では、以上述べたような問題意識のうえに、今の日本で重要と思われると法と政治の問題を取り上げ、皆さんとともに考えていきたいと思います。お付き合いのほど、どうかよろしくお願い申し上げます。
 

第一回「体験的ジャーナリズム論」

日時:12月6日(金)16:50~18:20
場所:神田キャンパス5号館551教室
講師:常井健一(政治ジャーナリスト)
論題:「体験的ジャーナリズム論」
司会・コメンテーター:岡田 憲治(本学法学部教授)

講座の概要

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が毎年発表する報道自由度ランキングによると、日本は民主党政権時代の 2010年に11位だったが、自民党の安倍政権になって以降、順位を下げ、19年は 67位となった(アメリ カは 48位)。新聞や雑誌の部数も年々減少傾向にあり、定期刊行物の休刊や編集部門の縮小、あるいはスタッフのリストラなども相次ぐなど、「産業としてのジャーナリズム」、「生業としてのジャーナリスト」のあり方も過渡期にある。
また同時に、SNSを始めとする一個人の発信が政治家個人の判断やモチベーションに与える影響力は増している。一個人が伝える出来事や視点・論点が、一定以上のシェアやバズが続けば、「ニュース」にもなる。政治家側もマスメ ディアを介さないコミュニケーション手段を模索し始め、組織ジャーナリズムの現場でも「ネットの反応」は、無視できない存在となりつつある。
このように業界や雇用、情報のフローなどの劇的な変化があるにもかかわらず、記者クラブ制度に依拠し、政府や政党が流す発表文や共同記者会見の内容を横一線に報じ、独自検証に消極的な態度を取るのが、組織ジャーナリズムも現状である。
一方、一個人がある程度の専門性を身に着け、マスメディアが取材しない/報じない「事実」や「ドラマ」を発信しているのが、組織に属しないフリージャーナリストの日常である。彼らの活動は、組織ジャーナリズムの「穴」を補完するだけでなく、政治的・社会的課題を先に察知し、組織ジャーナリズムに気付きと緊張感を与える役割も担っている。
本講義では、出版社、新聞社、インターネット企業という複数のマスメディアに属した講師の経験から、政治ジャーナリズムの現場での働き方や報じ方を検討し、日本の言論状況に与える「一個人」の可能性と限界を見極める。また、学生や市民のメディアリテラシーの向上に寄与することも目的とする。

第二回「検察審査会から刑事司法民参加を考える」

日時:12月14日(土)13:00~14:30
場所・神田キャンパス5号館561教室
講師:船山 泰範(元日本大学法学部教授・弁護士)
論題:「検察審査会から刑事司法民参加を考える」
司会・コメンテーター:関 正晴(本学法学部教授)

講座の概要

 1.市民参加の 10年
 2.検察審査会の役割
 3.検察審査会が知られない理由
 4.討議に近づけるために
 5.  討議を支える主体的市民

この10年は、刑事司法に市民が参加した 10年であった。すなわち、裁判員裁判の導入と強制起訴を組み入れた検察審査会の運用である。この 2つが導入される背景には、民主主義的精神が立法において働いたからということも言えるが、一方で、このような制度改革をしなければならないほど、日本の検察と裁判は国民から乖離していたとも 言 えるのである。この点は、福島原発事故について、第 1に強制起訴されたこと、第 2に、第一審裁判所が無罪を言い渡したこと、に現れている。
私は、本年6月 29日、日本法育学会で模擬検察審査会の公開に尽力した。この製作の過程で研究したことや当日のシンポジウムで学んだことを下地として、検察審査会を活性させるためにどんな工夫をしたらよいか、を考えてみることにしよう。
私のアプローチは、まず、なぜ検察審査会が広く知られていないかを、裁判員裁判との比較の中で明らかにする。つぎに、検察審査会に対する要望・期待を手がかりにしながら、検察審査会という会議の進め方を改革する。そこでは、検察審査会へのいくつかの不満を逆転させて、生き生きとした検察審査会を試みることになろう。
検察審査会の理想像は、討議に近づけることである。討議というのは、一方的な意見表明やアンケートの集計とは異なり、争点について 、各人が理由をつけて述べ 、他者の意見を聞きながら、自分の意見を変えていくところに意味がある。議会制民主主義と並ぶもう一つの民主主義である。
討議を支えるのは誰か。自分が主権者であるという自覚を持ち、かつ、他者も同じ主権者であるという認識と行動力を有する市民である 。 このような主体的市民によって、はじめて討議は構成される。そして、そのような主体的市民を育成するしくみの一つが学校であり、大学は 、主体的市民を育成する人を育成する機関である 。

第三回「ファッションローへの招待」

日時:1月15日(水)10:50~12:20
場所:神田キャンパス5号館561教室
講師:関 真也(弁護士)
論題:「ファッションローへの招待」
司会・コメンテーター:田上 麻衣子(本学法学部教授)

講座の概要

近時、わが国や欧米を含め、世界的に「ファッションロー」という新たな法分野が盛り上がりを見せている 。「ファッションロー」とは、ファッションデザイナー、ファッションプロダクト、その他ファッション産業に関わる知的財産法、契約法、労働法等を含む 法領域の総称である 。このように、ファッションローは幅広い法領域を扱うもので あるが、中でも活発に議論されている分野の 1つが、ファッションデザインの知的財産法に よる保護である 。
ファッション、とりわけアパレル産業では、シーズンやトレンドに合わせ、商品のラインアップが短期間で入れ替わるという特徴がある。このため、商標権や意匠権など、登録手続を通じた権利の発生に時間を要するタイプの知的財産権は、この種のアパレル商品のデザイン保護には活用しにくいという実態がある。この場合、商品形態模倣規制など、登録等の手続きを必要とせずに保護が開始される知的財産権を上手に活用することが大切である。他方、商標権や意匠権も、登録・公開という手続きを踏むからこそ実現できるメリットがある 。
ファッションプロダクトは着用者や使用者を魅力的に装飾するためのデザインこそが商品価値の中核を占める。また、ファッション企業は短いシーズンの間に 利益を上げなければならない。このため、迅速かつ効果的に模倣品対策を行うことが非常に重要となっている。本講座では、こうした特徴を持つファッションデザインを、各種知的財産権を上手に使い分けて適切に保護するという観点から解説し、知的財産法全般の理解を深めることを目的とする。
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