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法学研究所公開講座「現場からの法律学・政治学」

〜学生と市民のための公開講座〜

皆さん、学生と市民のための公開講座へようこそ!

今年度は、昨年度に引き続き、『現場からの法律学・政治学』の第二シリーズをお届けします。
法律学も政治学も、生々しい「現場」との多くの接点を持っています。学術的な研究が「現場」で起きている諸問題から示唆を受けることも多くあります。また、研究がそれらの諸問題を解決するための何らかの示唆を「現場」に提供できることもあるでしょう。「現場」と研究とのそれぞれの立場が交流し合うことは、それぞれにとって極めて有意義であるに違いないと私たちは考えました。
このような考えに基づき、この公開講座では、まずそれぞれの「現場」の第一線で実際に活動しておられる方から、現場の様々な問題についてご報告を頂きます。そして、そこで提示された課題について討論することを通じて、「現場」と研究との接点を探っていきます。
私たちの社会には、多くの困難な課題が山積しています。テレビや新聞などで、それらの報道に接しても、一体どこに問題の本質があるのか、我々はどういう視点からその問題を考えたらいいのか、途方に暮れることも少なくありません。また、その課題の余りの困難さに、思わずそこから逃避したくなったりもします。しかし、私たち社会科学を学ぶ者は、その現実から目を背けたり逃避したりすることは出来ません。どんなに克服し難い困難があろうとも、それに立ち向かう強靭さと冷静さを、またそのための叡智を身に着けねばなりません。この講座では、そのような積極的な取り組みのための手がかりを皆さんに提供したいと考えています。

Hier stehe Ich. Ich kann nicht anders. ( M. Luther)
ここに我は留まる。我、他に為し能わず。(マルティン=ルター)

第一回「国際法・国際政治の現場から」

日時:10月21日(土)14:00~16:00
場所:神田キャンパス5号館571教室
報告者:角谷 亮(前・認定NPO法人 難民を助ける会プログラムコーディネーター)
論題:「日本の人道援助活動の現状と課題」
対論者・コーディネーター:森川 幸一(法学部教授)

講座の概要「日本の人道援助活動の現状と課題」

世界の人道危機は、昨年5月の世界人道サミットで確認された通り、各地で大規模化、長期化、そして複雑化し、人道支援を必要する人は、全世界で1億2,000万人に達し、難民・国内避難民の数も過去最大の6,500万人にのぼる。そのために必要とされる資金は、188億ドル(約2兆680億円)であり2000年と比較して10倍に膨れ上がる。この危機に対応するため、日本でも多様なアクターが様々な分野で活動を実施している。
本講座では、「日本の人道援助活動の現状と課題」と題して、大きく3つのテーマをお話する。1つ目は人道援助の基礎情報である。人道援助の定義やこれまでの人道援助の変遷、そして現在直面している人道危機を確認する。また、人道援助に関わる多様なアクターについてご紹介する。
そして2つ目は、人道援助活動の現状である。ここでは人道援助アクターの中でも、報告者が2016年まで9年間勤務したAAR Japan[難民を助ける会]での経験をもとにお話しする。具体的には、現在アフリカで最も多くの難民を生んでいる南スーダンから逃れてきた南スーダン難民支援について、隣国ケニアにあるカクマ難民キャンプでの活動を例に実際の支援活動についてご報告する。
そして最後のテーマとして、人道援助活動における課題について2点触れる。1点目は、人道危機が各地で大規模化、長期化する今、危機発生時から緊急支援だけではない開発支援の重要性、そして継続的、連続的な支援の必要性である。そして2点目は、人道危機をはじめとする国際協力に対する関心の低さである。
グローバル化が進み国際的な相互依存の時代の中で、本講座を通して「外」に目を向ける一つの機会を提供できればと思っている。

第二回「地方行政の現場から」

日時:11月25日(土)14:00~16:00
場所・神田キャンパス1号館204教室
報告者:内野 桂子(新宿区地域振興部 多文化共生推進課長)
論題:「自治体における多文化共生の取組み――新宿区の事例と国の入管政策の動向」
対論者・コーディネーター:鈴木 潔(法学部准教授)

講座の概要「自治体における多文化共生の取組み――新宿区の事例と国の入管政策の動向」

2016年末現在における在留外国人数は238万2,822人となり、前年末に比べ、15万633人(6.7%)増加し、過去最高となった。在留外国人数の増加は1980年代から続いている。グローバル化の進展、一部の産業における人手不足、人口減少の拡大等に鑑みれば、在留外国人の増加は今後も継続することが予測される。
そのような中、国と自治体は10年以上前から多文化共生施策を推進してきた。多文化共生とは、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」を意味する(総務省「地域における多文化共生推進プラン」(2006年3月)。
本講座では、近年ますます重要性を増している多文化共生の取組みに焦点を当て、自治体における具体的取組みと国の政策動向を報告する。
まず、「新宿区おける多文化共生施策の現状と課題」と題して、全国でも有数の外国人住民が多い自治体である新宿区の事例を報告する。同区では、「しんじゅく多文化共生プラザ」を軸としたネットワークの構築、日本語学習支援の充実、外国人への情報提供と相談窓口の拡充など、先駆的な施策に取り組んできたところである。
次に、「国の入管政策の動向」と題して、1980年代から今日までの入管法の変化や外国人労働者の受け入れ状況を報告する。日本政府は「専門的・技術的な職種については外国人の就労を促進する一方、それ以外の単純労働については就労を認めない」という方針をとっている。しかし、実態としては、単純労働に就く外国人は増加し続けてきた。
本講座では、多文化共生について、自治体の現場と国の政策の双方から検討することで、外国人住民との共生のあり方を多面的に捉えてみたい。

第三回「刑事法・刑事政策の現場から」

日時:12月9日(土)14:00~16:00
場所:神田キャンパス5号館571教室
報告者:田口 寿子(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院司法精神科医長)
論題:「精神障害と犯罪 ― 司法精神医療の現場から」
対論者・コーディネーター:渡邊 一弘(法学部教授)

講座の概要「精神障害と犯罪 ー 司法精神医療の現場から」

「精神障害」と「犯罪」という2つの単語を並立すること自体、偏見を助長するのではないかと身構えてしまうほど、このテーマについて語ることは難しい。だが、不幸にして精神障害になり、さらに不幸にして犯罪に至ってしまった精神障害者は、何重ものハンディキャップを負って困難な人生を生きており、その現状を多くの人に知ってもらうことは、精神障害による犯罪を防ぐことのできる社会を構築していくためにも不可欠ではないかと考える。
本講座では、精神障害と犯罪に関する基本的な事項やわが国の統計などを提示した後、精神障害がどのように影響して犯罪に至るのか、現代のわが国で犯罪を起こした精神障害者がどのような刑事手続きを経て、どのような処遇を受けるのか、について、いくつか主要な精神障害の仮想ケースを通して説明する予定である。特に殺人、放火などの重大な他害行為を行い、刑事責任を減免された精神障害者に対し、専門的な治療を行うことを定めた心神喪失者等医療観察法は、わが国で司法精神医療の実践をようやく可能にした画期的な法律であり、そのもとで展開されている多職種チーム医療の成果や社会復帰に向けての取り組み、依然として山積している課題などを中心にお話したい。
重大犯罪の加害者に精神鑑定が実施され、刑事責任能力の有無が裁判で争われるたびに、「精神障害を理由に刑事責任を免責することが許されるのか?」という議論が繰り返される。しかし、精神障害者に重い刑罰を科さないという考えは、法体系が存在しない古い時代から現在まで、そして多くの異なる文化圏において存在してきた。自分の行為に対して責任を取ることのできる人のみを有罪とすべきであるという責任主義も普遍的な法的原理である。その普遍性の人間学的な根拠について、皆さんに深く考えていただく機会になれば、と願う。
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