修了生のメッセージ

修士論文を突き詰められた経験は
「完遂できる」証しとして人生の支えに。

文学研究科修士課程歴史学専攻修了

北村 美樹

専修大学文学部卒業後、同大学院文学研究科で修士課程を修了。
現在は、専修大学総務部人事課に勤務。

——取り組んだ研究テーマについて教えてください。

日本古代史を専門に、主に天皇や上皇が崩御した後に行われた儀式や、その後の供養のあり方を研究しました。崩御から埋葬されるまで、また命日ごとに行われる供養や供物を奉る儀式などを比較し、身分や時代によってどのような違いがあるのかを明らかにすることが目的です。こうした儀式の手順や記録を一つひとつ丁寧に調べることで、古代から続く葬送儀礼の仕組みや変化の様子を捉えることができたのは、私の大学院での研究成果です。

——学部時代と比べて、大学院の学びはどのように違いましたか？

大学院に進学してまず感じたのは、学びの深さが格段に増すということでした。学部では史料を読む基本的な力を養うことが中心でしたが、大学院では自らの研究テーマを徹底的に掘り下げ、最終的に修士論文として形にすることが目標になります。文献の一字一句を細かく検討し、史料の意味を正確に読み取る作業を重ねました。漢字一文字の解釈が文章全体に影響することもあり、辞書を引き、先行研究を参照しながら論理を積み上げていきます。

——研究生活で印象に残っていることはありますか？

学部生の時には気づけなかった解釈を史料から見出せた時の感動はひとしおでした。研究テーマに従って読み込んだのは、主に平安～鎌倉時代の貴族の日記類や有職故実関係の史料です。図書館に１日中籠りきりになって没頭したあの時間は、何にも代えがたい贅沢で幸せなひとときでした。

——専修大学院ならではの魅力について教えてください。

少人数制で先生との距離が近いことが最大の魅力です。研究内容の相談だけでなく、進め方や心の持ちようまで親身になってサポートしていただきました。例えば、進捗が芳しくない時期には、「論文の執筆がはかどらない時は史料を読み込み、読み込むのに疲れた時は論文に取り掛かろう」と先生に声をかけていただきました。
また、自分の専門を超えて考古学やアジア史などの分野に触れられる点も特長です。歴史学は時代や地域のつながりを多角的に見ていく必要があります。他分野の先生や学生と研究テーマについて気軽に話せるのは楽しかったですし、意見交換を通じて自然と学びを深められる機会が豊富で今振り返るととても貴重な環境だったと思います。

——大学院での経験は、今どのように役立っていますか？

研究を通じて培った「史料を正確に読み解く力」や「論理的に構成する力」「相手に伝える力」は、あらゆる仕事のベースになります。現在大学職員として人事課に勤務していますが、資料を作成する際にはそれらの力を使って過不足なく相手に意図や情報を伝えています。
実務的な面以外では、「私はやり遂げられるんだ」という自信がついたことが大きいです。2年間で学問を徹底的に深掘りし、修士論文という形にできた経験は、揺るぎない人生の財産です。

——最後に、これから大学院進学を考えている受験生へのメッセージをお願いします。

大学院での学びは、学部とは比べものにならないほど濃く、深くなります。自分の好きなテーマをとことん追究できる時間はとても貴重です。専修大学大学院は、先生方や仲間、職員がしっかりとサポートする環境が整っています。安心して研究に打ち込める場所なので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。