文学研究科国文学専攻(現:日本語日本文学専攻)修士課程修了
上山 和宏
専修大学商学部卒業後、同大学文学研究科国文学専攻に進学。
現在は、専修大学附属高等学校の教員として国語(現代文)を担当。
——どんなことがきっかけで大学院への進学を決めたのですか?
私はもともと学部では商学を学んでいました。就職を考えて進学の際は商学部を選びました。商学部の私が大学院への進学かつ分野の違う文学研究科をめざしたきっかけは、学部の2年生時に参加した語学研修でした。中国にある協定校での研修で現地の学生から“夏目漱石”について質問されました。もともと趣味で読書はしていましたが、“夏目漱石”に関して表面的なことしか答えることができませんでした。帰国後もこの挫折感はしばらく消えることなく、文学を研究したいという気持ちが日に日に大きくなりました。所属していたサークルでも大学院へ進学した先輩もおり、日々研究に取り組む姿を見て、私も研究に打ち込みたいと強く考えるようになり、大学院の進学を決意しました。
——大学院から別分野を学ぶにあたりどのような困難がありましたか?
大学院へ進学する方の多くが、学部時代に学んでいたことを基に研究するのに対し、学部が違う私は足りない知識を埋めていくことが必要でした。近現代文学は好きな分野だったので比較的すんなり進めることができました。それ以外の分野については、苦労しました。先生にお願いして、文学部のゼミナールを含め授業に参加させていただき、 積極的に知識を吸収しました。商学部の勉強と並行して大学院の文学に関する勉強に取り組むのは、正直かなり大変でした。ただ、自分が決めたことなので困難ではありましたが努力しただけ日々知識が増えていくことに充実感がありました。
——具体的な研究内容を教えてください。
明治時代の文学作品、とりわけ北村透谷という詩人の作品を研究していました。具体的には、彼の作品のなかでも「蝶」をモチーフに詠まれた三つの詩を対象に、作品内の言葉や表現を歴史的・社会的・文化的な背景をふまえて分析し、時代が作品に与えた影響、あるいは、逆に作品が時代に与えた影響を考察することを研究テーマとしていました。
——現在の仕事に就いた経緯を教えてください。
私が教員を目指すきっかけになったのは、韓国の大学で日本語教員として赴任したことです。大学院進学の段階では、教員になろうと決めてはいませんでした。大学院修了後に地元の高校で非常勤講師として勤務していた時に指導教授から韓国の大学で日本語と日本文化を教える講師の話をいただきました。出発の段階では、ほとんど韓国語はできませんでしたが2年半韓国で教員として勤務しました。この経験が教員の道を選ぶきっかけとなりました。大学では、日本語の読み書きが全くできない学生が驚くほど上達する過程に携わることができました。学ぶことに興味を持つ生徒がしっかりと勉強すれば伸びることを体感し、それをサポートする教員の仕事にやりがいを感じた瞬間でした。日本について学ぶ学生を見ながら、私自身も韓国語の読み、書きを学び気付けば韓国語が上達していました。
——現在の仕事に活かされている大学院での学びや経験はありますか?
教員となり現在、高校で現代文を教えていますので、大学院で学んだ学問へのアプローチ方法は非常に役立っています。例えば、文学研究の基本的なアプローチである「歴史的・社会的・文化的な背景から考える」という行為は教材研究に大いに役立っています。また、分からないことに直面した際の行動として、調べる、考える、専門家に聞く、それでも分からない場合は、一旦保留して他の問題との関係性から捉え直してみる、といったプロセスを自然と実行できるのも大学院での経験が活きていると思います。
——専修大学大学院の魅力を教えてください。
昔も今も「環境」の魅力が大きいと思います。例えば、先生方が研究者として第一線で活躍されていたり、個性的であること、そして、将来の研究者を育成する意識を強く持たれている点が魅力だと思います。また、大学職員の方が親身になって対応してくださったことも強く記憶に残っています。私がゼロから文学研究を始めて修士論文を書き上げられたのは、こうした「環境」のおかげであると感謝しています。
——専修大学大学院への進学を検討されている方へのメッセージをお願いします。
学びたいことがあって、このまま就職してもいいのだろうかと少しでも迷いがある方は、大学院に行ってとことんやってみるのが良いと思います。私が在籍していた時よりも設備は充実しています。先ほどお伝えした魅力も含めて学ぶ環境は整っています。ぜひ、進学という選択を前向きに考えてみてください。