修了生のメッセージ

好奇心に従って学問を追究し
研究者としての土台を確立する

文学研究科博士後期課程英語英米文学専攻修了

上原 岳

専修大学文学部卒業後、同大学文学研究科で修士・博士課程を修了。
現在は、専修大学文学部で助教として勤務。専門は英語教育学。

——学部と大学院では、学びの内容に違いがありましたか?

大きく違いました。学部では基礎を学ぶことが中心でしたが、大学院では最終的に論文を完成させることが目的になります。そのため、先行研究を徹底的に読み込み、自分の研究テーマに合った理論を組み立てていきます。そして、授業といった実践を通じてその理論の妥当性を検証し、分析を重ねていく。まさに自分の手で研究を「生み出していく」という感覚でした。

——研究テーマについて詳しく教えてください。

英語教育学という研究分野で、「書き言葉を通じて適切なコミュニケーションを行えるようになるための指導法の考案とその効果の検証」というテーマに取り組みました。多くの学校現場では、英語の文章の「型」を教えることに重点が置かれています。しかし、人が文章を書く前には、考えを整理したり、読み手を意識したり、さまざまな認知的プロセスを経る必要があります。その過程も考慮しながら、学習者がそれぞれの目的に応じて適切な文章を書けるようになるための新しい指導法を提案し、検証しました。
まずは先行研究をもとに理論を構築し、私自身が実際に非常勤講師として担当していた授業でその理論を活用した指導を行いました。その結果を分析し、考察を深めてさらに改善策を模索。すると一定の効果があることが判明しました。試行錯誤を続けて得られた効果を、博士論文にまとめました。

——研究をするなかで壁にぶつかった経験はありますか?

人が対象の研究なので、思いがけない結果が出てしまうことがありました。そんな時、指導教授をはじめ先生方の存在は非常に大きかったです。とても熱心で親身になってくださる先生が多く、気軽に相談できる雰囲気だったので一人で悩まず新たな方法を試そうと前向きに捉えられました。また、大学院の仲間たちの存在も大きな支えでした。お互いの研究を語り合ったり、励まし合ったりできる環境だったので、孤独を感じることはほとんどなかったですね。

——専修大学大学院ならではの魅力について教えてください。

研究環境の良さは特筆すべき点だと思います。文学研究科がある生田キャンパスは緑豊かで、行き詰まった時にはよく周囲を散歩してリフレッシュしていました。博士後期課程の学生には専用の自習室もあり、集中して研究できました。
そして何より、先生方や職員の方々の親身なサポートが心強かったです。研究内容はもちろん、研究の進め方や心の持ちようまで、いつでも丁寧に相談に乗っていただける環境が整っていました。自分のやりたいことに真剣に打ち込める、そんな場所だったと感じています。

——大学院での経験は、現在どのように活かされていますか?

現在は大学や高等学校で担当授業を持ちながら、専修大学の助教として研究を続けています。授業の準備や振り返りをしつつ、論文執筆や学会発表に取り組んでいます。日頃の研究活動や現場での実践を通じて、研究者としても教員としても成長していけるよう努めています。
大学院で学んだことの中でも特に大きかったのは、研究の進め方や向き合う姿勢を身に付けられたことです。学問を楽しみながら研究者としての軸を確立できたからこそ、今の私があると思います。

——最後に、これから大学院進学を考えている受験生へのメッセージをお願いします。

大学院での学びは、学部とはまったく違う深さと発見があります。もちろん簡単な道ではありませんが、興味がある分野について好奇心に従って追究できるのは、人生の中でも貴重な経験だと思います。
専修大学大学院は、先生方や職員、仲間たちの支えを受けながら、自分のやりたい研究に全力で取り組める場所です。一歩踏み出せば、きっと新しい自分と出会えるはずです。少しでも興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。