学部長メッセージ

文学部長 道家 英穂
道家英穂文学部長
 文学部は、日本文学文化、英語英米文、哲学、歴史、環境地理、ジャーナリズムの6学科からなります。自分の興味・関心に合わせて他学科の科目も受講でき、人間や文化について広くかつ深く学ぶことができます。文学部で身につける「知」は、社会に出てすぐに役立つとは限りませんが、確実に人生を豊かにしてくれます。
 最近の学生は知的好奇心が旺盛で、新しい知識を吸収することに意欲的です。一方でデジタル化の弊害も感じます。学生の皆さんには、インターネットで得た情報をうのみにしたり、一つの情報だけで理解した気になったりするのではなく、先入観にとらわれず、図書館などを活用して広く情報を収集してほしいと思います。その上で、客観的な視点を持ち、本質を見抜く力を養うことが肝要です。
 私の専門は英文学で、今年のゼミではカズオ・イシグロの『日の名残り』を原文で読んでいます※。この作品には主人公の仕事観、栄光と失意、人間の品格など、さまざまなことが描かれています。文学とはある意味、人生そのものです。学生のうちから多くの本に触れ、さまざまな生き方があることを学んでほしいですね。長い人生の間には、壁にぶつかることもあるでしょう。しかしそれもまた人生であり、むしろそういった体験こそが人生を豊かにするということを文学は教えてくれます。
 専修大学に入職して30年以上。昔と比べて大学を取り巻く環境は変わりましたが、学生が充実した学生生活を送り、「専大にきて良かった」と思えるような文学部であり続けたい。学部長として、学生は勉学に、先生方は研究・教育に打ち込める環境をこれからも守り続けたいと考えています。
※取材時:2022年
【略歴】
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。1987年本学文学部講師、2001年同教授。大学院文学研究科長などを歴任。「クリスマスプレゼントを靴下に入れるのはなぜ」という話題などでNHK「チコちゃんに叱られる!」に出演。神奈川県出身。