学長挨拶

専修大学学長 佐々木 重人

 専修大学は、1880(明治13)年に創設されました。今年は創立138年に当たります。相馬永胤、田尻稲次郎、目賀田種太郎、駒井重格の4人の創立者たちは、アメリカのコロンビア大学、エール大学、ハーバード大学、ラトガ-ス大学に留学し、帰国後、自ら学んだ経済学や法律学を社会に還元すべく「専修学校」を創立しました。当時、官立の専門学校には、高い学費と、「洋語に達し、原書に通ずるにあらざれば就学するを得ざれ」、という二つの大きな障壁が設けられていました。創立者たちは「創立趣旨」のなかで、こうしたハードルを取り除き、広く学ぶ意欲のある学生を募ると、専修学校創設の意義を高らかに謳いあげています。つまり、日本語による専門教育を展開することにより、近代国民国家の屋台骨を支える人材を幅広く育成しようとしたのであります。

 創立138年とはいえ、本学の歴史は決して平坦なものではありませんでした。なかでも関東大震災や第2次世界大戦の惨禍、そして2011(平成23)年の東日本大震災など、さまざまな困難に直面した歴史を持っています。しかしこれらの困難を克服し、その都度再起することができたのは創立者たちの大学への熱い思いと、それを受け継いだ教職員・卒業生・学生、そのご父母・保護者たちの尽力によるものでした。学長の私と致しましても、学灯を守り、さらに次の世代に確実にバトンタッチしていきたいと思っています。

 戦後44年にわたって続いた東西冷戦時代が終焉し、世界は一極集中から、さらに最近では多極化の様相を呈しています。さまざまな国家間対立や民族紛争、また文化の領域においては宗教対立や文化摩擦などいよいよ混迷の度を深くしているように思われます。本学では21世紀の教育目標を「社会知性の開発」と定め、新しい時代にふさわしい高等教育機関としての教育目標を提起しました。それは現代の社会に生起するさまざまな課題を地球的視野に立って自ら発見し、進んで解決する能力を身につけることであります。こうした目標に基づき、2014(平成26)年4月から、新しい学士課程教育を展開しています。そこでは従来、教養と専門の2つの領域から構成されていた学士課程教育を、転換教育・導入教育・教養教育・専門教育課程の4領域に再編成し、専門領域のいかんを問わず、多様化する現代社会を生き抜く知力を身につけ、4つの課程を経ることによって基礎から応用の段階にスムーズに移行できるよう科目群を編成しました。今後も新時代にふさわしい学士課程教育を推進していきます。

 こうした大学づくりには、キャンパスの整備も避けて通れません。2014(平成26)年には、神田キャンパスでは先駆的なアクティブ・ラーニング施設を設けた5号館、生田キャンパスでは国際化時代に対応する国際交流会館が完成し、多くの学生・留学生に親しまれています。さらに、博物館実習施設のほか、アクティブスタジオとラーニングシアターを有する2号館、大学院教育の拠点となる3号館も完成し、2017年4月より使用を開始しました。また、創立140周年(平成32年)に向けて、神田キャンパス靖国通り沿いに新校舎を建設する予定です。

 創立140周年に向けては、新学部・学科構想の実現に向けた準備を進めており、2019年度には文学部ジャーナリズム学科の改組新設および経営学部での学科増設を伴ったカリキュラム改革を行う予定です。また、2020年度には、神田キャンパスに国際系新学部の創設および商学部の神田キャンパスへの移設を行う予定です。経済学部も2020年度以降の学科再編を目指し、検討に着手したところです。これらを着実に実行し、目に見える形で改革を推し進めてまいります。

 そして、本学の21世紀ビジョンである「社会知性の開発」を具現化し、教育・研究の発信力を強め、専修大学のさらなる飛躍の礎を築いていく所存です。
専修大学長 佐々木 重人


2017年7月掲載
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