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キャンパスハラスメントコラム 2018年度

「仮定法過去」から学んだこと(ニュース専修2019年3月号掲載)

人間関係は喜びをもたらしてくれるが、時にはトラブルの源ともなる。トラブルが生じると、私たちは感情的になり、つい相手を傷つけハラスメントに結びつくような言動をとってしまいがちである。理性を取り戻すにはどうしたらよいのか。その答えは、深呼吸をし、時には一晩寝るなどして、少々「時間を置いて」、「相手の立場に立って」みようとすることだと思う。
先日本学のある大学院生が高校の英語教員の採用試験を受けたところ、模擬授業を行うこととなった。高校から指定された課題は仮定法過去を教えるというものだった。仮定法過去とは現在の事実とは反することを表すものである。私が高校で学んだ例文の1つは、If I were you, I would go abroad.(もし私があなただったら外国に行くのに)というものだった。現在のことを述べているのにwereやwouldといった過去形を用いている。なぜか。大西とマクベイによる著書(2012年)によると、それは「現実離れ」を表現するために、現在から離れた過去のものとして事態を眺めてみようという「距離感」を出したいという意識が働くからであると説明している。
相手の立場に立つ、まさにIf I were youという気持ちになるには、「時間的な距離」が必要なのである。高校の授業では、If I were a bird, I would fly to you.という例文も学んだが、「鳥になんてなれっこない」とつぶやきながら奇妙な例文だと思っていた。しかし、後に、「あなたのもとに飛んでいくのに」と、相手を思い慕う気持ちを表したこの例文も人間関係のあり方を伝えていると気づいた。
ちなみに、先の大学院生は練習の成果が実り、採用試験での合格を「反事実」ではなく確かな「現実」のものとすることができた。
 
(キャンパス・ハラスメント対策室員・上村 妙子)


 

星の王子さまとモラル・ハラスメント(ニュース専修2019年1月号掲載)

いわずと知れたサン=テグジュペリの世界的ロングセラー、『星の王子さま』。この作品の主題についてはさまざまな研究や解釈がなされ、多くの著作が刊行されています。
そのひとつに、『誰が星の王子さまを殺したのか』(安冨歩著、明石書房、2014年)があります。同書はこの作品について、王子が自分の星に咲いたバラから受けたモラル・ハラスメントによって精神が混乱し、放浪先の地球で出会ったキツネの助言がセカンド・ハラスメントとなってさらに自分を責めることになり、毒蛇に自身を噛(か)ませて自殺に至る物語である、と解釈しています。
王子は自分の星でバラを懸命に世話するのですが、バラの高慢な態度に疲れて星をあとにします。バラ自身は王子を虐待しようとしてわがままを言っていたわけではないでしょうし、王子もまた、ハラスメントの被害者であるという意識は持ち合わせていません。それどころか、「バラに対して責任がある」と思い込んでしまうのです。
モラル・ハラスメントとは、ことばや態度などによって人の心を傷つける、精神的な暴力や虐待のことですが、その恐ろしいのは、被害者が、こうなったのは自分のせいだと思い込むようになり、深刻な事態になってしまうことにあります。
自分が被害者なのに加害者を擁護してハラスメントではないと主張する…あなたの近くにそんな王子はいませんか。彼を救う最善の方法は、あなたが対策室に声を掛けることかもしれません。
 
(キャンパス・ハラスメント対策室員・齋藤 雅彦)

 

ハラスメントになる前に(ニュース専修2018年11月号掲載)

近頃、自然災害などによる電車の遅延・運休が珍しくなくなりました。混雑したホームでため息や怒声が発せられた、などの報道を目にします。暴力的な行為が付随することもあるようで、こうしたサービス業で働く人に対する迷惑行為も、お客様は神様、と思いこむパワーバランスから生じるハラスメント行為ではないでしょうか。数年前に、希望する鉄道会社に就職した学生がいたので、彼がそんな目にあわないことを願うばかりです。
仕事や研究のため訪れるドイツでも、運休や遅延がよくあります。2015年の夏期留学(現在は春期に実施)の引率時に、大学本部の国際交流の方と打ち合わせをするため、電車で移動する必要がありました。ところが、1時間に1本しかない電車が直前に「運休」となり、相手方を1時間待たせることとなり、心苦しい思いをしました。
今年の夏も、乗車したICE(高速列車)が2時間遅れた末に、運転手の勤務時間の超過のため、全員下車させられ、結局のところ3時間遅れで目的地に着きました。
どちらの日も、怒声は聞かれず、キレた乗客も見当たりませんでした。ICEの車内では、たまたま乗り合わせた(見知らぬ同士の)乗客の間で、会話が始まりました。これはまだ良い方だ、私はもっとひどい目にあった、というエピソードが次々に披露されたのです。
ドイツでは、遅延に慣れてしまっているということもあるでしょうが、周りの人と会話をし、出来事を相対化することでストレスを幾分やわらげているのかなと感じました。ハラスメント行為に至る前に、うまくストレスを解消したいものです。

 (キャンパス・ハラスメント対策室員・西口 拓子)

チームの力や成果を高めるために(ニュース専修2018年9月号掲載)

ある講演会で「心理的安定性」という言葉を知りました。この言葉は、米グーグルが社内の生産性を向上させるためには、何が重要なのかを調査した研究で注目されるようになり、「チームの生産性や成果を高めるためには、本来の自然体の自分をさらけ出せるリラックスした雰囲気のもと、自分の考えや疑問を素直に発言でき、それを受け入れてもらえる環境が大切である」ということです。さらに、このような環境の下では、「コミュニケーションが増えることで目標や方向性が共有される」、「リスクを冒してもチャレンジできるようになる」、「メンバー間での意見対立や衝突があったとしても、更なるプラスの成果を生み出すことができる」とも言われています。
大学においては、学生の皆さんがスポーツ、サークル、ゼミなど、チームで力を結集し、優れた成績や成果を出すことを目標にして日々励んでいます。
これらの活動においては、規律や時には厳しさも必要であるため、すべてが自由に、気兼ねなくとはいかないと思います。しかし、こういったことを意識して諸活動を行っていくことは、社会に出てからも大変役に立ちます。4年間の大学生活の中で、それぞれのチームやグループで何かを成し遂げるという際にはぜひ、心理的安定性を意識した環境作りを心がけてみて下さい。
コミュニケーションをベースとした信頼関係を築いた上で、さらに相手への心づかいや配慮をすることは、ハラスメントを防止する上でも重要なポイントです。
皆さんが日々自然体で活動することができて、チームとしても良い成果をあげることができますように!

 (キャンパス・ハラスメント対策室員・丸橋 和彦)

「恋する権利」――カトリーヌ・ドヌーブ「口説く権利」(?)の前に(ニュース専修2018年7月号掲載)

中学から高校生だった1960年代後期に使っていた「旺文社学生日記」という日記帳の欄外には、日々の名言、警句が小さな活字で印刷されていた。今でも印象に残っているものに、「恋とは一人のすばらしい女性に出会うこと、そしてそれがただの一人の女にすぎないことを覚(さと)るまでの人生の甘美な休憩時間である」という一文があった。
この言葉を残した人によれば、世の中には「すばらしい女性」などというものは存在しない、すべてはただの幻想にすぎないようである。しかし、そんな言葉を知った後でも、高校生だったぼくは、通学のバスで乗り合わせる女子高生にたびたび恋をした。声をかける勇気もないままに彼女のあとを追って吉祥寺の街を歩いたこともある。
こんな思い出話を書きながらも、キャンパス・ハラスメント対策室員としてあるまじき言動ではないかという自己検閲の気持ちを禁じえないでいる。放課後の城山に登って彼女の家に明かりが灯(とも)るまで遠く眺めていたという「青春の城下町」の高校生の淡い恋心なども、今ではストーカー呼ばわりされかねない。好きになってしまった女の子が自分のことをどう思っているのかだけでも心煩わされるのに、今どきの少年たちは、その恋がハラスメントに該当しないか否かもチェックしなければならない。
今でもあるとしたら「旺文社学生日記」の欄外には、何が書いてあるのだろうか。

 (キャンパス・ハラスメント対策室員・家永 登)

環境の変化にも注意を(ニュース専修2018年5月号掲載)

キャンパス・ハラスメント対策室の室員に任命されて1年、これまではさほど気にすることのなかった「ハラスメント」という言葉が、メディアなどを通していやが応でも耳に入り、意識することが多くなりました。それで感じることは、○○○ハラスメントの「○○○」の種類の多さでしょうか。「パワー」「セクシュアル」「アカデミック」「モラル」「アルコール」「カラオケ」「時短」等々。世の中には様々なハラスメントが蔓延しているようです。こうしたハラスメント関係のニュースにおいて、加害者側の「悪気はなかった」といった発言が伝えられることもありますが、加害者にならないために、普段の言動や振る舞いにも十分な配慮が必要であるということを考えさせられた1年でもありました。
さて、新年度を迎えて1ヵ月半ほどが経ちました。新入生はもちろんのこと、環境が大きく変わったという人も少なくないと思います。環境の変化には、新たな出会いや発見などのすてきな面がある一方で、新たなハラスメントが生じやすい面もあるように思われます。
まずは、大学の構成員一人ひとりが加害者にならないための努力をすることが重要ですが、もしも今、被害を受けながら誰にも相談できず、一人で悩み苦しんでいるなら、キャンパス・ハラスメント対策室が作成しているリーフレット「ハラスメントのないキャンパスへ」を手に取り、そして対策室のドアをノックしてください。ほんの少しだけ勇気をだして。

 (キャンパス・ハラスメント対策室員・佐藤 純子)
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