キャンパスハラスメントコラム 2016年度

人間関係を円滑にするための約束ごと?~我が家の場合(ニュース専修2017年3月号掲載)

ハラスメントは他人との関わりから生じるものです。そのため、ハラスメントは相手の取り方ひとつで判断され、いついかなる場合にも生じ得るものだと思っている方はいませんか。実は私もキャンパス・ハラスメント対策室員になるまではそのように思っていました。しかし室員になって研修や様々な事例を通して、ハラスメントとは、立場や状況の優位性が存在する場合に生じやすいものであることがわかりました。たとえば自分が優位であるときの関係性(先輩-後輩、教員-学生、上司-部下等)や状況においては、意識的か無意識的かに関わらず相手を傷つけてしまうことがあり得るのです。そのような場合・場面では、充分に相手を気遣う必要があります。
話は飛びますが、我が家には幼い頃から繰り返し聞かされてきた約束ごとがあります。それは「自分が嫌だと思うことは他人にもしないこと」。人生において争いやストレスの原因となるのは主に人間関係ですから、少しでもそれを円滑にするために親がくれた知恵だったのだと思います。しかし、当たり前ですが自分が嫌だと思うことはわかっても、他人が何を嫌だと思っているのかを知る術はありません。ですから、この約束ごとを守っていても軋轢が生じることはあるでしょう。ですが、この約束ごとが優れていると思うのは、「自分と相手が対等である」という前提に基づいている点です。多くの人が時には今ある立場や状況から離れて、相手のことを自分と同じ人間だとして思いやる気持ちを持てたなら、ハラスメントは生じにくくなるのではないでしょうか。ただ、それが難しい状況も現実には多々あります。そのような状況で悩みを持った時には迷わずにキャンパス・ハラスメント対策室に相談に来てください。

 (キャンパス・ハラスメント対策室員 赤坂 郁美)

一人で悩まず、相談を!(ニュース専修2017年1月号掲載)

直接的なハラスメント行為でない場合、それがハラスメントなのか、それともコミュニケーションや指導などの一環なのか、受け取り方や感受性は人それぞれ違うかもしれません。しかし、「やめてほしい」「不快だ」という意思表示をし、その後も引き続き行為が繰り返された場合は、ハラスメントであると言えます。ただ実際には、目上の人や同じグループのメンバーに「やめてほしい!」と伝えるのは勇気のいることです。「どうやって相手に伝えたらよいのだろうか・・・」、「場の雰囲気を壊してしまうのではないか・・・」「状況がさらに悪化してしまうのではないか・・・」と悩み、「やめてほしい」と言えないことも多いのではないでしょうか。
そんな時は、迷わずキャンパス・ハラスメント対策室まで、気軽に相談に来てください。当事者間や、友人同士で悩みを解決するよりも、対策室員のアドバイスを受けたり、対策室員が両者の間に入ることにより、問題の確実な解決に繋がります。
 また、時間が経過すればする程、ハラスメント行為が深刻化したり、記憶が曖昧になり、問題の解決に時間を要してしまう一因となります。さらに、その間苦しみ、悩み続けることになり、体調にも変化が出ることがあるため、できるだけ早いタイミングで相談することが大切です。
最後に、友人や知り合いがハラスメントを受けているのでは?、ハラスメントで悩んでいるのでは?、と感じたら、キャンパス・ハラスメント対策室での相談を勧めたり、「一緒に相談に行こう!」と声をかけてあげてください。ハラスメントをなくし、皆さんの大学生活が充実したものとなるよう、どんな些細なことでもキャンパス・ハラスメント対策室に相談してください。
(キャンパス・ハラスメント対策室員 丸橋 和彦)

大学とハラスメント:そのヤヌス的な顔 ―「謙虚な専大人」へのお誘い―(ニュース専修2016年11月号掲載)

1991年、アメリカに衝撃が走る。Anita Hillという女性が、アメリカ連邦最高裁の判事として指名されたClarence Thomasからセクハラを受けたと、議会で証言したからである。社会の模範中の模範となるべき最高裁の候補者が皮肉にもセクハラで訴えられたという点で、この事件の衝撃は計り知れない。実際、ハラスメントに関する活発な議論はこの事件から始まったと言っても過言ではない。
この事件を受け、私の専門分野でも職場でのハラスメントは重要なテーマとなる。そして、多くの研究が、ハラスメントの根底には「パワー関係」が潜んでおり、ハラスメントとはパワーの「誤った行使・乱用」にほかならない点を突き止める。Anita事件の背後にも、パワー関係があった。Anitaは雇用の継続と昇進を望んでいたが、その望みは上司のClarence次第だった。そして、Clarenceは謙虚ではなかった。彼は、自分のパワーを乱用し、性的な嫌がらせをやってしまったのである。このように考えると、ハラスメントを防ぐには、何より「謙虚さ」が必要であることに気づく。
理論上、大学はハラスメントとは無縁のはずだ。大学の重要な目的の1つが教養人の養成にあり、教養を身に着けた人々が相手の人権を踏みにじるような行為をするはずがないからだ。しかし、大学は他のところに比べ、ハラスメントが起きやすいところでもある。なぜなら、「先生と学生」、「先輩と後輩」、「監督・コーチと選手」、「上司と部下」、「正規と非正規」等等、大学には多様なパワー関係が存在しているからだ。我々に、「謙虚さ」が強く求められている所以(ゆえん)である。
 教員の皆さんは研究と教育に、学生の皆さんは学びと自分の成長に、体育会の皆さんは勝利に、職員の皆さんは専大への貢献に貪欲であってほしい。しかし、ハラスメントに関しては、どうか「謙虚な専大人」であってほしい。

(キャンパス・ハラスメント対策室員 蔡 芢錫)

『指導者に必要なもの』(ニュース専修2016年9月号掲載)

通っているスポーツクラブに全国大会入賞経験のあるキッズダンスチームがある。ある日のこと、インストラクターがメンバーに「あなたは個性を出し切っていない。もっとできるはず」と声をかけていた。口調は厳しかったが同じ目線で真剣に向きあうその姿をハラスメントと感じる人はいないだろうと思った。
スポーツ活動における体罰や暴力行為の報道があると「またか」と感じる方が多いだろう。本学体育会では主将主務、指導者にハラスメント防止研修を毎年実施していることをまず報告しておきたい。
暴力行為根絶と競技力向上のため2013年、当時の文部科学副大臣の下に「スポーツ指導者の資質力向上のための有識者会議」が設置された。能力向上を期す「モデル・コア・カリキュラム」が一部の体育大学でトライアル実施されている。コーチングの理念や哲学、倫理観、他者とのコミュニケーションといった“人間力”を養うための科目が多くなっていると(公財)日本体育協会『Sports Japan vol.26』にあった。
現代の指導者には、選手と十分なコミュニケーションをとって信頼関係を構築し、能力を伸ばしていくことが期待されている。
対話を重視した「コーチング」を受けた選手たちは、スキルだけでなくスポーツの素晴らしさ、楽しさを次世代に伝えていくことができるだろう。
尊敬できる指導者や先輩と接した“人間力”の高い選手たちが卒業後、さまざまな分野で活躍できるように見守っていきたい。

(キャンパスハラスメント対策室員 飯塚 康子)

ストレスが依存を生む?(ニュース専修2016年7月号掲載)

「どうも最近ゼミの連絡がこない」と思っていたら、ゼミ生同士の連絡は、いつの間にかLINEとかいうアプリに移行していたようで、カメラもブラウザも付いていない、古典的携帯電話しか持たない老生としては、「メールも送ってね!」と頼むしかない。ただWWW以前から、さまざまなネット環境を試してきた経験から言うと、コミュニケーションの手段を、単一のアプリに依存してしまうのは極めて危うい。
小学生からケータイを持ち、物心ついた頃にはスマホがあるのが当たり前であり、わからないことは検索すれば出てくると思っているあなた! ネット上の情報は、誰だかわからない誰かが書いたものであり、そのほとんどは、原典のわからない引用であることを理解していますか? そして「ごみ」のような情報ほど増え続けることをご存知ですか? 情報リテラシーなどという言葉がもてはやされるようになってから久しいが、使いこなすことに傾きがちで、本当に必要な選別する能力の養成は、その方法論ですら成熟しているとは言い難い。
分別がつかないうちから、情報の洪水に流され、SNSではすぐに反応することが求められるというストレスに曝(さら)されている方たちには、同情することしかできないのだろうが、ストレスが依存症につながることを知ってますか? 寺山修司をもじって「スマホを捨てよ、町に出よう」という言葉を、そんなあなたに贈りたい。すぐに返事しなくたって良いんですよ!

(キャンパス・ハラスメント対策室員 柴田 隆)

心の障壁(ニュース専修2016年5月号掲載)

今年の四月一日に、「障害者差別解消法」が施行されました。かつて、障害者とは、何かしらの機能障害を持った人のことを指していましたが、現在では、機能障害などを考えずにつくられた社会の仕組み(社会的障壁)によって、不自由を強いられる人であると理解されています。たとえば近眼の人が眼鏡をかけることで不自由なく生活することができるように、社会的障壁を解消することで、障害のある人の不自由さを取り除いていこうとするのが、この法律の目的だと思われます。
社会的障壁には、建物での段差などの物理的障壁、資格取得制限などの制度的障壁、点字や手話サービスの不足による文化・情報面の障壁、そして、心の障壁があるとされています。このなかで、もっとも解消するのが難しいのが、意識する・しないにかかわらず障害者を差別してしまうような、私たちの中にある心の障壁でしょう。
一方、ハラスメント事件の一般的な特徴として、加害者にハラスメントをしている意識がほとんどないということが挙げられます。社会には、外見だけではわからない障害を持っている方も少なからずいるはずです。あなたは無意識のうちに誰かを疎外したり、いじめの対象にしたりしていませんか。意識していなかったことを意識する、ということは大変難しいことですが、この機に、あなたの中にあるかもしれない心の障壁について考えてみてはいかがでしょうか。

(キャンパス・ハラスメント対策室員 齋藤 雅彦)
センディ

センディナビ