親子法(Föräldrabalken)

  目    次

 第 1章 子の父性ついて

 第 2章 父性確定に関する社会福祉委員会の協力について

 第 3章 父性事件に関する訴訟規定について

      父子関係不存在確認の宣告を求める訴

      父子関係存在確認を求める訴

      訴の併合

 第 4章 養子縁組ついて

 第 5章 子の氏について[1963年法律第523号により廃止]

 第 6章 子の監護および面接交渉ついて

      総

      監護者

   監護権の実行

     面接交渉

      監護権および面接交渉権に関する訴訟

 第 7章 扶養義務について

 第 8章 1973年法律第802号により廃止。

 第 9章 未成年者の行為能力について

 第10章 後見人について

 第11章 特別代理人および管理後見人について

       特別代理人

       管理後見人

       共通規定

 第12章 後見人、特別代理人および管理後見人の職務に関する一般規定について

      後見人の義務

      特別代理人および管理後見人の義務

      共通規定

      後見監督人の監督

      後見監督人の同意なき契約

      複数の後見人、特別代理人または管理後見人

      担保の提供

      損害賠償

      後見人、特別代理人および管理後見人に対する報酬

 第13章 後見人としての親の財産管理ついて

      親による子の財産管理

      特定の財産に関する管理制限

      銀行預金

      管理制限の廃止または軽減

      不動産等

      財産の贈与

      ローンの引き受け等

      営業の許可

      財産管理報告

      後見監督人の特別決定権

      財産管理権の終了と清算手続き

      両親の死亡または破産

 第14章 選定後見人、特別代理人および管理後見人による財産管理について

      財産目録

       不動産等

       財産の贈与

       ローンの引き受け等

       営 業

       財産管理報告

       後見監督人の特別決定権

      財産管理の終了に伴う清算手続き

       法定代理人の死亡または破産

 第15章 相続法人における未成年者の権利保護ついて

      一般規定

      財産分割および遺産分割の時期

      法定代理人の財産管理への参加

      財産分割および遺産分割の際の財産

      相続または遺贈の放棄

      共同相続契約

      財産目録の作成を要する場合

      財産の売却

 第16章 後見人、特別代理人および管理後見人の監督ついて

      一般規定

      権限ある後見監督人

      財産管理の監査

      財産管理に対する照合権

      被後見人の財産管理関係書類開示請求権

      管理の終了と関係書類の返還

      意見聴取等

      銀行への払い込みと後見監督人への通知

      後見監督人の書類整備

      制裁金

      書式

 第17章 1995年法律第1433号により廃止。

 第18章 1988年法律第1251号により廃止。

 第19章 後見監督人ついて

 第20章 訴訟に関する共通規定ついて

 第21章 監護、面接交渉に関する判決または決定の執行について

      判決または決定の執行

      その他の場合における子の引き渡し

      共通規定                以  上

 

スウェーデン親子法

第1章 子の父性について

(Om faderskapet till barn)

 第1条 婚姻中に子が生まれたとき、第2条に規定されている場合を除いて、母の夫をもって子の父と推定する。夫が死亡した後に子が生まれた場合、夫の死亡する前に懐胎したとみなされる相当期間内に子が生まれたとき、死亡した夫をもって子の父と推定する。(1976:612)

 第2条 次に掲げる場合、裁判所は、父子関係不存在確認の宣告を行わなければならない。

    1.母が懐胎可能な期間中、夫以外の男と性的交渉のあったことが明 らかで、且つ諸般の状況からみて、夫以外の者によって子が懐胎されたとみなされる相当の事由がある場合

    2.子の遺伝特性、その他の事情からみて、母の夫が子の父でないこ とが確定できる場合

    3.婚姻前にまたは別居中に懐胎した場合で、且つ生まれてきた子の 懐胎可能な期間中に夫婦間に性的交渉がなかったと思われる場合

 婚姻中、夫以外の男からなされた認知(父性の確認(bekraftelse av faderskap)を夫が書面をもって承認し、且つその認知(確認)手続きが第4条の規定によって行われている場合、子の父性は否認されたものとみなされる。但し、夫以外の男が父性の確認が行う場合、常に母から書面による同意が必要である。(1990:1526)

 第3条 第1条に規定されている事実が存在しない場合、または第2条第1項の規定によって、裁判所において父子関係不存在確認の宣告がなされた場合、子の父性は確認(bekraftelse)または判決(dom)によって確定される。(1990:1526)

 第4条 父性の確認(bekrafterlse av faderskap)は、証人二人の署名のある書面によって行われなければならない。父性の確認を行うためには、社会福祉委員会(socialnamnden)、母または子のために特別に選任されている監護者(en sarskilt forordnad vardnadshavare for barnet)からの書面による同意が必要である。子が成年に達している場合、または第6章第2条の規定によって子が監護者の監護から離脱している場合、その同意は子自身によって行われる。社会福祉委員会は父性の確認を行った者が子の父とみなされる場合以外、承認を与えてはならない。

 父性の確認は子の出生前でもこれを行うことができる。

 父性の確認を行った後、その者が子の父でないということが判明した場合、裁判所は父性の確認無効の宣告を行わなければならない。(1994:1433)

 第5条 父性が判決によって確定される場合、子の父と指摘された者が懐胎可能な期間中に母と性的交渉のあったことが明らかな場合で、且つ諸般の状況からみてその者が子の父とみなされる場合、裁判所はその者を子の父と宣言しなければならない。(1976:612)

 第6条 人工授精(insemination)が夫(make)または婚姻類似の形で生活を共にしている内縁の夫(sambo)からの同意をもって行われた場合で、且つ諸般の状況からみて子がその人工授精によって懐胎されたとみなされる場合、第2条乃至第5条の規定の適用に際してその同意を与えた夫または内縁の夫をもって子の父とみなす。(1984:1139.)

 参照 人工授精法[Lag (1984:1140) om insemination.

 第7条[体外受精子の父性] 体外受精が夫または内縁の夫の同意の許に、配偶者または内縁配偶者の卵子に対して行われ、且つ周囲の状況からみてその受精によって子が懐胎したとみなされる場合、第2条乃至第5条の規定の適用に際してその同意を与えた者が子の父とみなされる。(1988:712.)

参照 体外受精法[Lag (1988:711) om befruktning utanför kroppen.

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第2章 父性の確定事件における社会福祉委員会の協力

(Socialnamnds medverkande vid fastställande av faderskap)

 第1条[父性の確定に際しての社会福祉委員会の協力義務] ある者の監護に服する子が、第1章第1条の規定によって特定の男の子とみなされない場合、社会福祉委員会(socialnämnden)は子がスウェーデン国内に住所を有するとき、子の父を捜索し子の父性が確定されるよう積極的に努力しなければならない。(1985:368)

 第2条[父の捜索業務担当福祉委員会] 第1条に規定されている任務は、子が国民登録を行っているコミューンの社会福祉委員会に委ねられる。(1991:487)

 第3条[社会福祉委員会の父の探索業務] 社会福祉委員会が父の探索を開始した後、第2条に規定される事情に変更が生じた場合であっても、委員会は最後までその任務を遂行しなければならない。

 社会福祉委員会は他の社会福祉委員会に父の捜索を委ねることによって父の捜索が容易に行われると判断した場合、他のコミューンの社会福祉委員会に父の捜索を委託することができる。社会福祉委員会において父の捜索委託決定が行われた場合、社会福祉委員会は、直ちに父の捜索を委託する社会福祉委員会にその旨を通知しなければならない。

 前項に規定されている社会福祉委員会の決定に対する異議の申し立て(talan mot socialnämnds beslut enligt andra stycket)は、県行政府(länsstyrelsen)に対してこれを行うことができる。県行政府の決定に対する異議ある場合、高等行政裁判所に対してこれを行うことができる。高等行政裁判所に対する異議の申し立てについては審理許可(prövningstillstånd)を得なければならない。(1994:1433)

 第4条[社会福祉委員会の情報収集権] 社会福祉委員会は調査に際し、母またはその他調査に必要な資料を提供することのできる者から情報を収集することができる。

 調査を行っている社会福祉委員会から協力を求められた場合、他のコミューンの社会福祉委員会はその調査に協力しなければならない。(1981:26)

 第5条[自発的父性確認の促進義務] 社会福祉委員会は調査の結果、子の父と判断できる充分な確信を得た場合、子の父とみなされる者に対して自発的に父性の確認を行う機会を与えなければならない。(1990:1526)

 第6条[父性調査のための血液鑑定] 子の父とみなされた者から請求がある場合、または子を懐胎したとき、母が複数の者と性的交渉をもっていたことが推測できる場合、社会福祉委員会は、母、子および父とみなされている者について血液鑑定を行うことができる。(1981:26)

 第7条[父性調査の中止] 次に掲げる場合、社会福祉委員会は開始した父性の調査を中止することができる。

  1.父性の問題に関し、必要な情報を得ることが不可能な場合

  2.裁判所において父性確認の訴えを維持することが不可能とみなされる場合

  3.子の養子縁組に関して、第4章第5条の規定に定められている母または子のために特別に選任されている監護者から同意がある場合

  4.調査または裁判を継続することによって、子の精神的利益が害され、または母に対して必要以上に精神的苦痛を与えるおそれがある場合

 社会福祉委員会による父性の調査が中止された場合、その中止に対して異議ある場合、県行政府に対して異議の申し立てを行うことができる。県行政府の決定に対する異議の申し立ては、高等行政裁判所に対してこれを行うことができる。(1994:1433)

 第8条[社会福祉委員会の調査記録保存義務] 社会福祉委員会が父性に関する調査を行った場合、その調査記録を残しておかなければならない。尚、調査記録には子の扶養義務に関する事項を記載しておかなければならない。

 調査は速やかに行われなければならない。特別の事情がない限り、調査は子の出生から1年以内に終了しなければならない。(1981:26)

 第9条[社会福祉委員会の父性調査義務] 第1章第1条の規定によって、特定の男がある者の監護に服している子の父とみなされ、且つその子がスウェーデン国内に住所を有している場合、社会福祉委員会は子の監護者または子の父とみなされている男から、そのことが請求され、且つそのことが相当とみなされる場合、別の男が子の父であるか否かを調査することができる。

 その調査に関しては第2条乃至第6条および第8条の規定が準用される。社会福祉委員会は第7条第1項、第4項またはその他の事由によって、そのことが相当とみなされる場合、その調査を中止することができる。

 社会福祉委員会によって父性調査の申請が却下された場合、またはその調査が中止された場合、その却下または中止の決定に対して県行政府に異議の申し立てを行うことができる。県行政府の決定に対して異議ある場合、普通行政裁判所に異議の申し立てを行うことができる。高等行政裁判所(kammarratten)に対する異議の申し立てについては特別の許可(provningstillstand)を要する。(1994:1433)

  参照 父性の確定に関する福祉委員会の協力に関する規則

   [KK (1973:810) om socialnamnds medverkan vid fastsallande av faderskap,m.m.

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第3章 父性訴訟における訴訟規定

(Vissa bestämmelser om rättegången i mål om faderskap)

 父性の否認に関する訴訟(mål om hävande av faderskap)

 第1条[父親側からの父性の否認] 第1章第1条の規定によって子の父と推定されるべき者が、第1章第2条第1項の規定によって父子関係不存在確認の宣告を受けようとする場合、子を相手方として、子が死亡している場合には、その相続人を相手方として父子関係不存在確認の宣告を求めるを提起しなければならない。

 子と生計を共にしていない男が死亡し、且つその者が子の出生後、自分の子であることを確認していない場合、死亡した男の配偶者、死亡した男に対して相続権をもっている子と同順位にある相続人または子に次ぐ相続権をもっている者は、父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができる。死亡した男に配偶者の外に相続法第3章第2条に規定されている相続人がいる場合、その相続人は、各自、本条に規定されている条件の許で、父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができる。

 但し、男が死亡したとき、その者に対して父子関係存在確認の訴えが提起され、且つその者がそのことを知ってから1年が経過している場合または男が死亡したとき、同様の理由に基づいて、男の相続法人(mannens dödsbo)に対して父子関係存在の確認を求める訴えが提起されてから1年が経過している場合、死亡した男の配偶者または相続人は父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起することができない。(1990:1526)

 第2条[子の側からの父性否認] 子が第1章第2条第1項の規定によって、父と推定されている者について、父子関係不存在確認の宣告を求めようとする場合、父と推定されている者を相手方として父子関係不存在確認の宣告を求める訴えを提起しなければならない。但し、その者が死亡している場合にはその者の相続人を相手方としてその訴えを提起しなければならない。父と推定されている者に、配偶者以外に相続法第3章第2条に規定されている相続人がいる場合で、且つそれらの者を相手方として訴えを提起する場合、その訴えが提起されたとき、父と推定される者に対して優先的に相続権を主張できる者を相手方として訴訟を提起しなければならない。(1987:790)

 第3条[管轄裁判所] 第1条または第2条に規定されている訴えは、子の住所を管轄する裁判所に、子が死亡している場合には、子の相続問題を管轄する裁判所に提起しなければならない。

 相当管轄裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。

 第1章第4条第3項に規定されている訴えは、無効な認知(faderskapsbekraftelse)を行った者に対しても適用される。(1990:1526)

 第4条[未成年者の訴訟代理人] 第1条または第2条に規定されている訴訟において、当事者の一方が未成年者の場合、後見人(förmyndare)、または第11章の規定によって、その者に特別代理人が付されている場合には、特別代理人が未成年者に代わって訴えを提起することができる。

可能な限り母を証人として尋問することができる。(1988:1251)

 父性の確定に関する訴訟(mål om fastställande av faderskap)

 第5条[父性確定の訴えにおける原告] 父性の確定に関する訴え(Talan om fastställande av faderskap)は子によって提起される。

 第2章第1条に規定されている場合、子の訴えは社会福祉委員会によって提起される。母が子の監護者になっている場合、母が未成年者であっても、母は、常に、子に代わってその訴えを提起することができる。特別に選任された監護者(en särskilt förordnad vårdnadshavare)は、常に子のためにその訴えを提起することができる。(1994:1433)

 第6条[父性確定の訴えにおける被告] 父性の確定に関する訴訟が裁判所に係属した場合、子の父性に関する問題はその訴訟においてのみ審理される。その訴訟において複数の者に対して訴えを提起することができる。相手方が死亡している場合、第2条に規定されている死者の相続人を相手方としてその訴えを提起することができる。

 社会福祉委員会が父性確定の問題に関与すべき場合、委員会は調査によって子の父をみなされた者を相手方として、または審理の途中で子の父と思われる者が出現してきた場合、その者を相手方として訴えを提起することができる。

 裁判所は被告の請求に基づいて未だ訴えの対象となっていない者に対して訴えを提起し、その者が子の父であるか否かを審理することができる。その申請手続きについては訴え(stämningsansökan)に関する規定が適用される。(1981:26)

 第7条[管轄裁判所] 社会福祉委員会が子の父性確定に関与すべき場合、訴えは社会福祉委員会のある地区を管轄する地方裁判所に提起される。但し、訴えを受理した裁判所において、事件を他の裁判所に移すことによってより審理が容易になると判断した場合、その事件を他の裁判所に移送することができる。

 第1項に規定されている場合を除いて、子の父性確定に関する訴えは男が普通裁判籍をもっている地方裁判所、訴えの相手方が複数の場合にはその内の一人が普通裁判籍をもっている地方裁判所に対して、訴えの相手方の死亡によってその者の相続人を相手方として訴えを提起する場合には、その者が普通裁判籍をもっている地方裁判所に対して訴えを提起しなければならない。相当裁判所がない場合にはストックホルム地方裁判所が管轄裁判所になる。(1981:26)

 第8条[父性確定訴訟における調査記録の提出] 社会福祉委員会は訴えの提起と共に裁判所に対して委員会によって行われた調査記録を提出しなければならない。子の父性確定の問題が社会福祉委員会以外の者によって提起され、且つその問題に関する調査が社会福祉委員会によって行われている場合、裁判所は社会福祉委員会に対して調査記録の提出を命ずることができる。

 被告は訴えに関連して、その調査記録を閲覧することができる。

 裁判所は社会福祉委員会に対して父性に関する調査を最後まで行うことを命ずることができる。(1981:26)

 第9条[父性確定訴訟における裁判所の指揮監督権] 裁判所は父性に関する調査が十分に行われるよう監督しなければならない。子のために訴えを提起することのできる者は、その裁判において意見を述べる機会が与えられなければならない。

 証人尋問(vittnesförhör)は証人が子の懐胎可能な期間中に母と性的交渉をもっていたということを立証する目的をもって行ってはならない。

 父性確定の訴えは子の出生前に結審してはならない。(1976:612)

 第10条[複数被告の一人に対する父性確定の訴えの撤回と他の被告との関係] 複数の被告の一人について父性確定の訴えが撤回される場合、その部分については被告全員からの同意を得た場合においてのみ訴えを撤回することができる。第6条第3項の規定によって告訴されている者が訴えの取り下げを欲する場合、子の同意を得なければならない。

 訴えの取り下げを決定する場合、裁判所は同時にその者の負担すべき訴訟費用を決定しなければならない。(1976:612)

 第11条[社会福祉委員会から父性確定の訴えが提起された場合の訴訟費用の負担者] 社会福祉委員会から父性確定に関する訴えが提起されている場合、訴訟費用は訴訟法第18章第1条乃至第7条の規定に代わって第2項および第3項の規定が適用される。

 父性確定の訴えの当事者は、自己の訴訟費用を負担しなければならない。但し、訴えが訴訟法第18章第3条または第6条に規定されている方法で行れている場合、もしくは相当の事由がある場合、裁判所は、費用の全部またはその一部を他の一方の当事者に負担させることができる。

 訴訟法第18章第3条または第6条の規定されている仕方で訴訟が当事者の法定代理人、代理人または訴訟補助者によって行われた場合、その者は他の一方の当事者の訴訟費用を負担しなければならない。裁判所は職権をもってその額を決定することができる。(1981:26)

 第12条[上級裁判所における父性確定の訴えに関する審理] 訴えが上級裁判所に係属した場合、上級裁判所は問題を全体的に審理しなければならない。指摘された問題は答弁書(genmål)をもって提出しなければならない。

 上級裁判所において訴訟の当事者以外の者が子の父であるということが判明した場合、その判決は、当事者の請求によって取り消され、事件は判決を行った第1審裁判所に差し戻される。

 第9条および第10条の規定は上級裁判所の審理にも適用される。社会福祉委員会が訴えを提起している場合、上級裁判所の審理に対しても同様に第8条第3項および第11条の規定が適用される。(1981:26)

 

 訴えの併合(Förening av mål)

  第13条[父性確定の訴えの併合] 第1章第1条の規定により一人の男が子の父とみなされる場合であっても、第1章第2条第1項に規定されている訴えが裁判所に係属し、且つ未だその訴えが審理されていない場合、同一裁判所において別の男が子の父であるということを確定する訴えを提起することができる。その訴えが提起されたとき、その事件は一つの裁判(i en rättegång)で審理されなければならない。

 第1章第2条第1項による父性否認の訴えおよび子の父性確定の訴えが認められ、且つ父性否認の訴えが上級裁判所に係属した場合、上級裁判所は父性確定の訴えの部分について異議の申し立てが行われていない場合であっても父性確定の訴えの部分を同時に審理しなければならない。(1981:26)

 

   参照 父性調査の際の血液鑑定に関する法律[Lag (1958:642) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap.] 父性調査のための血液鑑定に関する政令[Förordning (1969:624) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap.

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        第4章 養子縁組について(Om adoption)

 第1条[養親となる者の年齢] 25歳に達した者は、裁判所の許可を得て、養子縁組み行うことができる。但し、自分の子を養子とする場合、または配偶者の子を養子とする場合もしくは相当の事由ある場合、養親となる者が18歳に達しているとき養子縁組を行うことができる。(1974:236)

 第2条 1988年法律第1251号により削除。

 第3条[必要的夫婦共同養子縁組] 夫婦は共にしなければ養子を取ることができない。但し、夫婦の一方の居所が知れない場合、または夫婦の一方が強度の精神的障害にある場合、他の一方は単独で養子縁組を行うことができる。夫婦の一方は、他の一方の同意を得て、他の一方の子、または養子もしくは自己の子を養子とする場合、配偶者の一方は単独で養子縁組を行うことができる。(1991:1546)

 第4条[単身者同士の共同養子縁組の禁止]夫婦以外の者は、共同して養子を取ることができない。(1970:840)

 第5条[養子の同意] 12歳に達した子を養子とする場合、本人の同意を得なければならない。但し、次に掲げる場合にはその限りでない。

 1.養子となる者が16歳未満の場合で、且つ本人の同意を得ることが本人に対して精神的苦痛を   与えるおそれのある場合、

 2.精神的障害またはそれに類する事由によって同意を得ることができない場合(1991:1546)

 第5a条[未成年者を養子とする場合の親の同意] 18歳に満たざる者を養子とする場合、親の同意を得なければならない。母親からの同意は、出産後、充分に健康を取り戻した後でなければその同意を求めてはならない。他人の養子を養子とする場合、養子の養親の同意を得なければならない。養親の一方が養子の実親と婚姻している場合、双方の同意を得なければならない。

 但し、前項に規定されている者が強度の精神的障害にある場合、または子の監護に関与してい場合、もしくは居所不明の場合、その同意を要しない。第1項の規定によって必要な同意を与えるべき者がいない場合、子のために特別に選任された監護者(vårdnadshavare)からその同意を得なければならない。(1994:1433)

 第6条[養子縁組の場合の裁判所の許可とその要件] 裁判所は養子縁組を許可すべきか否かを審理しなければならない。裁判所は養子縁組が子の利益となる場合で、且つ養親と養子となる者の個人的な人間関係からみて相当と認められる場合においてのみ、その許可を与えることができる。養子縁組をみとめることが適当であるか否かを判断する場合、裁判所は子の同意を要しない場合であっても、子の年齢、成熟度にしたがって子の意思を尊重しなければならない。(1995:1242追加)

 養子縁組当事者のいずれか一方から他の一方に対して補償金(ersättning)が支払れ、またはその約束が行われていた場合、もしくは子の扶養料(underhåll)の支払いが約束されていた場合、養子縁組の申請を許可してはならない。但し、一時払いの形での扶養料(underhållsbidrag i form av engansbelopp)については、その額が養親の国民登録が行われているコミューン(kommun)の社会福祉委員会に払い込まれる場合、または委員会に対して養親と委員会によって承認された金額の払い込みが約束されている場合、その限りでない。委員会に払い込まれた金銭は、払い込み契約においてそのことが禁止されていない場合、または子の扶養のために別に有効な手段がある場合を除いて、委員会を通じて、スウェーデンの保険会社(försäkrinigsgivare)を通じて、扶養義務の終了後の子のための終身年金保険(livränta)の購入に当てることができる。

 裁判所においてそのことが知れた場合、養子縁組の申請が却下される内容の補償(ersättning)または扶養(underhåll)に関する契約は、養子縁組が許可された場合であっても無効とする。(1991:487)

 第7条[養子縁組の効力の消滅] 次に掲げる場合、養子と養親および養親との親族関係はすべてその効力を失う。

 1.養子が養親の配偶者以外の者によって養子とされた場合

 2.養子が養親と婚姻した場合 (1970:840.)

 第8条[養子縁組の効果] 親族または姻族関係に法律効果を与える法律もしくは規則の適用に際し、養子は、養親の子とみなされ、実親の子とみなされない。配偶者の一方が他の一方の実子または養子を養子とした場合、その子は夫婦の共通の子とみなされる。

 但し、法律に別段の規定がある場合、または法律関係の性質から別段の事情が生ずる場合、前項の規定は適用されない。(1976:612)

 第9条[管轄裁判所] 養子縁組に関しては養親の住所地を管轄する地方裁判所が管轄裁判所となる。該当管轄裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。(1976:612)

 第10条[養子縁組事件における裁判所の権限] 養子縁組の申し立てが行われたとき、裁判所は、養子となる子、養子縁組の申立人に関する情報および扶養料または補償金の授受またはその提供の約束が行われていない否かを調査しなければならない。養子となる者が18歳未満の場合、養親の国民登録が行われているコミューンの社会福祉委員会、および子の監護を行っている者が国民登録を行っているコミューンの社会福祉委員会の意見を聞かなければならない。

 申請者が国民登録を行っているコミューンの社会福祉委員会は、そのことを不適当と認めた場合、子の立場を明確にし、裁判所にそのことを報告しなければならない。(1995:1242この項追加)

 父または母の同意を求めることを要しない場合であっても、可能な限り、その意見を聞かなければならない。上記規定は、養子が他人の養子となる場合には養親に適用され、配偶者の一方が他の一方の子を養子としている場合にはその双方に適用される。同意を求めることを要しない特別監護者の場合であっても、その者の意見を聞かなければならない。(1991:487)

 第11条[養子縁組における裁判所の決定に対する異議申し立て] 養子縁組の申立人または利害関係人は、養子縁組問題に関する裁判所の決定に対して訴えを提起することができる。(1976:612.)

 第12条 1970年法律第840号により削除

 第13条 1970年法律第840号により削除

 目次に

第5章 子の氏について(Om barnets namn)

 第1条[子の氏] 子の氏については特別法の定めるところに従う。(1963:523)

 第2条 1963年法律第523号により削除

 第3条 1963年法律第523号により削除

 目次に 

第6章 監護と面接(vårdnad och umgänge)

  総  則(Inledande bestämmelser)

  第1条[子の基本的人権の保障] 子は、扶養と安全および教育に対する権利(rätt till omvårdnad, trygghet och en god fostran)を有する。子は人間として尊重され、何人も子に対して体罰(kroppslig bestraffning)および精神的な虐待(annan kränkande behandling)を与えてはならない。(1983:47)

 第2条[子の監護者と子の成年年齢] 裁判所によって子の監護が特別に選任された一人または二人の監護者(särskilt förordnande vårdnadshavare)に委ねられている場合を除いて、子は父母また父母いずれか一方の監護に服する。子は18歳に達するまで、または婚姻するまで親の監護に服する。

 子の監護者は、子の個人的な事情に対して責任を負担し、且つ第1条の定めるところにより子の必要性の充足に努めなければならない。子の監護者は、子の年齢、成長その他の状況から見て必要とみなされる範囲において子を監督し、且つ子が十分な生活と教育が受けられるよう配慮しなければならない。

 子の財産に関しては第9章、第15章の規定に従う。(1994:1433)

 

 監護者(vårdnadshavare)

  第3条[子の監護者・両親が婚姻している場合] 父母が婚姻している場合、子は、出生のときから父母の監護に服し、その他の場合においては母の単独監護に服する。子の出生後、父母が婚姻したとき、裁判所によって子の監護が特別に選任された一人または二人の監護者(särskilt förordnande vårdnadshavare)の監護に委ねられている場合を除いて、子は父母の婚姻と同時に父母の監護に服する。

 父母が離婚した場合であっても、第5条、第7条または第8条の規定によって共同監護が解消されない限り、子は、父母の監護に服する。離婚判決後も子が父母の共同監護に服する場合、裁判所は、判決において、父母の共同監護が将来ともに継続することを注意しておかなければならない。(1994:1433)

 第4条[監護者の変更・単独監護から共同監護へ] 子が父または母いずれか一方の監護に服している場合で、且つ父母が共同して子の監護を行うことを欲する場合、父母の双方から子に対する共同監護の申し立てがなされたとき、共同監護によって明らかに子の利益が害されない限り、裁判所は、共同監護を行うことを認めなければならない。

 次に掲げる場合、父母の双方によって共同監護を行うことができる。

  1.社会福祉委員会による父性確認の承認と関連して、父母の双方が社会福祉委員会に届け出た後、県税務事務所へ共同監護の登録を行った場合

  2.子の監護者が選任されていない場合で、且つ、父母と子がスウェーデン国籍を有している場合に税務事務所へ共同監護の登録を行ったとき(1991:487)

 第5条[監護者の変更・共同監護から単独監護へ] 子が父母の監護に服している場合で、且つ父母の一方が共同監護の解消を欲する場合、裁判所は、子の利益からみて子の監護を父または母いずれか一方に変更し、また共同監護の解消を申し出た親が特に共同監護の継続に反対の意思表示を行わなかった場合、共同監護を継続せしめることができる。

 前項の規定による監護者の変更は、父母の一方または双方からの訴えによって審理される。

 父母の離婚に際し、共同監護を継続させることが子の利益を害することになると思われる場合、裁判所は職権をもって父または母のいずれか一方をもって子の監護者とすることができる。(1990:1526)

 第6条[監護者の変更・強制共同監護の場合] 子が、父または母の一方の監護に服している場合で、且つその一方が監護者の変更を欲する場合、裁判所は、子にとって最善と思われるところに従って、子の監護を欲する親に、また親の一方が子の共同監護を欲する場合、他の一方から特に反対の意思表示がなかったとき、父母に対して子の監護を行わしめることができる。

 前項に規定する監護者変更の問題は、父母の双方またはそのいずれか一方からの訴えに基づいて審理、決定される。(1990:1526)

 第6a条[監護者決定の基準] 裁判所は、子の最善を判断する場合、特に、子と両親との緊密、且つ良好な関係の必要性(vid barnets behov av en nära och god kontakt med båda föräldrarna)を考慮しなければならない。(1990:1526)

 第7条[監護者の変更] 子の監護に際し、父母の一方が監護権を乱用し、または監護を怠っている場合、もしくは子の監護に不行き届きがあって、子の健康または成長に危険があるとみなされる場合、裁判所は、監護者の変更を命ずることができる。

 子が父母の監護に服している場合で、且つ前項の規定が父または母のいずれか一方に適用される場合、裁判所は、他の一方の親に子の監護を委ねることができる。子の監護を委ねられた親が第1項に規定されている方法で子の世話ができない場合、裁判所は、特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねることができる。

 子が父母いずれか一方の監護に服しているとき、裁判所は、第1項に規定されている場合、他の一方の親に、またはそのことが適当と思われる場合には特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委ねることができる。

 本条に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの訴えによって、または別段の定めない場合、父母の離婚訴訟、または第5条または第6条に規定されて訴訟において審理される。(1994:1433)

 第8条[里子の監護者] 子が、父母以外の家庭において継続的に保育されている場合で、且つその状態を継続させ、子の監護をその子を引き取っている者に移すことが子のために最善であると思われる場合、裁判所は子の監護者としてその者を特別に選任された監護者として選任することができる

 前項に規定されている監護者の変更に関する問題は、社会福祉委員会からの訴えによって審理される。(1994:1433)

 第9条[特別監護者の選任] 子が、父母の共同監護に服している場合で、そのいずれか一方が死亡したとき、他の一方が単独で子の監護者となる。父母の双方が死亡した場合、裁判所は、社会福祉委員会からの届け出によって、または裁判所においてそのことを知った場合、特別に選任された一人または二人の監護者に子の監護を委託しなければならない。

 子が、父または母いずれか一方の監護に服している場合で、その者が死亡したとき、裁判所は、他の一方の親、または社会福祉委員会からの届け出によって、他の一方の親、またはそのことが子にとってより適切と思われる場合には、第13章第8条の規定によって選任された一人または二人の監護者にその子の監護を委ねることができる。(1994:1433)

 第10条[監護者の変更] 子が、一人または二人の特別に選任された監護者の監護に服している場合で、且つ父母のいずれか一方または双方が子の監護を行うことを欲した場合、裁判所は、子にとって最善と思われるところにしたがって監護者変更の決定を行わなければならない。但し、裁判所は、父母の一方が共同監護に対して反対の意思表示を行った場合、父母の双方を共同監護者とすることができない。

 前項に規定されている監護権変更の問題は、父母の双方またはその一方もしくは社会福祉委員会からの訴えに基づいて審理される。(1994:1433)

 第10a条[特別監護者の選任] 子のために特別監護者が選任される場合、子に対して保育、安全、教育を与えるに足る者を選任しなければならない。

 子の共同監護者として二人の監護者が選任される場合、監護者が婚姻しているときまたは婚姻類似の形態において生活を共にしている場合、その二人を子の共同監護者として選任することができる。

 兄弟姉妹のために監護者の選任が行われる場合、特別の事由のない限り、兄弟姉妹のために同一の監護者が選任されなければならない。

 監護者が父母の死亡後に選任される場合で、父母もしくはそのいずれか一方が父母の死亡後に子の監護者となるべき者を指定していた場合、特に不適当とみなされない限り、その者を監護者に選任しなければならない。(1994:1433)

 第10b条[特別監護者の辞任] 特別に選任された監護者は、請求によってその職を辞任することができる。

 子が二人の特別に選任された共同監護者の監護に服している場合、その一人が共同監護を行うことを欲しなくなった場合、共同監護者の双方もしくはそのいずれか一方からの訴えによって、裁判所は、子にとって最善と思われる者に子の監護を委ねることができる。裁判所は、また共同監護者の離婚訴訟において、当事者からの請求がない場合であっても、共同監護を継続させることが明らかに子の不利益になると思われる場合、共同監護者の一人に監護を委ねることができる。(1994:1433)

 第10c条[特別監護者の解任] 特別に選任された監護者が監護権を乱用し、また職務の怠慢その他の理由によって、監護者をして監護を継続させることが不適当とみなされる場合、その監護者を解任しなければならない。

 子が二人の監護者の監護に服している場合、その一人が解任され、もしくは死亡した場合、他の一方が単独で監護者となる。二人の監護者が解任または死亡した場合、裁判所は、一人または二人の特別に選任された監護者を選任しなければならない。

 本条に規定されている監護者の変更の問題は、社会福祉委員会からの申請によって審理される。(1994:1433)

 第10d条 監護の問題について判断を行う場合、裁判所は、この年齢、成熟度に応じて、子の意思を尊重しなければならない。(195:1242追加)

  監護の実施(Vårdnadens utövande)

  第11条[監護者の相当監護義務] 監護者(vårdnadshavaren)は、子の個人的な問題(barnets personliga angelägenheter)に関して決定を行う権利と義務を有する。監護にあたっては、監護者は、可能な限り、子の年齢、成育の程度に従って、子の考え方(synpunkt)、要望(önskemål)を配慮しなければならない。(1983:47)

 第12条[子の労働契約と監護者の同意] 子は、単独で雇用契約、その他の労働契約を締結することができる。但し、その場合、監護者の同意を要する。子が16歳に達した場合、子は単独でその契約を解除し、別の同じような契約を監護権者の同意なしに締結することができる。

 子または子の監護者は、子の健康、成育、教育上必要と思われる場合、直ちにその契約を解除することができる。監護者がその契約の解除を行った場合、以後、子は、監護者の同意なしに、新しい契約を締結することができない。

 単独で労働契約を締結する権利を有しない子が、単独で労働契約を締結した場合の契約の効力については、第9章第6条、第7条に規定する。(1983:47)

 第13条[共同監護に服する子に対する監護者の単独決定権] 子が二人の監護者の監護に服している場合、第11条または第12条の規定が適用される。

 監護者の一人が、不在、病気またはその他の事由によって緊急を要する監護に関する問題に参加できない場合、他の一方は、単独でその問題を決定することができる。但し、その問題が子の将来に関して重大な意味をもっている場合、そのことが子にとって明らかに必要とみなされない限り、単独で決定することができない。(1983:47)

 第14条[社会福祉委員会の子と監護者の権利確保義務] 子および監護者の社会福祉委員会に対する助成を求める権利は、「社会福祉法」[Socialtjänstlagen (1980:620)]に定める。社会福祉委員会は、調停者(medlare)およびその他の社会的相談機関(andra rådgivande samhällsorgan)との連絡調整を行う。(1983:47)

  面接交渉(Umgänge)

 第15条[子の監護者の面接交渉権確保義務] 子の監護者は、可能な限り監護権をもっていない親または子と密接な関係にある者(med en förälder som inte är vårdnadshavare eller med någon annan som står barnet särskilt nära)に対して、子との面接交渉の機会を準備しなければならない。監護者は特別の事由のない場合を除いて、面接交渉の機会を促進するため、子に関する情報を提供しなければならない。

 子に対する監護権をもっていない親が、子の監護者から子に対する面接交渉を拒否された場合、裁判所は、子との面接交渉を拒否された親からの訴えによって、子の利益に基づいてその問題を決定しなければならない。

 監護権をもっていない親以外の者が、子の監護者からの面接交渉を拒否された場合、裁判所は、社会福祉委員会からの訴えに基づいて、子の利益にしたがって、その問題を決定しなければならない。

 面接交渉の問題に関する判断を行う場合、裁判所は面接交渉の実施に際し、子が暴力に曝さらされ、または拉致、監禁されることのないように配慮しなければならない。(1995:1242)

  監護権および面接交渉権に関する訴え(Förfarandet i mål och ärenden om vårdnad eller umgänge)

 第16条[非婚夫婦の共同監護の届け出] 婚姻していない父母の第4条第2項に規定されている子に対する共同監護に関する届け出は、子の国民登録が行われている県の県税事務所(skattemyndighet)によって審理される。届け出は父母からの書面によって行われる。

 第4条第2項2号に規定されている届け出は、スウェーデン国内の県税事務所(valfri skattemyndighet)、または社会保険事務所(allmän försäkringskassa)に行うことができる。

 県税事務所の決定に対して不服ある場合、地方行政裁判所(länsrätten)に対して異議の申し立てを行うことができる。(1991:487)

 第17条[監護、面接交渉問題に関する管轄裁判所] 監護または面接交渉に関する問題は、子が住所を有する地区を管轄する裁判所によって審理される。その問題は、離婚事件と関連しても取り上げらることができる。相当裁判所がない場合、事件はストックホルム地方裁判所によって取り上げられる。

 第4条乃至第8条および第10条、第10b条第2項に規定されている監護に関する問題および第15条に規定されている面接交渉に関する問題は、民事事件に関して規定されいる方法によって処理される。子が父母の共同監護に服している場合、またはその一人に服している場合で、且つ父母の間に合意が調った場合共同して訴えを提起することができる。

 監護に関するその他の問題は、訴訟事件に適用される方法によって処理される。

 第18条[裁判所による社会福祉委員会その他の公的機関に対する、監護、面接交渉問題に関する当事者の協議機関の設置要請] 監護または面接交渉に関する訴訟事件(i mål om vårdnad eller umgänge)において、裁判所は、社会福祉委員会またはその他の機関に対して、父母が、子のために協議(samarbetssamtal)の場を設定することを委託することができる。

 裁判所が、前項の規定によって社会福祉委員会、またはその他の機関に協議の機会を設定することを委託した場合、裁判所は、一定期間、裁判の中断を宣告することができる。既に協議が開始され、または協議が継続する場合においてもまた同様である。特別の事由がないかぎり、裁判所は、その期間を伸長することができる。(1990:1526)

 第19条[監護、面接交渉問題に関する裁判所の監督権限] 裁判所は、監護または面接交渉の問題が充分に調査されるよう監督しなければならない。

 裁判所は、監護または面接交渉の問題を決定する前に、社会福祉委員会に対して情報を与えなければならない。委員会が問題の判断について重要な意味をもっている情報をもっている場合、委員会は、裁判所に対してその情報を提供しなければならない。更にそれ以上の調査を必要とする場合、裁判所は、社会福祉委員会、その他の機関に対して、そのような調査を行う者を選任することを委任することができる。その場合、裁判所は、調査の方法、調査の期間を決定することができる。必要を認めた場合、裁判所は、その期間を伸長することができる。裁判所は、調査が早急に行われるように監督しなければならない。

 相当の事由がある場合で、且つそのことによって子の利益が害されない限り、子の意見を聞くことができる。(1990:1526)

 第20条[監護、面接交渉問題に関する中間判決] 監護または面接交渉に関する訴訟において、裁判所は、問題が確定判決または決定によって決着するまでの間、監護または面接交渉問題について暫定的な処分を行うことができる。子が父母の監護に服している場合、裁判所は、その代わりに子と一緒に住む者を決定することができる。その場合、裁判所は、子の利益を優先して決定しなければならない。

 前項に規定によって行われる決定は、口頭弁論なしに言い渡しを行うことができる。決定の言い渡しを行う前に、相手方に対して意見を述べる機会を与えなければならない。裁判所は、その問題に関し、社会福祉委員会からの情報を入手することができる。裁判所が前項に規定されている決定を行った場合、裁判所は、訴訟または事件について最終決定がを行われるとき、改めてその問題を審理しなければならない。

 本条に規定する決定は、確定された判決と同様の方法をもって執行される。但し、決定は何時でも裁判所によって変更することができる。(1990:1526)

 第21条[裁判所の制裁金賦課命令] 監護または面接交渉に関する裁判において、裁判所は、事件に関する判決または決定の言い渡しに関連して、特別の事由がある場合、当事者からの主張に基づいて、相手方に対して、子の引き渡しについて制裁金を付すことができる。第20条第1項に規定されている決定との関連で制裁金が課された場合、裁判所は、直ちに、その命令の実施を命ずることができる。

 前項に規定する制裁金賦課命令に対する異議申し立ては、監護または面接交渉に関する判決または決定に対する訴えと共においてのみ提起することができる。

 決定された制裁金の言い渡しの問題は、制裁金の賦課を請求した者の申請によって地方行政裁判所によって審理される。(1993:485)

 第22条[監護、面接交渉問題に関する訴訟費用の負担] 監護または面接交渉に関する訴訟費用は、訴訟法第18章第1条乃至第7条の規定に代わって、本条第2項および第3項の規定が準用される。

 各当事者は、それぞれ自己の訴訟費用を負担しなければならない。但し、当事者の一方が訴訟法第18章第3条、または第6条に規定されている方法で行動した場合、もしくは特別の事由がある場合、他の一方に訴訟費用の全部またはその一部の負担を命ずることができる。

 第2項の規定により、当事者の一方が、訴訟費用の全部またはその一部を負担すべき場合で、且つ法定代理人、任意代理人または補助者が第18章第3条または第6条に規定されている方法で行動した場合、且つそのことによって相手方に損害を与えた場合、その者は、本人と共同してその費用を負担しなければならない。裁判所は、当事者の一方からそのことが主張されない場合であっても、職権をもってそのことを決定することができる。

 本条の規定は、事件が上級裁判所に係属した場合においても適用される。(1983:484)

 目次に

  

第7章 扶養義務について(Om underhållsskyldighet

 第1条[親の扶養義務] 親は、子の必要性(barnets behöv)と父母の総合的な資力(föräldrarnas samlade ekonomisk förmåga)からみて相当とみなされる範囲において、子を扶養しなければならない。親の扶養義務(föräldrarnas underhållsskyldighet)を定める場合、子本人の収入(inkomster)、資産(tillgångar)および子が支給を受けることのできる各種公的年金(social förmåner)を考慮しなければならない。

 子が18歳に達したとき、未だ就学中の場合、または19歳に達する前に復学したとき、親は、その子が21歳に達するまで扶養の義務を負う。ここに学校とは、基礎学校(grundskolan)または高等学校(gymunasieskolan)もしくはそれに類する教育機関のことをいう。(1978:853)

 第2条[金銭による扶養義務の履行]父または母は、

   1.子が監護権(vårdnaden)をもっていない父または母と永続的に生活している場合、または

   2.父母が共同して子に対する監護権をもっている場合であっても、子が父または母のいずれか一方とのみ継続的して生活を共にしている場合

子に対して一定の養育費を支払うことによって、扶養の義務を履行しなければならない。

 養育費は、判決(dom)または契約(avtal)によって確定される。

 子の監護者は、未成年者であっても、養育費に関し子を代理することができる。後見人)は、養育費について子を代理することができる。扶養契約(avtal om underhållsbidrag)は、子の出生前でもこれを締結することができる。((1994:1433)

 第3項の規定によって子を代理することのできる者は、子に対する扶養事件において、扶養問題に関して意見を述べることができる。

 第2a条 養育費補助法(lagen (1996:1030) om underhållsstöd)の規定によって返還義務を負う者は、子に対して支給された養育費補助の範囲内で、養育費の支払い義務を履行したものとみなされる。

 第3条[扶養義務者の財産留保権] 第2条の規定によって養育費が決定される場合、扶養義務者(den bidragsskyldige)は、第2項乃至第4項の規定により、自己または家族の日常生活を維持してゆくために必要な金額を留保しておくことができる。

 扶養義務者自身の生計費のための留保額(förbehållsbelopp)には、扶養義務者が日常生活を維持してゆくために必要なすべての生活費(alla vanliga levnadskostnader)が含まれるものとする。住居費(bostadskostnaden)は相当とみなされる範囲において計算される。住居費以外の生計費(de andra levnadskostnader)については、基準額(normalbeloppet)をもって計算される。基準額は「普通保険法」[Lag (1962:381) om allmän försäkring]に規定されているバ−スベロップの120パ−セント相当額とする。

 特別の事情がある場合、扶養義務者は、生計を共にしている配偶者のために一定額の金額を留保しておくことができる。扶養義務者との間に子のいる者が、継続的に、扶養義務者と生計を共にしている場合、その者は配偶者と同様に取り扱われる。留保額(förbehållsbelopp)は第2項の規定にしたがって計算される。但し、基準額はバ−スベロツプの60パ−セントとする。

 扶養義務者が2人またはそれ以上の子にに対して扶養義務を負っている場合であっても、扶養義務者は自己の許において生活を共にしている子に対して、継子を含めて、子の一人に付きバースベロップ40パーセントを留保額として留保しておくことができる。但し、特別の事情のある場合、諸般の状況からみてそのことが必要と認められるとき、裁判所は、別に留保額を定めることができる。(1978:853)

 第4条[扶養義務者の滞在費控除権] 第2条の規定によって、子に対して養育費を支払うべき者が、継続して5日以上、子を自分の許に滞在させた場合、扶養義務者は、養育費の支払いに際し、子の滞在期間中、子の滞在費として、一ヵ月分の養育費の中から、一日あたり40分の1を控除することができる。但し、その控除額は、滞在期間終了後、6ケ月以内の養育費から控除しなければならない。控除額の計算に際し1クロ−ネ以下の端数が生じた場合、その端数は切り捨てられる。

  特別の事由がある場合、裁判所は、第1項に定められている条件と異なる条件を決定することができる。但し、当事者からの反対の意思表示が行われた場合、養育費に関する訴えが提起される以前にはその命令を行うことができない。

  養育費の額が主として父母いずれか一方に子が引き取られることを考慮して決定されている場合、子を引き取り扶養している者は、子の滞在費について控除権を行使することができない。(1979:1066)

 第5条[他人の子および別居中の子に対する扶養義務] 他人の子と生活を共にしている者で、且つその子について監護権をもっている者と継続的に生計を共にしている場合、その者が子の監護権者と婚姻しているとき、または子が監護権者との間に生まれた子の場合、その者はその子に対して扶養の義務を負う。特別の事由がある場合、子が別居している場合であっても扶養の義務を負う。

 扶養の義務は、第1条の規定によって、親の場合と同様の方法をもって決定される。但し、子がその子と生活を共にしていない親から養育費の支払いを受けている場合、その分については本条の規定は適用されない。(1978:853)

 第6条[扶養義務者以外の養育費支払い義務者] 第2条の規定によって養育費を支払うべき者以外の者が、扶養義務を怠っている場合、裁判所は、養育費の支払い義務を負担すべき者に対して養育費の支払い命ずることができる。(1978:853)

 第7条[養育費の支払い期日と養育費の一括払い] 養育費は、毎月、月始めに前金で支払わなければならない。

 将来の養育費を一括して支払うことを定める契約、または3ケ月より長い期間の養育費をを一括して支払うことを定める契約を締結する場合、二人の保証人の署名のある書面によってその契約を行わなければならない。子が18歳未満の場合、子または子の監護者が継続して居住している地区の社会福祉委員会の承認を受けなければならない。監護者の双方がスウェ−デン国内に住所をもっていない場合、ストックホルムの社会福祉委員会においてその承認を受けることができる。

 特別の事由のある場合、裁判所は第1項の規定と異なる支払い方法を定めることができる。

 養育費の支払い方法が一括払いの形で定められている場合で、子が18歳未満のときは、その養育費は、社会福祉委員会に払え込まなければならない。その支払いには第4章第6条第2項後段の規定が適用される。

 本条の規定に反して養育費が支払われた場合、扶養義務者は、本章の規定による養育費の支払い義務を免れることができない。(1983:397)

 第8条[基本権たる扶養請求権の時効] 養育費の確定に関する訴えが提起された場合、その訴えが提起されたときより3年以上遡ってその請求を認めることができない。但し、扶養義務者が、その請求を容認した場合にはその限りでない。(1978:853)

 第9条[支分権たる扶養請求権の時効] 確定されている養育費の支払い請求権(ratt att krava ut fastställt underhållsbidrag)は、第2項または第3項の規定に定められている場合を除いて、履行期日の到来後(efter den ursprungligen gällande förfallodagen)5年をもって時効により消滅する。(1994:1621)

 前項の規定に定められているときより前に養育費に対する強制執行が行なわれた場合、または扶養義務者が破産宣告を受けた場合、養育費は、差し押え財産または破産財団の中から支払われるものとする。

 第1項に定められているときより前に「強制和議法」(ackordslagen(1970:843))により特別代理人の選任申請が行なわれた場合には、特別代理人選任の効力が発生したときからから3ケ月以内に、強制和議が行われた場合には、強制和議が決定したときから3ケ月以内に養育費の請求を行うことができる。和議が成立したとき、扶養債権は、和議が行われたときから3ヶ月以内にその請求を行うことができる。養育費に対する強制執行(utmätning för underhållsbidraget)、または破産宣告申請が上記期間内に行なわれた場合、第2項の規定が適用される。

 本条の規定に反する契約は無効とする。(1994:1963)

 第10条[事情の変更に伴う扶養請求権の変更] 事情の変更によって、養育費を定めている判決または契約の内容を変更する必要性が生じた場合、裁判所は、その判決または契約を変更することができる。但し、訴えが提起される前までの変更は、相手方が反対の意思表示をした場合、未払い分の養育費を減額または免除する方法においてのみこれを行うことができる。

 扶養契約は、その内容が、周囲の状況、またはその成立の事情、その他諸般の事情からみて不当とみなされる場合、裁判所は、その内容を変更することができる。但し、既に支払われている養育費については、相当の事由のない限り、その返還を認めることができない。

 「養育費の改訂に関する法律」[lagen (1966:680) om ändring av vissa underhållsbidrag]第1条の規定に定められている以外の方法で、6年間、養育費の変更が行なわれなかった場合、裁判所は、第1項、第2項の規定により変更の理由を援用する必要のない場合であっても、その訴えが提起された後の養育費の見直しを行なわなければならない。

 子が一定の年齢に達するまでの間の養育費を定めた扶養判決、または扶養契約は、それ以後の子の養育費に関する問題の審理を妨げるものでない。(1978:853)

 第11条[社会福祉委員会による扶養義務の履行監視権限] 第2章第1条の規定により、父性の決定に関与した社会福祉委員会は、養育費の支払いが確保されているか否かを監視しなければならない。(1981:26)

 第12条[管轄裁判所] 子の養育費に関する訴えは、被告の住所地を管轄する地方裁判所に提起しなければならない。子の養育費に関する請求は、父性の確定に関する裁判、または離婚もしくは監護者の決定に関する裁判の中でこれを行なうことができる。

(1978:853)

 第13条[扶養訴訟の併合と分離] 養育費の支払いに関する二つまたはそれ以上の訴訟は、調査、審理のために有効と認められる場合、一つの訴訟において処理することができる。その場合、第12条の規定により訴訟の一つを取り上げることのできる裁判所は、上記の規定に拘らず、訴訟においてその訴えが提起された場合、その訴訟を当該裁判所において審理することが相当とみなされる場合、裁判所は訴訟の中からその一つを取り上げることができる。

 裁判所は第1項の規定により統合された訴訟を再び分離して審理することができる。

 複数の者のうちから子の父が確定される場合、裁判所は、養育費の訴えに関し、父性が確定判決によって確定するまで、最終的に審理することができない。(1978:853)

 第14条[社会福祉委員会の扶養訴訟訴権] 子に対する扶養裁判において、第11条の規定によって子の養育費を確保するために監視を行うべき社会福祉委員会は、子に代わって、扶養の訴えを適することができる。子のために訴えを提起することのできる者は、扶養事件において自己の意見を述べることができる。

 養育費は、扶養期間の一部について、異なる額を定めることができる。

 18歳に達した後の子の扶養については、扶養義務者の意思に反して、裁判所は、確実に扶養義務があると判断されるまでは、養育費の決定をしてはならない。(1981:26)

 第15条[養育費の支払いに関する中間判決] 裁判所は、子の扶養に関する訴訟において、確定判決また最終決定によって、その問題が解決されるまでの間、相当と思われる範囲において、扶養に関し暫定的決定を行うことができる。但し、扶養義務を課すべき正当な事由(sannolika skäl)のある場合でなければその決定を行うことができない。扶養に関する問題が子の父性の確定の問題と関連して提起されたとき、その訴訟において複数の者が被告となっている場合、裁判所は、養育費の支払い義務に関する決定を行うことができない。

 前項に規定する決定は、口頭弁論なしに行なわれる。決定の言い渡しに先立って、訴訟の相手方は、その問題に関し意見を述べる機会を与えられる。その決定は、最終判決の言い渡しが行われるとき、再審理される。

 本条による決定は、確定判決と同様の方法で実現される。但し、その決定は、裁判所において、何時でも変更することができる。(1987:790)

 第16条[父性確定前の養育費] ある者が、二人の証人の署名のある書面によって、父性に関する血液検査が確定するまでの間、子に対して養育費の支払いを引き受けた場合、その養育費の執行については、本法に規定されている扶養債務(förbindelse)の執行に関する規定が適用される。

 前項の規定によって行われた養育費の引き受けについては、第15条の規定によって、裁判所が子に対する養育費の支払いを命じたときに適用される法律、またはその他の規則が適用可能な範囲において適用される。(1979:339)

 第17条[支払い済み養育費に対する国家補償] 養育費を支払った者が国から補償を受ける場合、「養育費の補償に関する法律」[Lag (1969:620) om ersättning i vissa fall för utgivna underhållsbidrag]の規定が適用される。(1979:339)

 第18条[支払い済み養育費の返還] 子の父と推定された者が、そのことによって子のための生計費を支払った後、父と推定された者以外の者が、子の父であることが判明したとき、先に子の父とされた者は、特別の事情があるに限り、他の一方に対して子のために支弁した費用を請求することができる。(1979:339)

第19条[養育費請求事件において子が敗訴した場合の訴訟費用の負担者] 扶養訴訟(mål om underhåll)において、子が敗訴した場合、訴訟法第18章の規定と異なって次の規定を適用する。

 特別の事由がある場合、裁判所は、各当事者に対して、各自、自分の訴訟費用を負担を命ずることができる。特別の事由が存在しない場合で、且つ訴訟において、子が生活を共にする親によって代理されている場合、子に代わって親に対して相手方の訴訟費用の負担を命ずることができる。(1985:358)

  参照 養育費の減額に関する法律[Lag (1990:668) om nedsättning av

                  vissa underhållsbidrag

  参照 支払った養育費の補償に関する法律[Lag (1969:620) om

        ersättning i vissa fall för utgivna underhållsbidrag

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第8章 児童保護司について(Om barnavårdsman)

1973年法律第803号にて廃止

 

第9章 未成年者の行為能力について

(Om underårigs omyndighet)

 第1条[未成年者とその行為能力] 18歳に満たざる者(underårig=未成年者)を無能力者(omyndig)とし、法律(lag)または贈与(gåva)、遺言(testamente)もしくは保険金受取人指定約款(förmånstagarförordnande vid försäkringもしくは「私的年金預託法」[lagen (1993:931) om individuellt pensionssparande]に規定されている年金預託約款(pensionssparande)に定められている場合を除いて、未成年者は自己の財産を自分で管理または債務を引き受けることができない。(1994:1433)

 第2条[未成年者の就労] 労務契約に関する未成年者の権利は本法第6章の規定にしたがう。(1974:236)

 第2a条[未成年者の日常家事債務] 未成年者が単独で生計を営んでいる場合、未成年者は日常家事、育児について必要な法律行為を締結することができる。

 但し、未成年者と取引を行った者が、その取引によって未成年者の取得した物が未成年者にとって必要としないものであることを知っていた場合、または知り得べかりし場合、前項に規定されている法律行為は未成年者に対して拘束力を有しない。

 未成年者が第1項に規定されている権限を不当に利用する場合、裁判所は後見人からその請求が行われたとき、未成年者の日常家事に関する法律行為を制限することができる。但し、その状況が止んだ後、後見人または本人から請求が行われたとき、裁判所はその制限を取り消すことができる。

 前項に規定されている決定が行われた場合、裁判所は直ちにその決定を官報および地方新聞において公告しなければならない。(1977:658)

 第3条 未成年者が16歳に達した後、未成年者が自らの労働によって財産を取得した場合、未成年者は自分自身でその財産を管理することができる。その財産から生じた果実またはその財産に代わるべき財産についてもまた同様である。

 未成年者の養育また福祉からみて必要とみなされる場合、後見人は後見監督人(överförmyndare)の同意を得て前項に規定されている財産を管理することができる。

 後見人から同意を求められた場合、後見監督人は同意を与える前に未成年者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。

 第3a条 1974年法律第236号により削除

 第4条[未成年者の管理に属する財産に対する後見人の財産管理権] 贈与、または遺言によって、未成年者の管理に属することを条件として、未成年者が取得した財産または保険金受取人指定約款もしくは「私的年金預託法」の規定によって取得した財産に関しては、第3条第2項の規定が規定される。但し、未成年者が16歳に達している場合には、後見監督人の同意が必要である。後見監督人は、同意を与える前に、特に支障のない限り未成年者に財産を与えようとする者(fångesman)またはその相続人の意見を聞かなければならない。(1994:1433)

 第5条[許可された営業の範囲内の未成年者の行為能力] 第13章第13条または第14条第2項の規定によって未成年者が営業を行っている場合、未成年者は許可を得ている範囲内において、法律行為を行うことができる。但し、第13章第10条に定められている法律行為については適用されない。(1994:1433)

 第6条[必要な同意なき未成年者の法律行為の効力] 未成年者が必要な同意なしに他人と契約を行った場合、未成年者と契約を行った者は、その法律行為について、追認、またはその契約について履行がなされるまでの間、何時でもその契約を取り消すことができる。但し、未成年者と契約を行った者が、契約の相手方が未成年者であるということを知って契約をなしたる場合、または契約能力を有すると信ずべき正当な事由がある場合、未成年者と契約を行った者は、未成年者が後見人の追認を得る必要な期間または追認を得るために必要とみなされる間、当該契約を取り消すことができない。未成年者と雇用契約を行っている者は、その契約が履行されている間は、その契約を取り消すことができない。

 未成年者との契約を取り消す場合、取消の通知は、未成年者本人に対しても行わなければならない。

 第7条[必要な同意なき法律行為が取り消された場合の法的効果] 必要な同意なしに行われた未成年者の契約が取り消された場合、既に、その契約の一部またはその全部が履行されているとき、契約当事者は、既に受領しているものを返還しなければならない。返還が行われなかった場合、その損害を賠償しなければならない。但し、第2項に定められている場合を除いて未成年者は、自己の生活費、または利益のために費消した額を越えて返還の義務を負はない。

 未成年者が契約締結に際して、自己の契約締結能力に関し、虚偽の情報をもってその契約を行った場合に、その契約が履行されなかったとき、未成年者は、その契約によって被った相手方の損害を賠償しなければならない。

 その行為が犯罪的行為によって行われた場合、不法行為による損害賠償責任を負う。

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第10章 後見人(Förmyndare)

 第1条[後見人となり得ない者] 未成年者(den som är underårig)または管理後見に付されている者(den som har fårvaltare)は、後見人(förmyndare)となることができない。(1988:1251)

 第2条[親が監護者になっている場合の後見人] 子が父母の監護に服している場合、父母が共同して子の後見人となる。第1条の規定によって、父母の一方が後見人となることができない場合、または後見人資格を剥奪されている場合、他の一方が子の後見人となる。

 子が父または母いずれか一方の監護に服している場合、子の監護を行っている者が単独で後見人となる。(1988:1251)

 第3条[親以外の者が監護者になっている場合の後見人] 親以外の者が未成年者の監護者に選任されている場合には、その者が未成年者の後見人(förmyndare för den underårige)となる。

 特別の事由ある場合、未成年者の監護者(den särskilt förordnade vårdnadshavaren)以外の者を未成年者の後見人に選任することができる。その場合、第6条、第7条の規定が適用される。

 本法において特別に選任された後見人(särskilt förordnade förmyndare)に関して定められていることは、第1項の規定によって選任された後見人についても適用される。(1994:1433)

 第4条[婚姻している未成年子の後見人] 未成年の子(ett underårigt barn)が婚姻した場合、婚姻の際に子の後見人であった者が引き続きその者の後見人にとなる。(1994:1433)

 第5条[後見人の欠如] 未成年者に後見人となるべき者がいない場合、裁判所は、未成年者のために後見人を選任しなければならない。

父または母が未成年者のため、前項の規定によって後見人の選任が行われた場合、父または母が成年に達するまで、その者が引き続きその子の後見人となる。(1994:1433)

 第6条[後見人に選任されうる者] 後見人には公平、且つ経験のある適当な者(en rättrådig, erfaren och i övrigt lämplig man eller kvinna)が選任される。

 特別の事由のないかぎり、未成年者の兄弟姉妹のために同一の後見人が選任されなければならない。(1994:1433)

 第7条[指定後見人] 父母が死亡したとき、父母の双方、またはその一方が未成年子の後見人となるべき者を指定している場合、後見人として不適任者とみなされないかぎり、その者を後見人に選任しなければならない。(1994:1433)

 第8条[後見人の人数] 必要がある場合、一人の未成年者に対して、複数の後見人を選任することができる。

 法定後見人が単独で後見人としての職務を行うことができない場合、復後見人を選任することができる。(1988:1251)

 第9条[後見人の辞任] 後見人は、何時でも後見人を辞任することができる。但し、父母またはそのいずれか一方が未成年者の後見人になっている場合で、後見人を辞任する特別の事由がないかぎり、父母は後見人を辞任することができない。(1994:1433)

 第10条[後見人の解任] 後見人がその職権を乱用、またはその職務に怠慢の事由ある場合、もしくは経済的困窮により後見人として不適当とみなされる場合、またはその他の事由により後見人として不適任とみなされる場合、後見人を解任しなければならない。(1988:1251)

 

 第11条[後見人が死亡死亡した場合の同居者の報告義務] 後見人が死亡し、且つ法定後見人となる者がいない場合、死亡した後見人の財産を管理している者は、直ちに、未成年者が住所を有するコミューンの後見監督人に対して、その旨を報告しなければならない。(1994:1433)

 第12条 1994年法律第1433号により削除

 第13条[後見人の任免に関する管轄裁判所] 後見人選任、解任に関する問題は、未成年者が住所を有する地区の地方裁判所の管轄に属する。(1994:1433)

 第14条[後見監督人に対する裁判所の後見人推薦依頼] 後見人の選任を行う場合、裁判所は、後見監督人に対して、後見人として適当な人を推薦する機会を与えなければならない。(1988:1251)

 第15条[後見人職務の任意性] 何人も、本人の許諾なしに、後見人に選任され、またはその職を解任されない。(1988:1251)

 第16条[暫定後見人] 裁判所は、後見人選任の問題を直ちに決定することができない場合、未成年者の状態からみて、直ちに、後見人の選任を必要とするとき、最終的に後見人が決定されるまでの間、暫定的に後見人を選任することができる。

(1988:1251)

 第17条[後見人の職務の停止] 第10条の規定により、後見人解任の問題が発生したとき、直ちに、その後見人を解任することができない場合で、且つそのことによって未成年者に危険が生ずるおそれある場合、裁判所は、最終決定が行われるまでの間、その後見人の職務を停止することができる。

 裁判所は、その決定を行う前に、そのことによって決定が遅滞しないかぎり、後見人に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。(1988:1251)

 第18条[後見人の選任請求権者] 後見人の選任、また解任請求は、後見監督人、後見人、未成年の監護者、未成年者が16歳に達している場合には、未成年者本人、未成年者の配偶者、もしくは内縁の配偶者(sambo)および近親者よって行われる。本条に規定されている問題について、裁判所がその必要を認めた場合、裁判所は、職権をもってその問題を取り上げることができる。

 裁判所は、第1項に規定されている事件において、未成年者が16歳に達している場合、本人に対して自己の意見を表明する機会を与えなければならない。(1994:1433)

  目次に

 

第11章 特別代理人と管理後見人 (god man och förvaltare)

  特別代理人(god man)

  第1条 病気、その他の事由によって後見人がその職務を行うことができない場合、または第10章第17条の規定によって後見人がその職務から排除されている場合、後見監督人は、後見人に代わって未成年者の財産管理を行うため、特別代理人(god man)を選任しなければならない。 

 第10章第17条の規定により、裁判所が、後見人の職務執行の停止を命じた場合、裁判所は、第1項の規定により、特別代理人を選任しなければならない。(1994:1433)

 第2条 後見人、または後見人の配偶者(förmyndares make)もしくは内縁の配偶者(sambo)が、成年者と共に共同相続人となった場合、後見監督人は、遺産分割に際して、未成年者の権利を保護するため、特別代理人を選任しなければならない。財産分割(bodelning)、遺産分割(skifte)、または遺産の共同管理契約(avtal om sammanlevnad i oskiftat bo)を締結する場合、また同様である。

 未成年後見、特別代理後見、または管理後見に付されている者が、法律行為を行う場合、もしくは訴訟当事者となる場合、その補助者を必要とするとき、第12章第8条の規定により、後見人、特別代理人、また管理後見人が、本人を代理することができない場合、後見監督人は、特別代理人を選任しなければならない。既に訴訟が提起されている場合には、裁判所が特別代理人を選任する。

 後見監督人は、前2項の規定に定められている場合を除いて、被後見人の利益と法定代理人、またはその配偶者、もしくは内縁配偶者の利益が相反する場合、特別代理人を選任しなければならない。その場合、後見監督人は、未成年者の監護者、後見人、特別代理人、または管理後見人もしくはそのような資格において本人を代理している者からそのことが請求された場合、または相当と認められる場合、後見監督人は、特別代理人を選任しなければならない。(1994:1433)

 第3条 次に掲げる場合、後見監督人は、特別代理人を選任しなければならない。

  1. 被相続人が死亡したとき、相続人となる者の住所が不明の場合、または遠隔地にあって遺産に対する権利を行使、もしくは自己の相続分を管理することができない場合
  2. 被相続人が死亡したとき、相続基金財団、または知れたる相続人と同一順位において、もしくはその者に優先して相続する者が不明の場合、または死者に相続人がいることが判明しているが、相続人の氏名、住所が不明の場合、 不明相続人の権利を保護し相続分を管理する必要がある場合
  3. 住所不明、または遠隔地にいる受遺者のために、もしくは知れざる受遺者のために、その権利を保護する必要がある場合
  4. 不在者の権利を確保し、または不在者の財産管理を行うため必要とみなされる場合
  5. 遺言、その他の書面によって、将来の財産の帰属者が指定され、または最初に所有者となるべき者が指定されているとき、将来の所有者の権利を確保し、または将来の所有者のために財産管理が必要とされる場合

 6.財産が特別の規定によって、本章に規定されている特別代理人の保護、管理におかれている場    

   合

 後見監督人は、届け出の後、またはその他の事由から、その必要性が生じた場合、第1項の規定によって特別代理人を選任する。相続法人に対する権利を持っている者のために特別代理人の選任が必要とされる場合、その財産を占有管理している者は、その旨を後見監督人に届け出なければならない。

 本条の規定によって選任された特別代理人が、本条の規定にしたがって法律行為を行った場合、管理の対象とみなされた財産が、特別代理人の代理権の対象となっていない者に帰属している場合であっても、その法律行為は、有効なものとみなされる。(1994:1433)

 第3a条 「婚姻法」[Äktenskapsbalken]第18章第1条第1項および第20章第2条第1項に規定されている場合、その特別代理人は、裁判所によって選任される。(1994:1433)

 第4条 ある者が、病気、精神的障害、健康状態の衰え、その他、それに類する事由によって自分の権利を行使(att bevaka sin rätt)することができない場合、または自分の財産を管理(förvalta sin egendom)し、自分の身体を看護する(sörja för sin person)ために他人の介護を必要とする場合、その必要あるとみなされたとき、裁判所は、その者のために特別代理人を設置することができる。但し、その決定を行う場合、可能なかぎり、本人の同意を得なければならない。

 前項の規定によって裁判所がその決定を行った場合、裁判所は、その職務を行わせるため、特別代理人を選任しなければならない。但し、それ以外の場合に前項の規定に基づいて特別代理人が設置されるとき、特別代理人の選任は、後見監督人によって行われる。(1994:1433)

 第5条 特別代理人が、代理権の範囲を超えて法律行為を行った場合、その法律行為は、本人に対してその効力を生じない。また特別代理人が、代理権の範囲内における法律行為を本人の同意を得ないで行った場合、本人の精神的状態、またはその他の事情によって本人の意思を聴取することができなかった場合を除いて、その法律行為は、本人に対して拘束力を生じない。

 特別代理人が、その代理権の範囲内において、慣習的に日常家事とみなされている法律行為を行ったとき、その法律行為に先立って本人から取引の相手方に対して別段の意思表示が行われていなかった場合、その法律行為は、最初から本人の同意があったものとみなされる。(1988:1251)

 第6条 特別代理人によって行われた法律行為が、第5条の規定によって本人に対して拘束力を生じない場合、特別代理人は、そのことによって善意の第三者が被った損害を賠償しなければならない。但し、特別代理人において知ること能ざる場合で、且つその相手方においても特別代理人の善意を否定することができない場合、特別代理人は、損害賠償責任を免れることができる。(1988:1251)

 管理後見人(förvaltare)

 第7条 ある者が、第4条に定められている状態にあって、自己の身体、財産を保護、管理することができない場合、裁判所は、その者に対して管理後見人(förvaltarskap)を付することができる。但し、特別代理人(godmanskap)の選任をもって足りる場合、またはその他軽度の介護をもって足りる場合、管理後見人を選任することができない。

 管理後見人の職務は、管理後見に付される者の必要に応じて定められ、またその職務の範囲を特定の財産、特定の業務、もしくは一定額を超える財産に限定することができる。

 裁判所は、管理後見人の職務範囲の決定を後見監督人に委ねることができる。

 裁判所が第1項の規定による決定を行う場合、裁判所は、同時にその任務を行う管理後見人を選任しなければならない。その他の場合において、管理後見人が第1項の規定によって選任される場合、その選任は、後見監督人によって行われる。(1994:1433)

 第8条 第7条の規定によって管理後見人に付されている場合であっても、被後見人は、次の各号に掲げる事項について、単独で法律行為を行うことができる。

  1. 労働契約を締結すること
  2. 管理後見に付された後、自己の労働によって取得した財産、またはその財産より生じた果実、もしくはその財産に代わるべき財産を処分すること
  3. 管理後見に付された後、管理後見人の管理に属さないことを条件として贈与、遺言、または保険金受取人指定約款もしくは「私的年金預託法」の規定によって本人が取得した財産を処分すること

 但し、特別の理由がある場合、裁判所は、管理後見人に対して第1項に規定されていることと異なることを命ずることができる。(1994:1433)

 第9条 管理後見人は、その権限の範囲内において、単独で管理後見に付されている者の財産を管理し、その任務に属するすべての業務において本人を代表する。

 管理後見に付されている者は、他人のために法律行為を行うことがきない。(1988:1251)

 第10条 管理後見に付されている者は、管理後見人の同意を得て、管理後見人の職務権限に属する行為を行うことができる。管理後見に付されている者が管理後見人の同意を得ないでなしたる契約の効力については、未成年者に関する第9章第6条、第7条の規定が準用される。(1988:1251)

 第11条 管理後見人がその権限を超えて行った法律行為については、本人に対してその効力を生じない。その法律行為によって善意の第三者が損害を被った場合、管理後見人は、その損害を賠償しなければならない。(1988:1251)

  

 共通規定

 第12条 特別代理人、または管理後見人には、学識経験のある者が選任されなければならない。相続財産に対する未成年者、または不在者の権利を保護するため、特別代理人が選任される場合で、且つ被相続人が特別代理人を指定している場合、特別の事情のないかぎり、その者を特別代理人に選任しなければならない。

 未成年者、または管理後見に付されている者は、特別代理人、または管理後見人になることができない。(1988:1251)

 第13条 周囲の事情からそのことが必要と認められる場合、一人の人に複数の特別代理人、または管理後見人を選任することができる。(1994:1433)

 第14条 複数の特別代理後見人、または管理後見人が第三者に対して損害を与えた場合、特別代理人、または管理後見人は、連帯してその損害を賠償しなければならない。その場合、損害賠償責任は最終的にそれぞれの損害に対する寄与分に応じて分割される。損害賠償責任を負担すべき者がその責任を負担する資力を欠いている場合、その責任は、それ以外の損害賠償責任者がそれぞれその損害の寄与分に応じて負担する。(1994:1433)

 第15条 第1条乃至第4条に規定されている特別代理後見人、または管理後見人の選任は、後見人、本人が16歳に達している場合には、本人、本人の配偶者、内縁の配偶者および直近親族の請求にもとづいて行われる。第4条に規定されている特別代理人、または管理後見人の設置請求は、上記に掲げられた者以外に後見監督人によっても行われる。

 管理後見人の設置申請(ansokan om anordnande av forvaltarskap)は、第4条に規定されている特別代理人によっても行われる。

 特別の事由ある場合、裁判所は、第4条に規定されている特別代理人および管理後見人の設置問題を職権をもって取り上げることができる。後見監督人は、特別代理人、または管理後見人の選任に関して、同様の義務を有する。(1994:1433)

 第16条 16歳以上の者の特別代理人、または管理後見人の選任問題において、裁判所、または後見監督人は、可能な限り、本人に対して意見を述べる機会を与えなければならない。

 第4条の規定によって選任される特別代理人、または管理後見人の設置に関し、そのことが必要とみなされる場合、裁判所は、被後見人の配偶者、内縁の配偶者、子、後見監督人および収容施設から意見を求めなければならない。またその必要がある場合、親族、関係コミューンの社会福祉委員会その他の関係機関から意見を求めなければならない。特別代理人、または管理後見人の選任申請の対象となっている者については、その者に対して精神的損害を与えることなしそのことが可能な場合で、且つその者がそのことを完全に理解できる場合、口頭で本人の意見を聞かなければならない。但し、裁判所は、後見に付される者が、自ら特別代理人、または管理後見人の選任申請を行っている場合、もしくは本人が特別代理人、または管理後見人の選任に同意している場合、またはその他特別の事由ある場合、本人からの意見聴取を取りやめることができる。

 第2項の規定は、第4条に規定されている特別代理人、または管理後見人の選任に関する問題が後見監督人によって取り上げられた場合にも適用される。

 第2項に規定されている行政機関、または収容施設は、事件の決定に対して重要な意味をもっている情報を裁判所に提出しなければならない。(1994:1433)

 第17条 裁判所は、管理後見人の設置に先立って、医師の診断書、または本人の健康状態を証明する書面を取り寄せなければならない。第4条の規定によって、本人の意思に反して特別代理人が設置される場合また同様である。

 第1項に規定する調査に関する細則は、政府、または政府はの指定する行政機関によってこれを定める。(1994:1433)

 第18条 第4条に規定する特別代理人、または管理後見人の設置問題に関し、直ちに、最終決定を行うことができない場合、そのことによって本人の身体または財産に対して危険をもたらすおそれあるとき、最終決定が行われるまでの間、裁判所は、暫定的に、特別代理人、または管理後見人を選任することができる。そのような決定が未成年者に対してなされた場合、その決定は、未成年者が18歳に達したときからその効力を生ずる。

 特別代理人、または管理後見人の選任に関して、その最終決定が、直ちに、行われない場合、後見監督人は、第1項に規定されている理由から緊急を要する場合、その最終決定が行われるまでの間、特別代理人、または管理後見人を選任することができる。

 第1項、または第2項の規定による決定が行われる場合、決定に先立って、特に時間的余裕がない場合、またはそのことによって本人に対して精神的苦痛を与えるおそれある場合を除いて、管理後見に付される者に対して、自己の意見を表明する機会を与えられなければならない。

 第1項の規定に基づいて行われた決定は、何時でも、裁判所によって変更することができる。後見監督人は、何時でも、第2項の規定によって行った決定を変更することができる。(1994:1433)

 第19条 特別代理人、または管理後見人の設置が不要となった場合、特別代理後見人、または管理後見人は廃止される。第4条の規定によって設置された特別代理人、または管理後見人の廃止は、裁判所によって決定される。その他の場合においては、後見監督人によって行われる。第3条第1号乃至第5号の規定によって選任された特別代理人については、その必要がなくなったとき、後見監督人において解任することができる。特別代理人、または管理後見人がその任務を終了したとき、直ちに、後見監督人にその旨を報告しなければならない。

 特別代理人、または管理人は、自ら、その職を辞任することができる。解任の決定は、後見監督人によって行われる。特別代理後見(godmanskap)、または管理後見(forvaltarskap)の継続が必要な場合、特別代理人、または管理後見人は、新しい特別代理人、または管理後見人が任命されるまでの間、その職の留まっていなければならない。(1994:1433)

 第20条 特別代理人、または管理後見人に職務上の不正、怠慢、経済的破綻、その他、特別代理人、または管理後見人として不適任とみなされる事由が生じた場合、その特別代理人、または管理後見人を解任することができる。解任決定は、後見監督人によって行われる。

 前項の規定によって特別代理人、または管理後見人を解任すべきか事由が生じたとき、直ちに、その解任決定を行うことができない場合、後見監督人はその決定の遅延によって特別代理、または管理後見に付されている者に損害が生ずるおそれある場合、その問題が解決されるまでの間、特別代理人、または管理後見人に対して職務執行の停止を命ずることができる。(1994:1433)

 第21条 特別代理人、または管理後見人の解任、廃止請求は、第15条第1項に規定されている者、または特別代理人、または管理後見人によって行われる。

 裁判所、または後見監督人は、職権をもって前項に関する問題、および所管事項に関する問題を取り上げることができる。

 裁判所、または後見監督人は、可能な限り、本条に関する問題の決定に際し、本人に対して意見を述べる機会を与えなければならない。(1994:1433)

 第22条 特別代理人、または管理後見人が死亡したとき、その者の財産を占有している者は、遅滞なく、その旨を特別代理後見、または管理後見を監督している後見監督人に対して報告しなければならない。(1994:1433)

 第23条 裁判所は、第15条第1項に規定されている者、または特別代理人、もしくは管理後見人からの請求があった場合、第4条の規定によって選任されている特別代理後見人、または管理後見人の職務の範囲を審理しなければならない。裁判所は。、職権をもって、特別代理人、または管理後見人の職務の範囲を審理することができる。

 裁判所が前項の規定によって決定を行う場合、決定を行う前に、特別代理人、管理後見人、後見監督人および本人の意見を聞かなければならない。

 最終決定が直ちになされないとき、裁判所は、決定の遅延によって本人に損害の生ずるおそれある場合、最終決定が行われまでの間、暫定的な決定を行なわなければならない。暫定決定については、第18条第3項および第4項の規定が適用される。

 第1条乃至第3条までの特別代理人に関する問題については、後見監督人が特別代理人の職務範囲について変更すべきか否かの審理を行う。第1項乃至第3項の規定は、後見監督人の許での審理を行う場合にも適用される。(1994:1433)

 第24条 裁判所、または後見監督人がある者を特別代理人、または管理後見人に任命する場合、もしくは特別代理人、または管理後見人を解任する場合、選任、または解任に先立って、特別代理人、または管理後見人に弁明の機会を与えられなければならない。第20条第2項の規定に基づく問題の場合、時間的余裕があるかぎり場合、特別代理人、または管理後見人に弁明の機会を与えることができる。(1994:1433)

 第25条 第4条の規定によって設置される特別代理人(godmanskap)、または管理後見人(forvaltarskap)に関する管轄裁判所(behorig domstol)は、被後見人の住所地を管轄する地方裁判所とする。被後見人となる者がスウェーデン国内に住所を有しない場合、管轄裁判所は、ストックホルム地方裁判所とする。

   第1条、第2条および第4条に規定されている特別代理人、または管理後見人に関する監督機関(behorig overformyndare)は、被後見人が住所を有するコミューンの後見監督人とする。被後見人がスウェーデン国内に住所を有しない場合の後見監督機関は、ストックホルムコミューンの後見監督人とする。(1994:1433)

 第26条 相続財産(dodsbo)の管理に関し、第3条の規定による特別代理人の選任の問題が生じた場合、その問題は、被相続人が住所を有していたコミューンの後見監督人によって処理され、被相続人がスウェーデン国内に住所を有していなかった場合には、ストックホルムコミューンの後見監督人によって処理される。第3条の規定によって特別代理人が選任される場合、その事務は、特別代理人によって管理され、その財産の存在しているコミューンの後見監督人、または特別代理人選任の必要性をもつコミューンの後見監督人に帰属する。

  第3条に規定されている特別代理人に関するその他の事務については、特別代理人を選任した後見監督人帰属する。(1994:1433)

  第27条 管理後見人の設置、廃止に関する決定が行われた場合、直ちに、裁判所は、官報(Post- och Inrikes Tidningar)において公示しなければならない。第23条に規定されている管理後見人の職務範囲に変更が行われた場合、また同様である。(1994:1433)

 

第12章 後見人、特別代理人および管理後見人の職務に関する一般規定

(Allmänna bestämmelser om förmyndares, gode mans ochförvaltares verksamhet)

 

  後見人の義務(Förmyndares skyldighete)

   第1条 後見人は、未成年者の財産を管理し、その財産に関して未成年者を代理する。

 但し、未成年者が自ら管理することを認められている財産、または贈与、遺言、生命保険金受取人指定約款もしくは「私的年金預託法」の規定によって、未成年者に帰属した財産で、後見人以外の者の管理に属することを条件として、後見人の干渉なしに(utan bestämmanderätt för förmyndaren)その財産を管理する者が定められている場合、その財産に関しては、前項の規定は適用されない。

 本法の規定によって、未成年者の財産管理が、第三者によって行われない場合、後見人は、未成年者を代理する。(1994:1433)

特別代理人および管理後見人の義務(gode mans och förvaltares skyldigheter)

 第2条 特別代理人、または管理後見人は、その選任事項の範囲内において、自己の後見に服する者の権利を保護し、その者のもっている財産を管理し、本人の療養監護を行う。

 管理権の範囲が不明確な場合、特別代理人、または管理後見人は、特別の管理におかれている財産に関しては、代理権を行使することができない。特別の管理におかれている財産について、特別代理人、または管理後見人がその管理報告を受けることを義務づけられている場合、その財産を管理している者は、特別代理人、または管理後見人に対して、毎年、管理計算報告書を提出しなければならない。(1994:1433)

  共通規定(gemensamma bestämmelser)

  第3条 後見人、特別代理人、または管理後見人は、善良な管理者としての注意をもって自己の義務を履行し、且つ、常に、後見に服している者にとって最善の方法をもって、その職務を遂行しなければならない。(1994:1433)

 第4条 後見に服している者の金銭は、相当とみなされる範囲において、後見に服している者の生活、教育その他必要な費用に使用することができる。そのような目的に使用されない金銭については、十分に、安全、確実、且つ相当の法定果実を生む方法で利用することができる。

 財産管理とその方法については、第13章乃至第15章の規定に従う。(1994:1433)

 第5条 後見人、特別代理人、または管理後見人は、自己の管理に属する財産に関する計算を行い、財産処分を行った場合、その処分について記録しておかなければならない。尚、父母の場合、管理財産の額、その他の事情からみて必要があるとみなされる場合においてのみ、管理計算を記録しておかなければならない。(1994:1433)

 第6条 後見人、特別代理人、または管理人は自己の財産と被後見人の金銭、有価証券が混同しないよう管理しなければならない。

 被後見人が、有価証券、または有価証券から発生した権利を取得した場合、後見人、特別代理人、または管理後見人は、必要な登録、届け出を行わなければならない。(1994:1433)

 第7条 重大な問題に関しては、後見人は、そのことが可能な限り、被後見人が16歳に達している場合には本人、被後見人が婚姻している場合には、その配偶者の意見を聞かなければならない。

 特別代理人、または管理後見人は、被後見人本人、被後見人の配偶者、または内縁の配偶者との関係においても同様の義務を有する。特別代理人の後見に服している者からの同意については、第11章第5条の規定にしたがう。(1994:1433)

 第8条 未成年者と後見人、または後見人の配偶者、未成年者と後見人の内縁の配偶者、もしくは後見人の代理人との間に法律行為、または訴訟が発生した場合、後見人は、未成年者を代理することができない。兄弟姉妹が同一後見人の後見に服している場合、後見人は、遺産分割に際して、兄弟姉妹の利害が相反しない限り、兄弟姉妹を代理することができる。

 特別代理人、または管理後見人は、被後見人と特別代理人、または管理後見人もしくは特別代理人、または管理人の配偶者もしくは内縁の配偶者、または特別代理人、または管理人の後見に服している者との間に、法律行為、または訴訟が発生した場合、特別代理人、または管理後見人は、自己の後見に服している者の代理人となることができない。

 後見人、特別代理人、または管理後見人が、第1項、第2項の規定に反して、契約を行った場合、取り戻し、および損害賠償の問題に関しては、第9章第7条第1項の規定が適用される。(1994:1433)

  後見監督人による監督(Överförmyndarens tillsyn)

  第9条 後見人、特別代理人、または管理後見人は、後見監督人の監督に服する。

 後見人、特別代理人、または管理後見人は、後見監督人からの請求があった場合、その職務に関する情報を提供しなければならない。(1994:1433)

  後見監督人の同意なき契約(Avtal utan överförmyndarens samtycke)

 第10条 後見人、特別代理人、または管理後見人が第13章乃至第15章の規定により後見監督人の同意を必要としている場合、その同意を得ないで法律行為を行ったとき、後見人、特別代理人、または管理後見人と法律行為を行った相手方は、後見人、特別代理人、または管理後見人が法律行為のときから1ケ月以内に、後見監督人の同意を得たとき、特に、留保条項がなかった場合、その法律行為を取り消すことができない。後見監督人からの同意を得られなかった場合、法律行為の相手方は、別段の定めがない限り、その法律行為を取り消すことができる。(1994:1433)

 第11条 第10条に規定されている法律行為が取り消された場合、第9章第7条第1項の取り戻し、および損害賠償に関する規定が適用される。(1994:1433)

 複数の後見人、特別代理人または管理後見人(Flera förmyndare, gode man eller förvaltare)

 第12条 ある者の財産が二人以上の後見人、特別代理人、または管理後見人によって管理されている場合、法定代理人は、共同してその財産を管理する。但し、後見監督人は、被後見人の財産に関して、法定代理人間の管理方法を定め、特定の財産に関し特定の法定代理人をしてこれを管理せしめることができる。法定代理人選任の問題と関連して、裁判所は、財産の管理について同様の決定を行うことができる。

 共同して財産管理を行っている者が、ある行為について、意見の一致が得られない場合、後見監督人の意見が優先して適用される。後見監督人の同意を必要とする行為については、共同法定代理人の間に意見の一致がなくても、後見監督人は、同意を与えることができる。但し、その場合、後見監督人は、財産管理に関与しているすべての法定代理人に対して、後見監督人が最終決定を行う前に、意見を述べる機会を用意しなければならない。(1994:1433)

  担保の提供(Ställande av säkerhet)

  第13条 後見監督人は、その必要があると認めた場合、後見人、特別代理人、または管理後見人に対して、財産管理のため担保の提供を命ずることができる。

その他の場合にあっては、強制執行法(utsökningsbalken)第2章第25条の規定が適用される。(1994:1433)

  損害賠償(Skadestånd)

  第14条 故意、または過失によって被後見人に損害を与えた場合、後見人、特別代理人、または管理後見人は、その損害を賠償しなければならない。

 複数の後見人、特別代理人、または管理後見人がその責任を負う場合、連帯してその責任を負う。加害者の損害賠償責任は、最終的にそれぞれの責任の度合いによって分割される。共同加害者の一人がその責任を負担する資力を欠いている場合、欠け足る部分については、他の者がその責任の度合いによって不足分を分割負担する。(1994:1433)

 第15条 第14条に規定されている損害賠償の訴えは、第16章第8条に規定されている管理計算報告書がその報告書を受領すべき者に提出されてから1年以内に提起しなければならない。その期間内に訴えの提起が行われなかった場合、その訴権は、消滅する。但し、本条の規定は、損害が法定代理人の犯罪的行為によって生じた場合には適用されない。(1994:1433)

  報酬および必要費の補償(Arvode och ersättning för utgifter)

  第16条 選任された後見人、特別代理人、または管理後見人は、その職務の執行に関し生じたる費用および報酬を請求することができる。

 必要経費および報酬額は、後見監督人がこれを定める。更にその他に後見人、特別代理人、または管理後見人に対して必要経費または報酬が支払われる場合、後見監督人は、被後見人の財産から支出される報酬、必要経費の額を決定することができる。

 特別の事由のない限り報酬、必要経費は、後見が開始された年に、未成年者に所得があった場合にはその所得の中から、また未成年者の資産が「社会保険法」に定められているバースベロップ(basbelopp)の2倍以上ある場合には、その資産の中から支払われる。

 未分割の相続法人(oskiftat dodsbo)におけるある者の権利を保護するために支出された必要経費または報酬は、特別の事由がない限り、相続法人の財産の中から支払われる。

 被後見人本人、または相続法人の財産をもって支払うことのできない必要経費または報酬は、コミューンによって負担される。(1994:1433)

 第17条 特別の事由がある場合、後見人としての父母は、未成年者の財産管理を理由として、相当の報酬を請求することができる。但し、相当の事由ある場合、財産管理に要した費用を請求することができる。

 報酬、必要経費の決定は、後見監督人によって行われる。その額は、未成年者の財産をもって、それが相続法人の管理の場合には、相続法人の財産をもって支払われる。(1994:1433)

第13章 後見人としての親の財産管理

(Föräldrars förmyndarförvaltning)

  後見人としての親の財産管理(Föräldrars rådighet)

  第1条 父母が、未成年者の後見人になっている場合、父母の管理に属する財産は、本法その他の規則によって別段の定めがないかぎり、父母はその財産の利用、収益の方法を決定することができる。

 父母の一方が不在、病気、またはその他の事由によって緊急を要する決定に参加できない場合、他の一方が単独でその決定を行う。但し、そのことが未成年者のために最善の措置とみなされる場合を除いて、重要な事項について、親は、単独でその決定を行うことができない。

 父母の一方のみが単独で後見人となっている場合、父母に関する規定は、その者について適用される。

 相続法人(dödsbo)、またはその他、未分割財産(annat oskiftat bo)における未成年者の権利保護については、第15章の規定が適用される。(1994:1433)

  特定に財産に対する管理制限(Kontroll av förvaltningen av viss egendom)

 第2条 父母によって管理されている未成年者の財産の価格が、相続(arv)、贈与(gava)、価値の変動(värdestegring)その他の方法によって、「社会保険法」[Lagen (1962:381) om allämn försäkring]に規定されているバースベロップ(gällande basbelopp)の8倍(atta ganger)を超えた場合、第3条乃至第7条の規定が適用される。

 但し、後見監督人の特別管理(särskild överförmyndarkontroll)に属することを条件として(under villkor om att forvaltningen av den skall sta under overformyndarens kontroll)

  1.財産が、相続(arv)、遺言(testamente)によって未成年者に帰属している場合

  2.贈与によって未成年者に帰属した財産で、その贈与が贈与者から書面によって後見監督人に届け出られている場合

  3.生命保険契約の際の保険金受取人指定約款によって、または「私的年金預託法」[Lag (1993:931) om individuellt pensionssparande]の規定によって預け入れられている私的年金(pensionssparande)が年金受取人指定約款によって未成年者に帰属した場合、

第3条乃至第7条の規定が適用される。

 第2項に規定されている財産に替わるべき財産、およびその財産から生じた法定果実(avkastning av egendomen)は、第2項に規定されている財産とみなされる。(1994:1433)

 第3条 未成年者の資産(vardet pa en omyndigs tillgangar)が、第2条第1項に規定されている額を超過した場合、親は、1ヶ月以内に、未成年者の財産目録(en forteckning over den omyndiges egendom)を後見監督人(overformyndaren)に提出しなければならない。

 財産が、第2条第2項の規定によって、後見監督人の特別の管理に属することを条件として未成年者に帰属している場合、財産の帰属があってから1ヶ月以内に、親は、その財産に関する財産目録を後見監督人に提出しなければならない。

 財産目録は、良心にしたがい誠実に記載しなければならない。(1994:1433)

 第4条 第5条第1項に規定されている有価証券(vardehandlingar)以外の有価証券は、その有価証券を保有しておくことが未成年者のために不利益となる場合、もしくは債権(fordringar)の取り立てが行われなかった場合、回収のできなくおそれがある場合、有価証券は売却し債権はできる早い機会に適当な方法で回収されなければならない。

 第10条に規定されている動産に含まれないその他の動産はその財産が未成年者のために利用されない場合または未成年者または未成年者の家族にとって特別の価値を有しない場合、その他特別の理由から保有されるべき理由がない場合、適当な時点において売却されなければならない。(1994:1433)

 第5条 後見人は、次に掲げる場合、後見監督人の同意なしに、未成年者の資産を利用することができる。

  1.国家、地方自治体によって発行され、または保証されている債券(forbindelser)を購入する場合

  2.スウェーデン抵当証券銀行(Sveriges allmanna hupoteksbank)、スウェーデン船舶抵当証券金庫(Svenska Skeppshupotekskassan)または普通銀行もしくは「信用金庫法」[lagen (1992:1610) om kreditmarknadsbolag]の規定されている信用金庫(ett kreditmarknadsbolag)、スウェーデン国内の銀行(en bank)、または信用機関(kreditinstitut)に適用される規定と大体において一致している公的規則によって規制されている外国銀行または外国信用機関によって発行され、且つ劣後債権(forlagsbevis)またはその他の債券以外の債券を購入する場合

  3.「有価証券基金法」[lagen (1990:1114) om vardepappersfonder]に規定されている有価証券基金の債券、または概ねスウェーデン有価証券基金に適用される規定を一致している公的規則によって規制されている外国基金の債券を購入する場合

 更に、未成年者の資産は、後見監督人に同意なしに、「普通貯蓄法」[Lagen (1983:890) om allemanssparande]に規定されている普通貯蓄のために利用され、または最後に定められた課税評価額の60パーセント以内の不動産担保に対して貸し出すことができる。(1994:1433)

 第6条 後見人は、後見監督人から同意を得た場合、未成年者資産をもって株式およびその他第5条に規定されていない有価投資に運用することができる。

 不動産等の購入については、第10条の規定にしたがう。(1994:1433)

 第7条 第5条、第6条、または第10条の規定によって投資されない現金および当座、使用する目的のない現金は、利子付きで銀行に預け入れておかなければならない。(1994:1433)

 第8条 第16章第11条の規定によって銀行に預金されている金銭、または特別に後見監督人の管理に置かれていることを条件として銀行に預金されている金銭は、後見監督人の同意なしに引き出すことができない。(1994:1433)

  財産管理制限の廃止と軽減(Upphavande av eller lattnader i kontrollen)

 第9条 後見監督人は、未成年者の資産が「社会保険法」[Lagen (1962:381) om allman forsakring]に規定されているバースベロップの4倍以下に下がった場合で、且つ特に管理を継続させる理由がなくなった場合、第4条乃至第7条の適用除外を決定することができる。

 第1項に規定による決定は、後見監督人の特別の管理に属することを条件として未成年者に帰属している財産には適用されない。

 両親および未成年者の関係から見て、またはその他の理由がある場合、後見監督人は、その全部、またはその一部について第3条乃至第8条の適用除外を認めることができる。(1994:1433)

  不動産等(Fast egendom m.m.)

  第10条 親が、未成年者のために、次に掲げる行為を行う場合、後見監督人の同意を得なければならない。

  1.購入(kop)、交換(byte)、贈与(gava)によって不動産、または不動産に対する利用権を取得する場合 但し、子のために借家権を取得する場合はその限りでない。

  2.他人の所有する不動産に対して、子のために使用貸借契約を締結する場合 但し、その契約が借家契約、または軽微な財産の短期使用貸借契約の場合にはその限りでない。

  3.不動産、または不動産の利用権を売却、交換する場合 但し、住居の賃貸借についてはこの限りでない。

  4.不動産、またはトムトレット(tomtratt)に抵当権を設定し、もしくは不動産、またはトムトレットを貸与、またはその他の方法で、不動産、またはトムトレットを利用権付きで貸与する場合

 第1項第1号、または第2号に規定されている行為に対する同意は、その取得または契約がその財産の性質、未成年者の年齢、将来の必要性その他の事情からみて不適当とみなされない場合、その同意を与えなければならない。

 第1項第3号、第4号に規定されている行為に対する同意は、その行為が財産の性質、未成年者の年齢、将来の必要性、未成年者の総合的資産からみて相当とみなされる場合においてのみ、これを与えることができる。

 利用権(Nyttjanderatt)に関する規定は、その権利が契約にもとづいて貸与されるいる場合、地役権(servitut)、電力権(ratt till elektrisk kraft)に対しても適用される。

 本条に規定されている同意は、その同意が与えられてから6ヶ月間、その効力を有する。(1994:1433)

 

  財産贈与(Bortgivande av egendom)

  第11条 親は、その価格が未成年者の財産状態からみて妥当な個人的贈与とみなされる場合を除いて、未成年者の財産を他人に贈与してはならない。

 親は、後見監督人の同意を得て、未成年者の収入を自己の親族、または未成年者の親族のために利用することができる。(1994:1433)

  債務の引き受け(Upptagande av lan m.m.)

  第12条 親は、後見監督人の同意を得て、未成年者のために、次に掲げることを行うことができる。

   1.ローンを組み、その他の債務を引き受けること

   2.保証(borgensforbindelse)を引き受けること

   3.未成年者の財産を未成年者、またはその他の者の担保に供すること

  後見監督人の同意を得て、親が、未成年者に代わって未成年者のために営業を行っている場合で、且つ第1項に規定されている行為を行う場合には、不動産、またはトムトレットを抵当に入れる場合においてのみ、その同意を要する。但し、未成年者の教育、または住居を取得することを目的として借り入れる国家ローンの場合にはその同意を不要しない。

 後見監督人は、その行為が、未成年者のその他の財産の安全を確保するために必要とみなされる場合、または未成年者の教育、生計、その他そのことを必要とする事由がある場合においてのみ、その同意を与えることができる。(1994:1433)

  営 業(Rorelse)

  第13条 親は、16歳以下の子に営業を行わせてはならない。

 子が、16歳に達している場合、親は、後見監督人の同意を得た場合に限って子に対して、「商業帳簿法」[Bokforingslagen (1976:125)]または「農業帳簿法」[Jordbruksbokforingslagen (1979:141)]によって規定されている商業帳簿の備え付けが義務付けられている営業を行わせることができる。親は、後見監督人の同意なしに、未成年者のために、未成年者に代わってその営業を行うことができない。後見監督人は、未成年者の経済的、個人的事情が営業の種類からみて同意が与えられることが相当とみなされる場合においてのみ、その同意を与えることができる。(1994:1433)

  財産報告(Redovisning av viss egendom)

  第14条 親は、毎年3月1日までに、後見監督人に対して、前年度の第2条に規定されている財産および第10条に規定されている同意に関する規定に含まれている財産に関して報告を行わなければならない。

 年次報告の中には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  1.年次報告の会計年度の始めと終わりの財産および財産価値

  2.年間の債務

  3.財産からの収入、財産からの支出および利息(1994:1433)

 第15条 未成年者が18歳に達した場合、またはその前に親が、後見人として地位を失った場合、親は、1ヶ月以内に第2条に規定されている財産および第10条の同意に関する規定に含まれる財産に関し、最終管理報告書を後見監督人に提出しなければならない。更に後見監督人の特別の管理(sarskild overformyndarkontroll)に関する第2条第2項に定めれている条件が取り消されたとき、または第9条第1項の規定によって、後見監督人が、後見監督人による特別管理(overformyndarkontroll)の終了を決定したとき、また同様である。

 最終管理報告書には、後見人に職務が終了するまでの一年間の管理状況、後見監督人の特別の管理に属した条件、または後見監督人が管理の終了を決定した事由を記載しておかなければならない。

 第14条第2項に規定されていることは、最終年次報告についても適用される。(1994:1433)

 第16条 後見監督人は、親、または未成年者の状況、資産の種類、価値、もしくはその他の事情からみて、親に対して年次報告、または最終管理報告の提出義務を免除し、または簡単な方法でそのような報告を行わしめることができる。年次報告書については、一定の年度についてのみ、または当分の間、その提出を命ずることができる。(1994:1433)

 第17条 所定の期間内に、親が、第3条に規定されている財産目録、年次報告、または最終管理報告を後見監督人に提出できない場合、後見監督人は、改めて提出の期限を定めることができる。(1994:1433)

  特定に場合における後見監督人による特別の決定(Sarskilda beslut av overformyndaren i vissa fall)

  第18条 後見監督人は未成年者がそのことを請求した場合、親に対して年次報告またはその他の方法で特別の事由がある場合には第14条、第15条に規定されている以外に管理について報告を義務付けることができる。(1994:1433)

 第19条 特別の理由から管理の安全を確保するため、後見監督人は、次に掲げることを定めることができる。

   1.第2条に規定されている場合以外の場合であっても第3条乃至第7条の規定を適用すべきこと

   2.第8条に規定されている場合以外の場合であっても、銀行に預け入れられている金銭の引き出しを制限すること

   3.有価証券が「証券業法」[Lagen (1991:981) om vardepappersrorelse)による証券会社、またはスウェーデン国内の証券会社に適用される規則と同等の外国の公的機関によって管理されること

   4.後見監督人の同意なしに、国家によって発行された利付き債券の保有を、債券に付属している金銭の引き出し禁止条項を付して、国家債務証書台帳(statsskuldboken)に登録すること

   5.未成年者に対して金銭を支払う者に対して、通知によってその金銭を銀行に預け入れることを命ずること

 第1項第3号に規定されている決定が通知される場合、親は、後見監督人によって承認された条件をもって証券会社と契約を行うことができる。「株式口座法」[Aktiekontolagen (1989:827)]の規定によって登録された権利については、親は、管理に関する契約に代えて、閉鎖口座登録を行わせることができる。その権利が公的保管機関によって管理されている場合、後見監督人の許可を得た場合においてのみ、その機関の管理人がその権利を譲渡、入質または引き出すことができる。

 証券会社(en vardepappersinstitut)は、第1項に規定されている保管、管理に関する契約(sadant avtal om forvaring och forvaltning)を締結しなければならない。その契約は証券会社が、同じタイプの契約について、他の者に提供している条件より低い条件をもって契約してはならない。(1994:1433)

  財産管理終了後の事務処理(Vissa atgarder vid forvaltningens upphorande)

  第20条 子が成年に達したことによって親の管理が終了したとき、親によって管理されている子の財産は、直ちに子に返還しなければならない。第三者が子の財産管理を引き受けたことによって、子の財産に対する親の管理が終了した場合、親は、直ちに新しく就職した管理人に対して、管理している子の財産を引き渡さなければならない。(1994:1433)

 第21条 子の財産に対する親の管理が終了したとき、親は、監査のために必要な会計帳簿およびその他の書類を保管しておかなけばならない。その必要がある場合、後見監督人は、監査のために日時、場所を決定することができる。

 第12章第15条の規定によって訴えを提起する期間が経過してから訴えが提起された場合、損害賠償に関する確定した判決がある場合、管理に関する会計帳簿、その他の書類は、財産管理に関し、説明を受ける権限のある者に引き渡さなければならない。(1994:1433)

  両親の死亡または破産(Foraldrars dad eller konkurs)

  第22条 父母の一方が死亡した場合、本章の規定によって父母に義務づけられている未成年者の財産報告、管理の終了の際の事務手続きを他の一方ができない場合、相続法人(dodsboet)が代わってそのことを行う。父母の一方が破産宣告を受けた場合、相続法人に関して規定されていることは、破産管財人(konkursforvaltare)に適用される。(1994:1433)

目次に

第14章 選定後見人、特別代理人および管理後見人による財産管理

(Förordnade förmyndares, gode mans och förvaltares vård av egendom)

  財産目録(Förteckningar över egendom)

  第1条 選定後見人、特別代理人、および管理後見人は、選任のときから2ヶ月以内に、自己の管理に属する財産について財産目録を調製し、後見監督人に提出しなければならない。財産目録は、良心にしたがい誠実に(på heder och samvete)調製しなければならない。

 第11章第1条の規定によって選任された特別代理人によって提出される財産目録には、特別代理人が預かった動産についてのみ、記載する必要がある。

 選任後見人、特別代理人、または管理後見人が交代する場合、財産目録の提出義務を免除する。

 相続法人、またはその他、清算前の夫婦の財産(oskiftat bo)におけるある者の権利保護の問題に関しては、第15章の規定にしたがう。(1994:1433)

 第2条 裁判所が、特別代理人、または管理後見人の職務の範囲を拡大した場合、特別代理人、または管理後見人は、決定が行われたときから1ヶ月以内に、拡大された任務の範囲に属する財産に関する財産目録を調製し、後見監督人に提出しなければならない。財産目録は、良心にしたがい誠実に調製されなければならない。(1994:1433)

   財産の管理(Forvaltning av egendom)

   第3条 後見人、特別代理人、または管理後見人の管理に属する財産については、第4条乃至第11条の規定が適用される。(1994:1433)

 第4条 第5条第1項に規定されている有価証券以外の有価証券はそれら財産を保有しまたは回収しないでおくことが被後見人の利益になる場合を除いて可能な限り早い機会に売却し、債権は回収されなければならない。

 それ以外の動産で、且つ第11条の規定に含まれない財産についてはその財産が被後見人本人または被後見人の家族にとって特に重要な意味をもっていない場合またはその他特別の事由からその財産を保持する必要がない場合、適当な時期に売却しなければならない。(1994:1433)

 第5条 次に掲げる場合、被後見人の財産は、後見監督人の同意なしに運用することができる。

   1.国家、またはコミューンによって発行保証されている債券(skuld for bindelser)の購入

    2.スウェーデン抵当証券銀行(Sveriges allmanna hypoteksbank)、スウェーデン船舶抵当証券金庫(Svenska skeppshypotekskassan)、または一般銀行、「信用保証会社法」[Lgen (1992:1610) om kreditmarknadsbolag]の規定によって設立されている信用保証会社、または債券発行者のその他の債権者の後に始めて支払いを受ける権利が認めれている債券(Forlaghsbeviseller andra skudforbindelser)の場合を除いて、スウェーデン国内の銀行、またはその他の信用機関に適用される法令と同一視される法令によって管理されている外国銀行、その他の外国信用機関によって発行されている債券の購入、もしくは

    3.「有価証券基金法」[Lagen (1990:1114) om vardepappersfonder]に規定されている基金の持ち分証券、または「スウェーデン有価証券基金法」と同じ内容の公的規則によって管理されている外国基金財団の持ち分証券の購入

 更に、被後見人の財産が「私的年金預託法」に規定されている普通預金(allemanssparande)に使用される場合、または課税評価額の60パーセント以内で不動産抵当を担保としての金銭の貸し出しを行う場合、後見監督人の同意を要しない。(1994:1433)

 第6条 後見監督人が同意を与えた場合、被後見人の財産は、株式および第5条に規定されている別の方法で運用することができる。

 不動産の購入については、第11条の規定にしたがう。(1994:1433)

 第7条 第5条、第6条、または第11条の規定によって使用することのできない現金、または当座、使用することを要しない現金は、利息の付くような方法で銀行に預け入れておかなければならない。(1994:1433)

 第8条 銀行に預け入れられている金銭は、後見監督人の同意を得た場合においてのみ、引き出すことができる。

 但し、次に掲げる場合、後見監督人の同意を要しない。

    1.利息を引き出す場合

    2.被後見人の生活費、または被後見人の財産管理のために必要な金銭の引き出す場合で、後見人、特別代理人、または管理後見人がその金銭の預け入れる際に、その引き出しについて後見監督人の同意を要しないことを条件で預け入れられている金銭を引き出す場合(1994:1433)

 第9条 国家によって発行されている割増金付き債券(premieobligationer som har utfardats av staten)は、後見監督人の同意なしに、その債券と関連がある金銭の受け取りができないという留保条件をもって、国債台帳(statsskuldboken)に登録しておかなければならない。(1994:1433)

  第10条 特別の事由がある場合、後見監督人は、第4条乃至第9条に規定されている内容と異なることを命ずることができる。(1994:1433)

   不動産(Fasta egendom)

   第11条 被後見人のために、後見人、特別代理人、または管理後見人は、後見監督人の同意を得て、次に掲げる行為を行うことができる。

    1.売買、交換、または贈与によって居住用フロアーに対する借家権の引継の場合を除いて、不動産を取得し、また不動産に対する利用権を取得すること

    2.他人の不動産に対する利用権契約を締結する場合で、且つ住宅の賃貸借、または財産的価値の少ない短期間の賃貸借以外の賃貸借契約を締結すること

    3.住居用フロアーの交換を除く、不財産、不動産の利用権の売却、または交換を行うこと

    4.不動産、または公地賃借権(tomtratt)に抵当権を設定し、もしくは利用権をもっている不動産、または公地賃借権の貸出し契約を締結すること

 第1項第1号、または第2号に規定されている行為に対する同意は、その取得もしくは賃貸借契約が財産の性質上、またはその他の事由から不適当とみなされない場合においてのみ、これを与えることができる。

 第1項第3号、または第4号に規定されている行為についての同意は、財産の性質および被後見人の必要性と全財産の内容からみて、相当とみなされる場合においてのみ、これを与えらることができる。

 利用権に関する規定は、その利用権が、契約によって貸与される場合、地役権、電力権に対しても適用される。

 本条に規定されている同意は、その同意が行われてから6ケ月間その効力を有する。(1994:1433)

   財産の贈与(Bortgivande av egendom)

   第12条 後見人、特別代理人、または管理後見人は、その贈与が、被後見人の財産状態からみて、不当とみなされない限度でなければ、被後見人の財産を他人に贈与してはならない。

 後見監督人の同意を得て、被後見人の収入を親族、または被後見人の縁故者の生計費として費出することができる。(1994:1433)

 

   ローンの引き受け(Upptagande av lan m.m.)

   第13条 後見人、特別代理人、または管理後見人は、被後見人のために後見監督人の同意を得た場合に限って、次に掲げる行為を行うことができる。

    1.ローンの借り入れ、および第三者との契約を締結すること

    2.保証契約(borgenforbindelse)を締結すること

    3.被後見人の財産を本人、または第三者のために担保に供すること

 第1項に規定されている行為は、後見監督人の同意をもって、法定代理人が、被後見人のために営業を行っている事業の範囲内でそのことを行う場合、不動産、または公地借地権の抵当権設定の場合においてのみ、その同意を要する。後見監督人の同意は、被後見人の教育、住居の取得を行うために行われる政府ローンについては後見監督人の同意を要しない。

 後見監督人同意は、その行為が、被後見人の他の財産の安全を守るために必要とみなされる場合、または被後見人の教育、生計にとって必要とみなされる場合もしくはその他、特別の事由によって必要とみなされる場合においてのみ、これを与えることができる。(1994:1433)

  営 業(Rorelse)

  第14条 特別代理人、または管理後見人は、後見監督人の同意を得た場合においてのみ、被後見人に対して、「商業帳簿法」[Bokforingslagen (1976:125)]または「農業帳簿法」[Jordbruksbokforingslagen (1979:141)]の規定によって帳簿の備え付けを義務づけられいる営業を行わしめることができる。特別代理人、または管理後見人は、後見監督人の同意なしに、被後見人のために、被後見人に代わってそのような営業を行ってはならない。後見監督人の同意は、被後見人の財産的、または個人的関係および営業の種類からみて、同意を与えることが相当とみなされる場合においてのみ、これを与えることができる。

 選定後見人については、第13章第13条の規定が適用される。(1994:1433)

   管理財産の報告(Redovisning av forvaltad egendom)

   第15条 後見人、特別代理人または管理後見人は、毎年3月1日前までに、後見監督人に対する年次報告において、前年度中に法定代理人の管理に属した財産の報告を行わなければならない。年次管理報告書は、良心にしたがい誠実に記載しなければならない。

 年次管理報告書には、年度初めの財産と年度終わりの財産を記載しておかなければならない。更にその年の収入、支出を記載しておかなければならない。年次報告書は、特に、被後見人の生計費、または必要経費の支出状況が把握できるように記録しておかなければならない。(1994:1433)

 第16条 後見監督人は、被後見人の法定代理人の管理に属しない資産、債務について、後見人、特別代理人、または管理後見人が知りうる範囲において、別に報告を求めることができる。(1994:1433)

 第17条 本人の行為が、より広範な範囲において特別代理人の管理責任に影響を及ぼす場合、特別代理人は、後見監督人に報告しなければならない。(1994:1433)

 第18条 後見人、特別代理人または管理後見人の任務が終了した場合、その任務を行った者は、任務の終了後1ケ月以内に、その者の管理に属していた財産に関する最終管理報告書を後見監督人に提出しなければならない。最終管理報告書は、法定代理人の任務が終了するまでの年次報告をも含むものとする。管理計算は、良心にしたがい誠実にこれを行うことを要する。

 第15条第2項に規定する年次報告について規定されていることは、最終管理報告書についても適用される。

 裁判所が、特別代理人または管理後見人の職務を制限した場合、最終管理報告書は、その職務の範囲から外された部分についてのみ行われる。

 第11章第1条に規定されている特別代理人の職務が、年度の途中で終了した場合、または未成年者の後見に関する最終管理計算が年度の途中で発生した場合、特別代理人の最終管理計算は、特別代理人によってなされた行為についての報告に限定される。その他の場合においては、特別代理人によって管理の行われていた期間も後見人によって管理報告が行われる。(1994:1433)

 第19条 法定代理人と被後見人との間の関係、財産の種類、価格その他の諸般の状況からみて、特別の事由がある場合、後見監督人は、法定代理人に対して年次管理報告書、または最終管理計算書の提出を免除し、もしくはその報告義務を軽減することができる。年次管理報告については、その免除期間に期限を付することができる。(1994:1433)

 第20条 後見人、特別代理人または管理後見人から法律の規定によって定められた期間以内に第1条、第2条に規定されている財産目録、年次管理報告書、または最終管理報告書を後見監督人に提出することができない旨の届け出があった場合、後見監督人は、その期間を伸長するすることができる。(1994:1433)

   特定の場合における後見監督人の特別の決定(Sarsilda beslut av overformyndaren i vissa fall)

  第21条 後見監督人は、管理の安全を確保するため、次に掲げる決定を行うことができる。

   1.第8条に規定されている場合以外に銀行に預金されている金銭の引き出しを制限すること

   2.有価証券が「有価証券業法」[Lagen (1991:981) om vardepappersrorelse」によって規定されている証券会社(vardepappersinstitut)、またはスウェーデンにおける証券会社に相当する機関で、且つ公的機関によって監督を受けている機関によって保管、管理されること

   3.金銭の支払えを行う者から被後見人に対する通知をもって銀行に金銭を振り込ませること

 第2項第2号の規定によって決定が行われた場合、法定代理人は、後見監督人の承認を受けることを条件として、証券会社と契約を締結しなければならない。株式口座法(Aktiekontolagen 1989:827)の規定によって登録される権利については、法定代理人は、保管管理契約を締結する代りに、決済台帳(pa konto i avstamnings register)に記録せしめ、その権利が権限ある管理者によって管理されている場合、その者に対して、法定代理人が後見監督人の許可を得た場合においてのみ、権利を譲渡し、または権利を担保に供し、もしくは金銭の取り立てることを届け出ることができる。

 証券会社は、第2項に規定されている保管管理に関する契約を締結しなければならない。その契約は、証券会社が他の者と締結する同じタイプの契約と同一条件で締結しなければならない。(1994:1433)

  管理の終了の際の特別の措置

  第22条 後見人、特別代理人、または管理後見人の任務が終了したとき、法定代理人は、管理している財産を本人、または本人以外の者がその管理を引き受ける場合には、その者に対してその財産を引き渡さなければならない。(1994:1433)

 第23条 後見人、特別代理人、または管理後見人がその職を辞任した場合、その者は、会計帳簿および管理に関するその他の書類を何時でも監査ができるように準備しておかなければならない。必要な場合、後見監督人は、監査の日時と場所を決定することができる。

 第12章第15条の規定する訴権期間が経過してから訴えの提起が行われてとき、補償問題に関する確定判決のある場合、管理に関する会計帳簿およびその他の書類は、管理に関する報告を受領する権限のある者に引き渡されなければならない。(1994:1433)

  法定代理人の死亡または破産(Stallforetradares dod eller konkurs)

  第24条 後見人、特別代理人、または管理後見人が死亡した場合、死亡した法定代理人の相続法人は、被後見人の財産に関する報告を行い、且つ本章の規定によって、財産管理終了の手続きを行わなければならない。法定代理人が破産宣告を受けた場合、破産管財人がその任務を行う。(1994:1433)

第15章 相続財産に対する未成年者の権利の保護等

(Vard av ratt i dodsbo,m.m.)

   一般的規定(Allmanna bestammelser)

   第1条 未成年者が相続財産、または未分割の相続財産に対して相続権をもっている場合、後見人は、本章の規定によって相続財産に対する未成年者の権利を保護しなければならない。

 本章の規定は、特別代理後見に付されている者、または管理後見に付されている者が、夫婦の財産に対して財産分割請求権をもっている場合で、且つ共同相続人としての本人の権利の保護がその任務に含まれている場合、特別代理人、または管理後見人に対しても適用される。

 被後見人が単独相続人となっている場合、または全相続人が同一後見人、特別代理人、または管理後見人の後見に服している場合で、且つその財産が法定代理人によって管理されている場合には、第13章、または第14章の規定が適用される。(1994:1433)

   財産分割および遺産分割の時点(Tidpunkt for bodelning och skifte)

   第2条 共同相続契約が締結されなかった場合、または共同相続契約が解消された場合、後見人、特別代理人、または管理後見人は、死亡によって行われる財産分割(bodelning)および遺産分割(skifte)が早急に行われるよう配慮しなければならない。

 財産分割が死亡以外の理由によって行われる場合、後見人、特別代理人、または管理後見人は、財産分割が早急に行われるよう配慮しなければならない。(1994:1433)

 第3条 財産目録の作成されたときから6ケ月以内に遺産分割が行われなかった場合で、且つ共同相続も行われなかった場合、後見人、特別代理人、または管理後見人は、遺産分割が行われなかった理由を6ヶ月以内に後見監督人に報告しなければならない。その報告は、遺産分割が行われるまでの間、または共同相続契約が締結されるまでの間、後見監督人がそれと異なる期間を決定するまでは、6ヶ月毎に、継続して後見監督人に行わなければならない。(1994:1433)

  法定代理人の管理への参加(Stallforetradares deltagande i forvaltningen)

  第4条 被後見人のために遺産管理に参加した後見人、特別代理人、または管理後見人は、第13章、または第14章に規定されている管理に関する法律行為ついては、後見監督人の同意を得なければならない。

 法定代理人は、相続財産に対する債権者、およびその他の者に対して、「相続法」に規定されている相続人としての責任に関する規定によって、その責任を負わなければならない。(1994:1433)

  財産分割および遺産分割の際の財産分割(Fordelning av egendom vid bodelning och skifte)

 第5条 被後見人のために、財産分割または遺産分割に参加した後見人、特別代理人または管理後見人は、財産分割に際して、後見監督人の同意を得なければならない。

 後見人、特別代理人または管理後見人は、後見監督人の同意がある場合においてのみ、被後見人の相続分(andel i boet)を譲渡することができる。(1994:1433)

  相続、遺贈の放棄(Avstande fran arv eller testamente)

  第6条 後見人、特別代理人または管理後見人は、本人に代わって、相続、または遺贈を放棄することができない。

 但し、後見監督人がそのことに同意した場合、「相続法」第3章第9条の規定によって相続放棄を行うことができる。(1994:1433)

  共同相続契約(Avtal om sammanlevnad i oskiftat dodsbo)

  第7条 共同相続契約は、後見監督人の同意がある場合においてのみ、これを締結することができる。

 後見監督人は、被後見人の利益を保護する必要がある場合、前項に規定する契約を取り消すことができる。生存配偶者自身がその契約の当事者で、且つ被後見人の法定代理人であった場合、その生存配偶者が再婚したとき、その者は、直ちに、後見監督人に対して、その旨を報告しなければならない。(1994:1433)

 第8条 共同相続契約が締結された場合、後見人、特別代理人または管理後見人は、毎年3月1日までに、後見監督人に対して、前年度の管理計算を報告しなければならない。年次管理計算報告書から相続財産の収支、年度末の資産債務が分かるようにしておかなければならない。

 後見人、特別代理人または管理人が、所定の期間内に、後見監督人に年次管理報告書を提出することのできない場合、後見監督人は、その報告書の提出期限を延期することができる。(1994:1433)

 特定の場合における財産目録の作成(Forrattande av bouppteckning i vissa fall)

 第9条 死亡以外の事由によって財産分割が行われる場合、後見人、特別代理人または管理後見人は、可能な限り、早い機会に、財産分割が行われるよう配慮しなければならない。財産目録の写し(kopia av bouppteckningen)は、直ちに、後見監督人に提出されなければならない。(1994:1433)

  特定財産の売却(Forsaljning av viss egendom)

  第10条 第11章第3条に規定されている特別代理人によって管理されている相続財産が、相続基金財団に帰属した場合、その財産の売却は、「相続基金財団法」[Lagen (1994:243) om allmanna arvsfonden]の規定にしたがう。(1994:1433)

第16章 後見人、特別代理人および管理後見人の職務に対する監督

(Tillsyn over formyndares, gode mans och forvaltares verksamhet)

  一般規定(Allmanna bestammelser)

  第1条 後見監督人は、本章の規定によって、後見人、特別代理人または管理後見人の職務を監督しなければならない。

 監督に際して、後見監督人は、特に被後見人の資産が、相当の範囲内において被後見人のために使用されているか否か、その他、財産が、適切、安全、且つ相当の法定果実を生む方法で運用されている否かを監視しなければならない。

 後見監督人等の選任に関する規定は、第19章に定める。(1994:1433)

  権限のある後見監督人(Behorig overformyndare)

  第2条 後見人に対する監督は、被後見人が住所を有するコミューンの後見監督人によって行われる。

  相続財産管理のため、第13章第3条の規定によって特別代理人が選任されている場合、その監督は、死者が住所を有したコミューンの後見監督人によって行われる。第11章第3条の規定によって選任されたその他の特別代理人については、特別代理人が住所を有するコミューンの後見監督人によって、その監督が行われる。

 第1項、または第2項に規定される権限ある後見監督人がいない場合、ストックホルムの後見監督人が監督を行う。(1994:1433)

  管理の監査(Granskning av forvaltningen)

  第3条 後見監督人は、後見人、特別代理人または管理後見人から提出された財産目録、年次管理計算報告書、最終管理報告書、およびその他の記録に基づいて後見人、特別代理人または管理後見人の業務の監査を行う。

 後見監督人または後見監督人の代理人は、第12章第5条に規定されている収支決算書(rakenskaper)、記録および法定代理人によって保有されている有価証券を調査する権利を有する。法定代理人は、後見監督人の指定する時間および場所にそれら書類を持参しなければならない。(1994:1433)

 第4条 後見監督人は、監査した財産目録、年次管理報告書、最終管理計算書、第5章第3条、または第8条に規定されている書類に会計監査の行われたことを記載しておかなければならない。(1994:1433)

  管理に対する報告(anmarkning mot forvaltningen)

  第5条 後見監督人が監査に際し、またはその他の場合に管理に不明の個所を見つけた場合、後見監督人は、法定代理人に対して、後見監督人の指定した期間内に説明を求めなければならない。

 所定の時間内に説明が行われなかった場合、またはその説明が不十分であると思われる場合、後見監督人は、その旨を監督記録の中に留めておかなければならない。後見監督人は、第13章、または第14章の規定によって、直ちに、決定を行うべきか否か、法定代理人を解任すべきか否か、その他の措置を講ずべきか否かを審査しなければならない。法定代理人は、その記録がなされたこと、およびその審査結果について報告を受けることができる。(1994:1433)

 第6条 第5条の規定によって記録された注意事項(anmarkning)において、法定代理人が未成年者、またはその他の後見に服する者に対する損害賠償責任を負うべき内容のものであるとき、法定代理人は、その損害賠償責任を免れるために被後見人を相手方として訴えを提起することができる。(1994:1433)

  書類に対するアクセス権(Ratt att ta del av handlingar)

  第7条 16歳に達した未成年者は、特別代理人または管理人の後見に服する者は、法定代理に関する書類および後見監督人の保有する書類にアクセスする権利を有する。被後見人の配偶者、内縁配偶者、親族もまた同様である。(1994:1433)

  監査書類の返還(Overlamnande av handlingar vid granskningens slut)

  第8条 後見人、特別代理人または管理後見人の最終管理計算書の監査を行った後、後見監督人は、監査のために集められた書証、財産目録、年次管理計算書、および第15章第3条第8条に規定されている書類は、その財産管理について説明を受ける権限のある者(den som ar behorig att ta emot redvisning for forvaltningen)に引き渡さなければならない。

 法定代理(stallforetradarskapeta)が終了したとき、法定代理人に最終管理計算報告書の提出が義務づけられていない場合であっても、本人または退任した法定代理人がそのことを欲する場合、または後見監督人が第5条の規定によって注意事項を書き入れた場合、財産管理について説明を求める権限をもっている者に対して、第1項に規定されている書類を引き渡さなければならない。

 第1項、または第2項に規定されている書類が、新しい法定代理人に引き渡された場合、新しい法定代理人はその書類を受け取ってから2ヶ月以内に、その書類を後見監督人に引き渡さなければならない。後見監督人は、書類の引き渡しが行われたとき、書面をもってその義務のあることを法定代理人に告知しておかなければならない。

 法定代理人による管理が、被後見人または新しい法定代理人によって承認された場合であっても、その承認が、第1項、または第2項に規定されている書類を取得する前になされている場合、その承認は無効とする。(1994:1433)

  意見聴取(Inhamtande av yttrande m.m.)

  第9条 重要な管理事務に対して同意を与えるべきか否かについて決定を行う場合、後見監督人は、未成年者が16歳に達している場合には、本人、特別代理人または管理後見人、被後見人の配偶者、内縁配偶者、直近親族に対して、そのことによって重大な遅延が生じない場合、意見を表明する機会を準備しなければならない。

  後見監督人は、同意の前提条件が消滅した場合、その同意を取り消すことができる。(1994:1433)

  第10条 社会福祉委員会およびその他の行政機関は、後見監督人からの請求があった場合、後見監督人の監督業務にとって必要な資料を後見監督人に提供しなければならない。

 その他に政府によって指定されている行政機関は、後見監督人に対して、後見監督人の監督業務にとって重要な事情について報告しなければならない。(1994:1433)

  銀行への払え込みと後見監督人に対する通知 (Utbetalning till bank och underrattelse till overformyndaren i vissa fall)

  第11条 未成年者が、相続または遺言によって、「社会保険法」(lagen (1962:381) om allman forsakring)に規定されているバースベロップの2倍額を超える金銭を取得した場合、または後見監督人の特別の管理に属することを条件として金銭を取得した場合、未成年者のために相続財産からの支出を管理している者は、後見監督人の許可なしにその金銭を引き出すことができないことを条件として、銀行に預け入れなければならない。

 以上のことは未成年者が受領権をもっている保険金の支払いの際の保険金の支払い者、「私的年金預託法」に規定されている年金預託金の支払い者に適用される。支払いが定期的に支払われる金銭(forman)の場合、銀行に対する払い込みの義務は、初回の払い込みが行われる場合においてのみ適用される。

 第1項または第2項の規定によって支払いが行われるとき、払い込みを行う者は、直ちに、後見人と後見監督人にその旨を報告しなければならない。相続または遺言によって、未成年者が、第1項に規定されている額を超える有価証券を取得した場合、または未成年の取得した有価証券が後見監督人の特別の管理に属することを条件として与えられている場合、また同様である。

 第1項乃至第3項に規定されていることは、未成年者が自らが管理している財産の支払いには適用されない。第2項、第3項の規定は、営業の枠の中で取得した保険には適用されない。

 本条の規定は財産管理を行うための特別代理人をもっている者または管理後見人をもっている者に対する有価証券の支払いまたは発行についても適用される。

(1994:1433)

  後見監督人の審査(Overformyndarens handlaggning)

  第12条 後見監督人は政府によって定めれている規則に従って諸目録を作成し、書証を整理し、且つ書類を審査しなければならない。(1994:1433)

  制裁金(Vite)

  第13条 後見監督人は、本章第3条第2項、第8条第3項、第12章第13条、第13章第3条、第14条、第15条または第18条乃至第21条、第14章第1条、第2条、第15条、第16条、第18条、または第21条乃至第23条、第15章第3条または第8条に規定されている義務を後見人、特別代理人または管理人に履行させるため制裁金を課すことができる。制裁金の決定に先だって、後見監督人は、法定代理人に対してその義務を怠った場合、制裁金を課されることのあることを書面をもって通知し、且つ法定代理人に対して必要な書類の提出を督促、あるいはまた誤りを修正する期間を与えなければならない。

 制裁金の言い渡しは、地方裁判所によって審理される。制裁金の賦課および言い渡しは「制裁金に関する法律」[Lagen (1985:206) om viten]の規定に従う。

  制裁金の判決と関連して、裁判所は別に重ねて制裁金を賦課することができる。(1994:1433)

  財産目録の様式(Utformning av forteckningar)

  第14条 政府または政府の指定する行政機関は、法定代理人によって作成される財産目録(forteckningar)、年次管理報告書(arsrakningar)、最終管理報告書(slutrakningar)、および第15章第3条、第8条に規定されている書類に関する書式の細則を定めることができる。(1994:1433)

  

第17章 後見人、特別代理人および管理後見人によって行われる

財産管理に関する監督

          1994年法律第1433号によって削除

第18章 特別代理人1988年法律第1251号によって削除

 

第19章 後見監督人について(Om overformyndare)

   第1条 本法に別段の定めある場合を除いて、各コミューン毎に一人の後見監督人(overformyndare)を置く。

   第2条 コミューンは、後見監督人の代わりに後見監督人委員会(overformyndarnamnd)を設置することができる。本章以外の場所で後見監督人について定めらている規定は、後見監督人委員会に準用される。(1974:1038)

    第3条 1974年法律第1038号により削除

    第4条 1974年法律第1038号により削除

    第5条 後見監督人は、コミューン議会(kommunfullmaktige)において選出される。各後見監督人のために一人の予備後見監督人が選出される。

 後見監督人委員会の構成員およびその予備後見監督人の定員は、コミューン議会によって決定される。但し、後見監督人委員会委員の人数は、3名を下回ることができない。

 被選挙人の数に1を加えた数をもって選挙人の総数を除した数の選挙人から、後見監督人委員会委員およびその予備員の選挙を比例代表選挙で行うことが要求された場合、後見監督人委員会の委員およびその予備委員の選出は、比例代表選挙によって行われなければならない。比例代表選挙方式については特別の規定を設ける。

 後見監督人予備委員が、比例代表選挙によって選出されていない場合、その予備委員の正規後見監督人委員への就任については、別に規定を設ける。

 後見監督人、後見監督人委員会委員、またはその予備委員が選出されたとき、直ちに県行政府(lanstyrelsen)にその結果を報告しなければならない。後見監督人の選出が所定の期間内に行われなかった場合、県行政府は、速やかに後見監督人の選出を行うよう監督しなければならない。(1994:1433)

   第6条 1974年法律第1038号により削除

   第7条 後見監督人、後見監督人委員会委員および予備委員の任期は、スウェーデン全国においてコミューン議会議員の選挙が行われた翌年の1月1日から4年とする。

 比例代表選挙によって選出されている後見監督人委員会委員が、任期中、退任する場合、予ね定められている選任順位にしたがって、予備委員の一人が正規の後見監督人委員に就任する。新しく委員に就任した予備委員の任期は、前任者の残存期間とする。比例代表選挙によって選出されていない後見監督人、後見監督人の予備委員または後見監督人委員会委員が退任した場合、退任後見監督人の残存期間について補充選挙が行われる。(1994:1621)

   第8条 後見監督人、後見監督人委員会委員およびその予備委員は、コミューン議会議員選挙に際して選挙権を有し、当該コミューンに居住し、且つ破産宣および管理後見に付されていない者でなければならない。

 地方裁判所の専門職にある者は、政府からの特別の許可を得ないかぎり、自己の勤務する裁判所の管轄区内において、後見監督人、または後見監督人委員会委員もしくは予備委員となることができない。

 後見監督人、後見監督人委員会委員および予備委員は、選任前の4年間その職にあった場合、60歳に達している場合またはコミューン議会によって相当と認められる辞任の事由がある場合を除いて、その選任を辞退することができない。(1994:1621)

   第9条 後見監督人、後見監督人委員会委員、またはその予備委員が後見監督人として不適任とみなされた場合、裁判所は、県行政府に届け出た後、その者を解任することができる。(1994:1433)

   第10条 後見監督人、またはその予備委員がその任務を行うことができない場合、県行政府は、臨時にその代行者(tillfallig vikarie)を任命することができる。

(1994:1433)

   第11条 コミューン議会は、後見監督人委員会委員の中からその任期中の委員長と副委員長を選出しなければならない。

 委員長、副委員長に事故ある場合、委員会は、委員の中から臨時に議長を選出しなければならない。(1974:1038)

   第12条 1986年法律第1143号により削除

   第13条 本法に定められている事項について、後見監督人委員会の意見が別れた場合、「訴訟法」[Rattegangsbalken]第16章民事事件における評決に関する規定が準用される。少数意見は、「行政法」[Forvaltningslagen (1986:223)]第19条の規定によって、議事録に記録しておかなければならない。

 本法に関する後見監督人、後見監督人委員会の決定に関しては、その決定に参加した者、委員会の出席者およびその決定の日時、内容を議事録に記録しておかなければならない。

 本法に定められている事項以外の後見監督人、後見監督人委員会に関する事項については、会議の参加者および決定に参加した者の氏名を記録しておくことで足りる。(1986:1143)

   第14条 後見監督人委員会は、特定の後見監督人委員会委員、会議に出席していた予備委員、または必要な資格をもっているコミューン職員に対して、委員会によって決定された委員会業務の一部を委託することができる。コミューン議会は、同様の方法をもって、有資格コミューン職員に対して、後見監督人に代わって、後見監督人の事務を行うことを委託することことができる。

 但し、コミューン議会に対する意見表明は、委員会全体または後見監督人自らによってのみ、これを決定するすることができる。特別代理人、または管理後見人の任免、共同相続契約(avtal om sammanlevnad i oskiftat bo)の破棄、制裁金(vite)の賦課に関する決定についてもまた同様である。

 第1項に規定されている任務を取得した者が、同意、許可または命令を行うことができない場合、もしくはその者が問題についての判断を行うことができない場合、その問題は、委員会または後見監督人において決定される。第1項に規定されている委任に基づいて行われた本法に定められている決定は、委員会または後見監督人のために報告することを要しない。(1995:1362)

 第15条 後見監督人、後見監督人委員会委員および予備委員に対する補償、報酬、年金その他の経済的利益に関しては、「地方自治法」第[Kommunallagen (1991:900)]2章第29条の規定が準用される。(1991:1649)

 第16条 後見監督人委員会委員および後見監督人に対しては、適用可能な部分において、「地方自治法」第3章第13条第2項に規定されている委員会に関する規定が適用される。(1991:1649)

  後見監督人および後見監督人委員会の業務は、県行政府(lansstyrelsen)の監督に服する。(1994:1433)

  

第20章 訴訟に関する共通規定

(Vissa gemensamma bestammelser om rattegangen)

 第1条 父性の決定、監護、面接交渉および扶養に関する訴訟事件については、「婚姻法」第14章第17条および第18条の規定が適用される。(1988:1251)

 第2条 本法の規定によって訴えの相手方となる者の住所が不明の場合、その者の権利は、第11章に規定されている特別代理人によって行使される。不在者がスウェーデン国外の知れたる場所に滞在している場合で、且つ召喚状その他の通知を送達することができない場合、または不在者が代理人を選任することを怠っている場合で、且つ特別代理人を選任する特別の事由がある場合、また同様である。

 管理後見人の選任、または管理後見人の職務の拡大に関する事件において、明らかに被後見人が事件の内容を理解できない場合、またはその内容を知ることによって本人が精神的に不利益を被るおそれある場合、裁判所は第11章の規定によって被後見人を代理し、本人に代わってその権利を行使させるため、特別代理人を選任することができる。

 第1項、または第2項に規定されている特別代理人は、可能な限り本人と協議しなければならない。(1994:1433)

 第2a条 管理後見人の選任、または管理後見人の職務権限に関する訴訟事件において、第2条第2項に規定されている事情が存在しない場合、 裁判所は、その事件における被後見人の権利を保護するため、補助者(ett bitrade)を付さなければならない。後見に付されている者が後見を廃止し、またはその職務範囲が縮減を請求する場合、訴訟補助者(ett rattegangsbitrade)を選任しなければならない。

 明らかに訴訟補助者を必要としない場合、訴訟補助者は選任されない。(1994:1433)

第2b条 第2条の規定によって特別代理人に選任された者、または第2a条の規定によって訴訟補助者に選任された者は、審理が終わった後、その業務について費用、報酬について相当な補償を国から受けることができる。訴訟の相手方が国に対して訴訟費用の返還を命ぜられない限り、その費用は国の負担とする。(1988:1251)

 第2c条 相手方の喚問に関する訴訟法の規定は、証人、または鑑定人以外の資格において、訴訟において尋問を受ける者についても適用される。(1988:1251)

 第3条 後見人の任免以外の後見に関する裁判所の処分に関する申請は、問題が第9章第2a条に規定されている場合を除いて、後見監督人および後見人の他に、本人が16歳に達している場合、本人自身、本人の配偶者、親族によってこれを行うことができる。相当と認められる事由がある場合、裁判所は職権をもってその事件を取り上げることができる。

 第1項に規定されている事件において、子が16歳に達している場合、裁判所は、可能な限り、本人の意見を聞かなければならない。

 第1項に規定されている事件に関し、裁判所の決定に対しては、決定に関係する者の外に申請を行う権利を持っている者によっても訴えを提起することができる。

 制裁金をもってある行為を行うべきことが後見人に課されている場合、後見人は裁判所に対して制裁金決定に対する異議の申し立てと関連して訴えを提起することができる。(1994:1433)

 第4条 未成年者の財産処分に関する後見監督人の許可は、後見人によってのみ申請することができる。そのような事件における後見監督人の決定、および第15章第9条第2項による留保を認めない後見監督人の命令に対しては、後見人においてのみ、その訴えを提起することができる。事件が未成年者によって管理されている財産の管理に関する後見人、または後見監督人による許可の取り消しもしくは未成年者自身によって行われている営業に関する後見人、または後見監督人に関する許可の取り消しに関する訴えについては、子が16歳に達した場合には、子自らこれを行うことができる。

 第13章第8条第3項に規定されている事件に関する後見監督人の決定に対しては訴えの提起を行うことができない。(1994:1433)

 第5条 1994年法律第1433号により削除

 第6条 後見監督人によって行われた決定に対する異議の申し立ては、その決定が行われたことを知ってから2週間以内に、裁判所に書面をもってこれを行わなければならない。(1994:1433)

 第7条 後見監督人から提起された訴えについては、裁判所は、理由がある場合、事件の決定に際して、後見監督人に対して、その事件のために要した費用を国費をもって支弁することを認めることができる。裁判所は、補償を後見監督人の相手方または国の負担とすべきかを審査しなければならない。

 後見監督人が訴えを提起する場合、後見監督人は代理人を依頼することができる。(1976:612)

 第8条 本法による後見、特別代理、または管理に関し、裁判所または後見監督人によってなされた決定については、その決定に対し異議の申し立てがおこなれている場合であっても執行を行うことができる。但し、共同相続契約の終了に関する裁判所の決定または後見人、特別代理人、管理人に対する滞納制裁金の支払い命令には適用されない。(1994:1433)

 第9条 1990年法律第444号により削除

 第10条 1980年法律第159号により削除

 第11条 第6章第20条、第7章第15条、第10章第16条、第17条または第11章第18条、もしくは第23条第3項に規定されている事項に関し、地方裁判所のなしたる決定に対して異議の申し立てを行うことができる。(1995:1362)

 第12条 高等裁判所(hovratt)の判決または第7章の規定によってなされた扶養事件に関する最終決定に対しては異議の申し立てを行うことができない。但し、特別の事由ある場合、高等裁判所は、「訴訟法」[Rattegangsbalken]第54章第10条第1項の規定によって異議の申し立てを認めることができる。

 判決の一部が上訴の対象となった場合、前項前段の規定はその効力を有しない。

 第11条に規定されている問題に関する高等裁判所の決定に対しては、如何なる場合においても、異議の申し立てを行うことができない。

 後見監督人によって最初に取り扱われた事件についてもまた同様である。(1989:354)

 第13条および第14条 1976年法律第612号により削除

   参照 親子法に関する訴訟事件において資料を提供する裁判所の義務

       に関する政令 Forordning (1949:661) om skyldighet for

       domstol att lamna uppgifter i mal och arenden enligt

       foraldrabalken, m.m.

 

第21章 監護、面接交渉に関する判決または決定の執行について

(Om verkstallighet av domar eller beslut om vårdnad eller umgänge m.m.)

 

  判決または決定の執行(Verkställighet av domar eller beslut)

  第1条 普通裁判所において行われた監護、面接交渉、または子の引き渡しに関する判決、または決定の執行に関する申し立ては、地方行政裁判所(lansratten)に対してこれを行う。特別の事由がある場合を除いて、地方行政裁判所は、判決または決定の確定する前に、第2条乃至第4条に規定されている措置を講じてはならない。(1983:485)

 第2条 地方行政裁判所は、判決、または決定の執行に先立って、子の監護をしている者が、任意に、自らに課されている義務を履行するよう、社会福祉委員会の委員またはその代行者(ledamot eller suppleant i socialnamnden)もしくは社会福祉局の職員(tjanstman inom socialtjansten)に対して、その任務を委託することができる。その任務は、その他相当の者に委託することもできる。

 第1項の規定によってその任務を委託された者は、地方行政裁判所が決定した期間内に、委託された者が講じた措置および将来講ずべき措置について、裁判所に報告しなければならない。その期間は2週間を超えてることができない。但し、地方行政裁判所は、相手方が判決または決定の内容を任意に実行する可能性がある場合、その期間を伸長することができる。(1983:485)

 第3条 地方行政裁判所が、判決または決定の執行を命ずる場合、地方行政裁判所は、制裁金(vite)を賦課し、または警察署による子の引き取りを命ずることができる。但し、警察署による子の引き取りは、第2項および第3項に規定されている場合においてのみ、これを決定することができる。

 判決または決定が、子の監護、または子の引き渡しにかかわる問題の場合、地方行政裁判所は、別の方法をもってしては判決または決定の内容を実現できない場合、または子の危険を防止するために止むを得ざる場合、その決定を行うことができる。

 判決または決定が子と子に対する監護権をもっていない親との間の面接交渉に関する問題の場合、それ以外の方法をもって判決、決定の内容を実現できない場合で、且つその親との面接交渉が子にとって必要不可決の場合、子の引き取りを決定することができる。

 賦課された制裁金の言い渡しは、判決または決定の執行を求める者からの申し立てによって地方行政裁判所において審理される。

 第4条 地方行政裁判所(lansratten)が、判決または決定の執行を命ずる場合、当該地方裁判所は、第2条の規定によって任務を委託することができる。裁判所が警察署による子の引き取りを決定した場合、特に反対の事由がないかぎりその任務は警察署に委託しなければならない。

 特別の理由がある場合、地方行政裁判所は、子の引き渡しを容易にするため、一時的に適切な方法で子の監護の方法を定めることができる。

 面接交渉に関する確定判決の執行を命ずる場合、命令の発せられた後に事情に変更が生じたとき、地方行政裁判所おいてその必要があると認められた場合、裁判所は面接交渉に関する条件、時間を変更することができる。(1983:485)

 第5条 子が12歳に達している場合、子の利益からみて、そのことが必要とみなされる場合を除いて、地方行政裁判所は、子の意思に反して、判決または決定を執行してはならない。子が12歳に達していない場合であっても、相当の判断能力があるとみなされる場合、その子の意思に反して、判決または決定を執行してはならない。(1983:485)

 第6条 地方行政裁判所は、普通裁判所の判決または決定が行われた後、明らかに事情に変更が生じ、且つ子の最善からみて監護、または面接交渉の問題を改めて審理す必要が生じた場合、地方行政裁判所は、判決または決定の執行を拒否することができる。判決または決定の執行を拒否すべきか否かの問題は、地方行政裁判所における事件の当事者であった者の請求または社会福祉委員会からの請求によって普通裁判所において審理される。

 その他の場合においても、地方行政裁判所は、子の身体的、精神的な健康が侵害されるおそれが少なくない場合、その執行を拒否することができる。(1983:485)

 その他の場合における子の引き渡し(Overflyttning av barn i andra fall)

 第7条 第1条に規定されている判決または決定が存在しない場合であっても、子が監護者以外の者の許に滞在している場合、監護者は子の引き渡す決定を地方行政裁判所に請求することができる。

 但し、地方行政裁判所は、子の利益からみて監護の問題が普通裁判所において審理される必要があるとみなされる場合、決定請求を却下することができる。

 但し、子の監護に関する特別の規定と共に、子に関する移動禁止に関する規定がある場合、第1項に規定されている措置を決定することができない。

 その他の場合においては、第2条乃至第6条の規定が適用される。(1990:54)

 第8条 両親、養親または特別に選任された監護者が、共同して、子の監護を行っている場合で、且つその一人が、正当な事由なしに、子の居所を変更または自己の許に不当に留置している場合、他の一方から決定の変更が求められたとき前条の規定が準用される。(1994:1433)

 

  共通規定(Gemensamma bestammelser)

  第9条 子の引き取りまたはその他の措置は、可能な限り子に対して寛大な方法で執り行わなければならない。

 子のために「社会福祉法」[Socialtjanstlagen (1980:620)]に規定されている連絡人(kontaktperson)がおかれている場合、その者に依存しなければならない。可能な限り小児科医師(barnlakare)、児童心理学者(barnpsykiater)および臨床心理学者(barnpsykolog)の協力を得なければならない。子が病気のため移動することができない場合、またはその他移動することができない事由が生じた場合、引き取りを延期しなければならない。(1983:485)

 第10条 本章に規定されている事件において、子がスウェーデン国内から連れ去られる危険がある場合、またはその他の緊急を要する場合、地方行政裁判所は直ちに適切な手段を命ずることができる。

 前項に規定されている決定を待つことができない場合、裁判が継続中であっても、警察署は、直ちに、子のために相当な手段を講じなければならない。その手段を講ずる場合、可能な限り医師、社会福祉事務所からの代理人、「社会福祉法」に規定されている子のための連絡人の出席を求めなければならない。必要な手段が講じられた場合、遅滞なくその措置を継続すべきか否か審理し、地方行政裁判所に通知しなければならない。(1983:485)

 第11条 地方行政裁判所は、本章に規定されている裁判において、子について医師の診断を受けることを命ずることができる。

 医師の診断を受ける場合、地方行政裁判所は、制裁金を付することができる。制裁金の賦課は地方行政裁判所において審理される。(1983:485)

 第12条 本章に規定されている事件に関し、そのことが全く不要とみなされる場合を除いて、地方行政裁判所は、口頭弁論(muntlig forhandling)を開くことができる。高等行政裁判所(kammarratten)、最高行政裁判所(regeringsratten)における口頭弁論には「行政訴訟手続法」[forvaltningsprocesslagen (1971:291)]第9条の規定が適用される。

 口頭弁論に際し、特別の事由がある場合で、且つ子に意見を聞くことが子に対して不利益を与えないことを明らかな場合、子の意見を聞くことができる。

 制裁金付きで裁判所に出頭を命じられている者が裁判所に出頭しなかった場合、裁判所は、直ちに、または他日、裁判所への出頭を命ずることができる。(1983:485)

 第13条 地方行政裁判所は、本章に規定される事件において、当事者の一方に対して、相当の費用の負担を命ずることができる。

 第2条第1項後段に規定されている任務を行うための費用、訴訟当事者の出頭費用、子の出頭費用および監護費用、医師の診断費用(for lakarundersokning)は、国によって負担する。裁判所は、相当とみなされる限度において、召喚された者の原因によって生じた召喚費用の一部、またはその全部を国に支払うことを命ずることができる。

 子の介護者は、第11条の規定によって医師の検査のために滞在した費用、旅費について相当の補償を請求することができる。その場合、「行政訴訟法」第15条の規定が適用される。(1983:485)

 第14条 制裁金、当事者の補償金、または国に対する支払いを目的としない決定については、地方行政裁判所(lansratten)は、直ちに、その効力を生じせしめることができる。(1983:485)

 第15条 本章に規定する子の引き渡しに関する決定は、事情の変更があった場合、またはその他に特別の事由が生じた場合、改めて審理される。(1983:485)

 第16条 本章の規定による行政高等裁判所の審理には参審員(namndeman)を参加させなければならない。(1983:485)

       

 参照 親子法第21章の適用に関する規則[Forordning (1967:715) om tillampning av 21 kap. foraldrabalken.

以  上 

各年度のバースベロップ一覧

(Basbelopp enligt lagen (1962:381) om allman forsakring fr.o.m.1970)

 年  月  金額(kr)    年  月   金額(kr)

1970 jan.-febr. 6,000    1981 jan.-febr. 16,100

  mars-juri. 6,300       mars-jmaj 16,700

   aug.-dec. 6,400       juni-dec. 17,300

1971 jan. 6,400    1982      17,800

    febr. 6,700    1983      19,400

  mars-nov. 6,900    1984      20,300

    dec.  7,100    1985      21,800

1972 jan.-juni 7,100    1986      23,300

   juli-dec. 7,300    1987      24,100  

1973  jan.  7,300    1988      25,800

   febr.-juli 7,600   1989      27,900

   aug.-dec. 7,900   1990      29,700

1974 jan.-mars 8,100   1991      32,200

  april-nov. 8,500   1992      33,700

     dec. 9,000   1993      34,400

1975 jan.-juni 9,000  1994      35,200

   juli-nov. 9,400   1995      35,700

   okt.-dec. 9,700  1996      36,200

1976 jan.-febr. 9,700

  mars-juni 10,000

   juli-nov. 10,400

    dec.  10,700

1977 jan.-mars 10,700

   apriljuni 11,100

   juli-aug. 11,500

   sept.-dec. 11,800

1978  jan.   11,800

   febr.-mars 12,200

   april-dec. 12,600

1979 jan.-maj 13,100

   juni-sept. 13,500

   okt.-dec. 13,900

1980 jan. 13,900

    febr.  14,400

   mars-juni 14,900

   juli-okt.  15,400

   nov.-dec. 16,100


 

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