「父性確定のための血液鑑定法」および「父性確定のための血液鑑定に関する規則」 

 

「父性確定のための血液鑑定法」

Lag (1958:642) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap.

 第1条 父子関係不存在確認に関する訴訟事件(mål om förklaring att en viss man inte är far)において、または父性の確定に関する訴訟事件(mål om fastställande av faderskap)において、当事者の一人から請求のあった場合、または裁判所において、その必要を認めた場合、裁判所は、特に重大な身体的苦痛を伴わないかぎり、血液鑑定(blodundersöknig)、遺伝特性(annan undersökning rörande ärftliga egensakaper)、その他の鑑定を命ずることができる。

 命令は、母、子および当該事件において父子関係不存在確認の宣告を求める訴えにおいて父でないという宣告を受けようとする者、婚姻中の夫、父子関係存在確認の宣告を求める訴えにおいては、確認の対象となっている者について行われる。子の懐胎可能な期間中に、子の父と指摘されている男以外の者が子の母と性的交渉があったと推定される場合、その命令は、その男に対しても行われる。

 命令が行われた前に、命令の対象となる者について意見を述べる機会を与えなければならない。(1985:369)

 第1a条 確認、または裁判所の判決によって父性が確定された後、裁判所は、確認が行われた後、または判決確定後、父と定められた男以外の者が、その子の懐胎可能な期間中、母と性的交渉のあったことが信じせしめられる場合、第1条に規定されている鑑定を命ずることができる。この命令は最初に父と指摘された者、母、子および確認の行われた後、または判決の確定後、子の父と指摘された者とする。

 父性が確認によって確定された場合、第1項に規定されている命令は、確認無効の訴えにおいて行うことができる。その場合、命令は、その裁判において、当事者となる者から請求できる。ある者が認知無効の訴えを提起しなかった場合、第1項の命令に関する問題は、「裁判所の事件処理に関する法律」[Lag (1946:807) om handläggning av domstolsärenden]の規定による事件として審理される。その場合、命令は、認知無効事件において当事者となり得る者からの請求に基づいて行われる。

 父性の確定が、裁判所の判決によって確定された場合、第1項の命令は、「裁判所事件処理法」における事件として処理される。その場合、命令は、その事件において当事者なる者から申し立てることができる。

 第1項に規定されている命令を発する前に、命令の対象となる者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。(1990:1500)

 第1b条 前条に規定されている裁判所の命令は、「裁判所事件処理法」に規定されている事件において、異議の申し立て手続きによって、異議の申し立てを行うことができる。鑑定結果が公表された後、または血液鑑定の必要がなくなった場合、その事件は抹消される。

 第1a条に規定されている事件(arende)は、子の住所地を管轄する裁判所において、子が死亡しているときは、子の遺産相続問題を管轄する裁判所において取り上げられる。相当裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。(inforts 1982:1060)

 第2条 裁判所は、第1条、または第1a条に規定されている命令の対象となる者に対して、制裁金付きで、権限のある専門家の鑑定書をもって、必要な血液鑑定が行われたこと、または遺伝特性に関する鑑定を受けたことを証する書面の提示を求めることができる。18歳未満の子については、子の監護権者に対して、そのことを命ずることができる。(1982:1060)

 第2a条 前条に規定する制裁金付き命令に従わなかった場合、裁判所は、新しく制裁金付き命令を発する代わりに、鑑定を行うため、警察署の協力(biträde av polismyndighet)を求めることができる。

 18歳未満の者の場合、特別の事由がある場合においてのみ、警察の協力を求めることができる。但し、そのことによって子が少なからざる損害をこうむるおそれある場合、その協力を許可してはならない。

 警察署の協力に対する費用が公費をもって支払われたとき、協力の対象となった者は、国に対して、その費用を返還しなければならない。18歳未満の者については、その返還義務は、子の監護権者によって負担される。(1982:1060)

 第3条 事件当事者からの要請によって、または裁判所の命令によって本法に規定されている血液鑑定に出頭した者が、その訴訟事件の当事者でない場合、その費用を事前に請求することができる。

 訴訟当事者の費用については、訴訟費用に関する規定が準用される。費用について、法律扶助を給付を受ける当事者にとっての法律扶助費用としてみなされるか否かは「法律扶助法」[Rättshjälpslagen (1975:320)]の規定にしたがう。(1973:125)

 第4条 、裁判所が、本法の規定によって血液鑑定を命じた場合、その鑑定が国、またはコミューンによって雇われている医師によって行われた場合、その費用(gottgorelse)および血液鑑定のための補償費用は、裁判所によってその費用が決定されている場合であっても、公費支出に関し規定されいる同じ方法で、証人に対して公費をもって支払われる。

 「補償費用の支払いに関する規則」[KK (1973:261) om utbetalning av vissa ersättningar)

 第5条 血液鑑定、またはその他の遺伝的特性の鑑定が、社会福祉委員会の要請によって、父性の検査のために行われた場合、委員会は、第4条に規定されている費用を負担しなければならない。(1976:620 OCH 1981:27)

 第6条 父性の確定に関する訴えが提起された場合、「訴訟法」第5条の規定によって支払われた補償費用を社会福祉委員会に返還する訴訟当事者の義務については、「訴訟法」第18章第13条の規定が準用される。(1976:620,198127)

 第7条 削除(1976:620)

   父性の決定に際しての血液鑑定に関する規則

   [Förordning (1969:624) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap.

 第1条 「父性確定のための血液鑑定に関する法律」[Lag (1958:642) om blodundersökning m.m. vid utredning av faderskap.]に規定されている血液鑑定は、法医学局内の法血清学研究所(statens rättsserologiska institut inom rättmedicinalverket)において行われる。それ以外の遺伝特性に関する鑑定は、法医学局によって承認されている専門医によって行われる。(1991:946)

 第2条 血液鑑定を命じた裁判所は、1週間以内に国立血清学研究所に対してその旨を通知しなければならない。福祉委員会から血液鑑定の要請を行われた場合、また同様である。

 裁判所の命令が血液鑑定以外の遺伝特性の検査を目的としている場合、法医学局に通知される。(1971:946)

 第3条 血液鑑定が裁判所の命令で行われた場合、鑑定結果は、裁判所に報告される。社会福祉委員会の要請によって行われた場合の鑑定結果は、当該福祉委員会に報告される。

 裁判所の命令によって行われた血液鑑定が不十分な場合、国立血清学研究所は、裁判所に対して、新しい血液鑑定の必要性の有無を通知しなければならない。血液鑑定が社会福祉委員会の要請に基づいて行われた場合、当該委員会に対して通知しなければならない。(F 1991:946)

 第4条 削除 (KK 1974:968)

 第5条 法律扶助を認められた者が、血液鑑定の費用および他人を血液鑑定を受けさせるため行かせるための費用を支払った場合、その費用は、その者からの請求にもとづいて、裁判所を通じて、公費からその補償費用の支払いを受けることができる。法律扶助の給付を受けなかった者、もしくは本人が裁判所の命令によって血液鑑定を受けるため、医師の許に出頭した場合、補償を受けることができる。(F 1979:955)

 第6条 「父性確定のための血液鑑定に関する法律」の執行に関し必要な細則は、法医学局によってこれを定める。(F 1991:21)

                         以  上

                                (菱木昭八朗訳)


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