動産の善意取得に関する法律

   (Lag (1986:796) om godtrosförvärv av lösöre)

  総 論

  第1条 本法の規定は、動産の善意取得について適用される。

  但し、本法以外の法律によって善意取得に関する別段の規定がある場合、本法の規定は適用されない。

  善意取得の要件

  第2条 ある者が所有権または正当な処分権も持っていない動産の占有者から取引を通じて動産を譲り受けた場合、譲受人においてその占有を取得し、且つ、善意であった場合、譲受人は当該動産に対する所有権を取得する。

  第3条 目的物の性質、取引の状態、その他諸般の事情からみて譲受人において譲渡人が当該動産に対する処分権を持っていないことを知り得べからざりし正当な事由が存在している場合においてのみ譲受人の善意は推定されるものとする。

  買戻し

第4条 他人の善意取得によって自己の財産に対する所有権を失った者は、対価を支払うことによって当該財産を取り戻すことができる。

  財産の買い戻しを行なおうとする者は、当該財産を所持している者を知ってから、または知り得べかりしてときから3ケ月以内に当該財産を所持している者に対して返還の請求を行なわなければならない。3ケ月以内に返還の請求を行なわなかった場合返還請求権は時効により消滅する。

 第5条 買戻し代金は善意取得者がその財産を取得するために要した費用及び改善のために要した費用と相等しきものとする。動産の所有者が贈与、相続、遺言、または財産分割分を通じて当該財産を取得している場合、買戻し代金は、贈与者または被相続人がその財産を取得するに際して要した費用もしくは改善に要した費用と相等しきものとする。但し、前段の規定は、贈与者または被相続人が買戻し権者に対して買戻し代金請求権を持っている場合にのみ適用されるものとする。

買戻し代金の決定に際しては貨幣価値の変動を考慮に入れなければならない。買戻し代金は、一般市場における当該目的物の最高価格とする。

 第6条 買戻し代金は財産の所有者に対して支払われるものとする。但し、ある者が自己の債権を確保するため、善意取得物の上に善意取得者の債権者に優先して弁済を求める権利をもっている場合、買い戻し権者はその債権に相当する対価を所有者の債権者に対して支払わなければならない

  その他の場合、ある者が善意取得物に対してその物の所有者の債権者に優先して弁済を受ける権利を持っている場合、買い戻し権者はその権利に相当する対価を権利者に対して支払わなければならない。

 質権の善意取得

  第7条 所有権の善意所得に関する本法の規定は質権の善意取得についても準用される。

  ある者が動産の質権について善意取得を行なった場合で、且つ、第4条の規定に基づいて別のある者がその動産の買い戻しを行なおうとする場合、買い戻しの価格は目的物の入質代金と相等しきものとする。但し、その額は当該財産の一般市場価格を超えない価格とする。

   本法は1987年1月1日よりこれを施行する。

   本法施行以前にある者が第三者の善意取得によって特定の財産に対する権利を失った場合で、且つ本法施行後その財産を買い戻しを行なおうとする場合、第4条に定められている期間計算は、本法施行の日から3ケ月とする。

                           以   上(菱木昭八朗訳)


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