スウェーデン妊娠中絶法(Abortlag)

 第1条 女から妊娠中絶手術の要請が行われたとき、妊娠期間が18週未満の場合で、且つ病気によって妊婦の生命、健康に重大な支障をもたらさない場合、妊娠中絶手術を行うことができる。(1995:660)。

 第2条 女が妊娠中絶を希望した場合、または第6条の規定によって妊娠中絶の問題が生じた場合、中絶手術を行う前にアドバイスを受けなければならない。(1995:660)

 第3条 妊娠期間が18週を超えている場合、女が社会庁の許可を得た後でな蹴れば妊娠中絶を行うことができない。妊娠期間が18週を超えた場合の妊娠中絶許可は、特別の事由がない限り、これを行うことができない。

 前項に規定されている許可は、胎児が生存の可能性のある場合、これを行うことができない。

 第4条 第1条に規定されている妊娠中絶の要求が拒否された場合、直ちに、社会庁に対して異議の申し立てを行うことができる。(1995:660)。

 第5条 妊娠中絶または第6条に規定されている妊娠中絶は、女がスウェーデン国籍を有している場合、またはスウェーデン国内に住所を有している場合、または社会庁から特別の許可を得た場合においてのみ、これを行うことができる。

 妊娠中絶または第6条に規定されている妊娠中絶手術は、医師免許を有している者でなければ、これを行うことができない。妊娠中絶手術は、国公立病院または社会庁の許可を得ている医療施設においてのみこれを行うことができる。(1995:660)

 第6条 病気または身体的障害によって妊娠を継続させることが母親の生命、健康に重大な支障をきたすおそれある場合、社会庁は、妊娠期間が18週を超えている場合であっても、妊娠中絶の許可を与えることができる。

 前項に規定されている病気、身体的障害によって、緊急に妊娠中絶を行う必要がある場合、医師免許を有する者は、社会庁の許可および第5条の規定に関係なく、妊娠中絶手術を行うことができる。(1995:660)

 第7条 第6条に規定されている妊娠中絶に関する社会庁の許可に対しては、異議の申し立てを行うことができない。(1995:660)

 第8条 中絶または第6条の規定による妊娠中絶を行った後、女はアドバイスを受けなければならない。妊娠中絶手術を行った病院、医療施設における妊娠中絶手術担当者は、女がアドバイスを受けることができるよう配慮しなければならない。(1995:660)

 第9条 医師免許を有しない者が、故意に、他人に対して妊娠中絶手術を行った場合、不法妊娠中絶罪(illegal abort)として、罰金または1年以下の懲役に処する。

 前項に規定する犯罪が重大な場合、6ヶ月以上、4年以下の懲役に処する。犯罪が重大であるか否かを判断する場合、その犯罪行為が繰り返し行われたか、営利を目的として行われたものであるか、女の生命、健康に対して特に危険な処置であったか否かを考慮しなければならない。

 妊娠中絶を不法に試みた者は、刑法第23章の規定によって処断される。

 第10条 医師が第4条の規定に違反し、第6条第2項に規定されている子と以外のことを行った場合、第3条、第5条の規定に違反した場合、罰金または6ヶ月以下の懲役に処する。

 本法の規定は1996年1月1日から施行する。 

                           以     上  (菱木昭八朗訳)


法令集目録に戻る   

(C)Copyright 1997 S.HISHIKI