スウエーデン相続法(未完)
第25章 死亡宣告(失踪宣告)
以 上
相続法(Ärvdabalken)
第 1条 死者の遺産は(arv)は、被相続人(arvl taren)が死亡したときに生存している者によってのみ相続される。胎児は、生きて生まれた場合においてのみ相続権をもつ。生存配偶者の財産分割権は、生存配偶者が死亡したとき考慮される。
第 2条 相続の開始後、相続人となる者が死亡した場合、その者が被相続人より後に死亡したことが証明されないかぎり、被相続人より先に死亡したものとみなされる。
第 3条 外国人は、相続に関して、スウェーデン国内において、スウェーデン人と同様に取り扱われる。但子し、外国人の本国法においてスウェーデン人が本国人と異なる取り扱いを受ける場合、政府は、その国の者についてはスウェーデン人と異なる取り扱いを命ずることができる。1987年法律第231号。
第1条 血族における第1順位相続人は、被相続人の子(br starvingar)とする。相続開始時に、被相続人の子が既に死亡している場合、死亡している者に代って、死亡している者の子が相続人となる。代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分とする。
第2条 被相続人に子(br starvingar)がいない場合被相続人の両親が相続人になる。
両親の一方が死亡している場合には、生存している父、または母と、被相続人の兄弟姉妹との間で、被相続人の遺産を平等に相続する。兄弟姉妹の一人が死亡している場合には、死亡している兄弟姉妹の子が、死亡している兄弟姉妹を代襲して被相続人を相続する。被相続人に兄弟姉妹がなく、父母いずれか一方だけが生存している場合には、生存している父または母が被相続人の遺産を相続する。
被相続人に父母を異にする兄弟姉妹がいる場合、その兄弟姉妹の相続分は、両親を同じくする兄弟姉妹、もしくはその子と共に、実親に帰属する相続分を平等に相続する。父母を同じくする兄弟姉妹も、両親もいない場合、被相続人の半血兄弟姉妹が、その遺産の全部を相続する。半血兄弟姉妹の子も、代襲相続権をもつ。
第 3条 被相続人の父母、兄弟姉妹、または兄弟姉妹の子がいない場合、被相続人の祖父母が死者の遺産を相続する。それぞれの相続分は平等とする。
被相続人の祖父母の一人が死亡している場合、死亡している祖父母の子が、死亡している祖父母に代って被相続人を相続する。死亡した祖父母の子がいない場合、父方の祖父母、もしくは母方の祖父母の一方が、そしてもし、その者が死亡している場合には、その子が死亡している祖父母の相続分にしたがって被相続人を相続する。被相続人が相続人を欠いている場合、他の一方の相続人が死者の財産を相続する。
第 4条 上に掲げた親族以外の者は相続人となることができない。
第 3章 夫婦の相続権ならびに先に死亡した配偶者の相続人の生存配偶者最の財産に対するに相続権について
第 1条 被相続人(arvl taren)が婚姻している場合、その遺産(kvarl tenskap)は生存配偶者(efterlevande maken)に帰属する。但し、被相続人に、生存配偶者以外の者との間に生まれた子がいる場合、生存配偶者の相続権は、その子が第9条の規定によって、相続権を相続を放棄した場合に限って、放棄された相続分の範囲内において、被相続人の財産を相続することができる。
生存配偶者は、常に、その遺産の範囲内において、財産分割によって(vid bodelning)生存配偶者の取得した財産、ならびに生存配偶者の特有財産(enskild egendom)の合算額が、被相続人死亡時の社会保険法(Lag 1962:381 om allm n f rs kring)に規定されているバースベロップの4倍に達しない場合、4倍に達するまでの不足額を死亡した配偶者の遺産から取得することができる。死亡した配偶者の遺言は本項に定められている生存配偶者の権利を侵害する場合、その遺言は、侵害の限度において無効となる。1987年法律第231号。
第 2条 生存配偶者が死亡したとき、先に死亡した配偶者の子、父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子が生存している場合、第3条ないし第5条、第6条第3項、第7条第3項の規定に反しないかぎり、先に死亡した配偶者の子、父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子は、その相続順位に従って、生存配偶者の財産の半分を相続する。生存配偶者は、先に死亡した配偶者の相続人に帰属した財産を遺言で処分することを得ない。
先に死亡した配偶者の第1順位相続人が、被相続人が死亡したとき、被相続人の財産の全部、もしくはその一部を相続している場合、その者の生存配偶者の財産に対する相続分は、既に相続している限度において減額される。
生存配偶者が、配偶者相続権に基づいて死亡した配偶者を相続したとき、生存配偶者の財産分割によって取得した財産と、配偶者相続権に基づいて取得した財産の比率が異なる場合、生存配偶者が死亡したとき、先に死亡した配偶者の後相続人は、その異なる比率をもって生存配偶者を相続することができる。1987年法律第231号。
第 3条 生存配偶者が、先に死亡した配偶者の後相続人に対する配慮なしに(utan tillb rlig h nsyn)、贈与、またはそれに類する行為によって、財産の少なからざる部分を減少せしめた場合、先に死亡した配偶者の後相続人は、生存配偶者が死亡したとき、死亡した生存配偶者の相続人に帰属すべき財産の中から、贈与によって被った損害の賠償を請求することができる。
損害の賠償が行なわれない場合、先に死亡した配偶者の後相続人は、受贈与者がその贈与によって、先に死亡した配偶者の後相続人が不利益を被ることを知り、もしくは知り宜べき場合、贈与財産、もしくは贈与財産に相当する価格の返還を求めることができる。但し、贈与財産の返還請求は、贈与が行なわれたときから5年以内に訴えをもってこれを行なうことを要する。
財産贈与を行なった生存配偶者が死亡したとき、未だその贈与が履行されていない場合、その贈与が、先に死亡した配偶者の後相続人の権利を侵害する限り、受贈者は、その履行を求めることができない。
第 4条 生存配偶者が死亡したとき、生存配偶者の所有する財産が、先に死亡した配偶者が死亡したときの財産より増加している場合、その増加が相続贈与、または遺贈によるものであることが明らかなとき、その増加分は、生存配偶者の相続人に帰属する。財産の増加が配偶者の死亡後の生存配偶者の働きによる場合、また同じ。
生存配偶者が第3条に定められている方法によって自己の財産の減少を計った場合、その減少分は、財産の増加分の算定に際して、被相続人の遺産に加算される。
第 5条 生存配偶者の死亡によって、遺産分割が行なわれるとき、それぞれの配偶者の相続人は、婚姻中、それぞれの配偶者が取得したに財産を、その相続分にしたがって取得する。そして生存配偶者の相続人は、先に死亡した配偶者が死亡した後に生存配偶者が取得した財産を取得する。不動産の価格が、相続分の価格を上回る場合であっても、他の一方の相続分満たす場合、取得することができる。
その他の場合にあっては、F rr ttningに関しては、財産分割に関する規定が準用される。
第 6条 生存配偶者が再婚した場合、生存配偶者が死亡したとき、財産分割に先立って、本章の規定によって、生存配偶者の婚姻財産ならびに特有財産が分割される。
生存配偶者の生存中、生存配偶者と再婚と相手方、または再婚の相手方の相続人との間で財産分割が行なわれる場合、財産分割に先立って、生存配偶者の婚姻財産、または特有財産の中から、第1条乃至第4条の規定によって、先に死亡した配偶者の後相続人に帰属すべき相続分を控除しておかなければならない。
相続、贈与、遺言によって生存配偶者が財産取得を行なった場合、再婚の結果、財産分割、または財産分与請求権に基づいて、再婚前に生存配偶者に帰属した財産を超えて、財産を取得した場合、第4条の規定が準用される。
第 7条 内縁関係にある生存配偶者が死亡したとき、内縁の相手方と生存配偶者の相続人との間で財産分割が行なわれる場合、財産分割に先立って、本章の規定にしたがって、死亡した生存配偶者の財産の清算が行なわれる。
生存配偶者の生存中、生存配偶者と内縁の配偶者、または内縁配偶者の相続人との間で財産分割が行なわれる場合、生存配偶者は、財産分割に先立って、本章第1条乃至第4条の規定によって先に死亡した配偶者の相続人に帰属すべき相続分を、自己の財産の中から、優先的に取得することができる。
生存配偶者が、相続、贈与、遺言によって財産取得を行なっているとき、内縁の配偶者との財産分割によって、それ以前にもっていた財産を超えて、生存配偶者が財産を取得した場合、第4条の規定が準用される。
本法に定められている内縁配偶者に関する規定は、婚姻類似の関係において生活をともにしている未婚の男女に適用される。1987年法律第231号、815号。
第 8条 生存配偶者が死亡した時、夫婦のいずれか一方にしか相続権者がいない場合、その者が財産のすべてを相続する。1987年法律第231号。
第 9条 先に死亡した配偶者が死亡した時に、その単独子が、生存配偶者のために、死者を相続する権利を放棄した場合、先に死亡した配偶者の単独子は、第2条の規定により、生存配偶者を相続することができる。1987年法律第231号。
第10条 被相続人死亡の時に、離婚訴訟が裁判所に係属している場合、本章の規定は適用されない。1987年法律第231号により改正。
第4章養子の相続権1971年法律第872号により削除
第 1条 上記規定によって相続人となる者がいない場合、相続基金財団(allmanna fonden)と呼ばれる基金財団に帰属する。
第2条乃至第4条の規定は、1969年法律第224号により削除
第 1条 相続人が生存中
第 8章 削除
第 9章 遺言
第 1条 失踪者の生死が10年以上、但し失踪者の年齢が75歳を越えている場合には5年以上分明ならざりし場合、失踪宣告の申し立てを行うことができる。失踪者が生死に関わる特別の危難に遭遇していると思われる場合、その期間は3年とする。失踪者が生死に関わる危難によって志望していると見なされる場合にはその期間は1年とする。(1981:359)
第 2条 失踪宣告の申し立ては、失踪者の配偶者、相続人、その他、失踪者と利害関係をもっている者によって行われる。失踪宣告の申し立ては、失踪者が行方不明になる前に最後に住所を有していた地域を管轄する地方裁判所に対して行う。相当する裁判所がない場合、ストックホルム地方裁判所が管轄裁判所となる。(1969:800)
(菱木昭八朗訳)
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