スウェーデン・養育費補助法

          [Lag(1996:1030)om underhållsstöd

                                  1996年10月31日公布

 総 則(Inledande bestämmelser)

 第 1条 本法の規定に基づいて、子に対して養育費補助(undehållsstöd)を支給する。

 第 2条 本法において扶養料支払い義務者(bidragsskyldig)とは、親子法第7章第2条第1項の規定によって、子に対して扶養料(underhållsbidrag)を支払うことによって扶養の義務(underhållsskyldighet)を履行すべき者のことをいう。

社会福祉委員会の許可(socialnämndens medgivande)を得て、自己の養子とすることを目的として外国人の子を継続して養育している者については、本法において子に対して監護権をもっている親(förälder som har vårdnad om ett barn)と同様に取り扱われる。

 養育費補助の支給要件

 (Förutsättningar för att underhållsstöd skall lämnas)

 第 3条 父母が別居している場合、または父母の一方が死亡している場合、子は養育費補助を受給する権利(rätt till underhållsstöd)を有する。子が養育費補助を受給しようとする場合、その他に、子が父母いずれか一方と継続して生活を共にし、且つ生活を共にしている親(同居親boföräldern)の許に住民登録を有し、また子が未成年者の場合には、子と生活を共にしている親がスウェーデン国内に居住し、且つ子の監護者(vårdnadshavare)となっていなければならない。

  子がスウェーデン国内に居住している一人または二人の特別監護者(särskilt förordnade vårdnadshavare)と生計を共にし、且つその者の許に住民登録を有している場合、または子がスウェーデン国内に居住している者と生計を共にし、且つ子が成年に達したときに、その者が子のために選任された特別監護者となっていた場合、子は養育費補助を受給することができる。特別監護者については、本法において子と同居している親(boföräldern)に対して適用される規定が準用される。但し、本法第4条、第5条の規定は適用されない。

  スウェーデン国籍を有しない子が養育費補助を受給しようとする場合、第1項、第2項に定められている条件の他に、子と同居している親または養育費補助を受給しようとする子が6ヶ月以上、スウェーデン国内に居住していることを要する。スウェーデン国外に居住している子については、本人および援助として養育費補助を受け取る者の国外滞在期間が6ヶ月を超えない場合、子はスウェーデン国内に居住しているものとみなされる。子と同居している親が公務として国外勤務を命じられ、国外に滞在している場合、子とその親は、国外勤務中、スウェーデン国内に居住しているものとみなされる。

 但し、別段の定めある場合、第3項に規定されている最低6ヶ月の国内滞在条項は適用されない。(参照旧児童扶養手当法第1条)

 第 4条 次に掲げる場合、子は養育費補助を受給することができない。

  1. 母が子の同居している場合で、且つその母が、明らかに(uppen barligen)、正当な理由なしに(utan giltigt skäl)、子の父性確定のための措置を講じず、また父性の確定に協力しなかった場合
  2. 扶養料の支払い義務者が、本法によって定められている養育費補助の最高限度額を超える扶養料を支払うことができる場合
  1. 扶養料の支払い義務者が、明らかに、別の方法によって子の扶養料を負担することができる場合
  2. 子と生計を共にしている親が、本法第31条第1項の規定により一定の行為を行うことを義務づけられているにもかかわらず、正当な理由なしに、請求された行為を行わず、また協力しなかった場合、
  3. 扶養料の支払い義務を負っている父または母が死亡した後、子が一般保険法(Lag (1962:381)om allmän försäkring)第8章第2条または第14章第2条の規定によって、遺児年金(rätt till barnpension)の支給を受けることができる場合 (参照旧児童扶養手当法第       2条)

 第 5条 子が父母と同一住所に住民登録を行っている場合、養育費補助の受給権者または援助として養育補助の支払いを受けることができる者((den som begär underhållsstöd eller som stöd betals ut till)から、別のことが示されない限り、父母は同一住所に居住しているものとみなされる。父母が婚姻している場合、異なる住所に住民登録をもっている場合であっても、養育費補助を請求する者または養育費補助を受け取る者から別のことが示されない限り、父母は同居しているものとみなされる。

  諸般の状況からみて、父母が同居していることみなされる事実がある場合、養育費補助の受給権者または援助として養育費補助の支払いを受ける者は、父母が同居していないことを証明しなければならない。

 第 6条 養育費補助は両親が別居した月、または養育費補助の受給権が発生した月から支給される。但し、申請月の前の月以上に遡って請求することができない。

  養育費補助は子が18歳に達した月、または養育費補助の受給権が消滅した日の前月まで支給される。(参照旧児童扶養手当法第3条)

 第 7条 子が18歳に達したとき、未だ就学中の場合、または子が19歳に達する前に復学した場合、子は延長された養育費補助を受給することができる。延長養育費補助は、延長児童年金法(Lag (1986:378) om förlängt barnbidrag)によって延長児童年金の受給が認められている学業を継続している場合、または奨学金法(Studiestödslagen (1973:349))第3章の規定によって奨学助成金を受給することのできる学業を継続している場合、延長養育費補助を受給することができる。但し、その権利は、子が20歳に達した年の6月をもって消滅する。8週より短い教育、または臨時研修は延長養育費補助の受給対象とならない。

  第4条に規定されている場合、子は延長養育費補助を受給することができない。第4条第1号、第4号に規定されている同居親について規定されていることは、生徒についても適用される。その生徒が婚姻した場合、延長養育費補助の受給権は消滅する。

  延長養育費補助は生徒が18歳に達した日の翌月、また復学した日の翌月から受給権の消滅するときまで支給される。但し、延長養育費補助の支給開始時期は延長養育費補助の受給申請の行われた月の前の月以上に遡ることができない。

 養育費補助の支給額(Underhållsstödets storlek)

 第 8条 子に対する養育費補助(underhållsstöd till ett barn)は、1人、1ヶ月、1、173クローネとする。扶養料支払い義務者(bidragsskyldig förälder)が、所定の方法をもって(i rätt ordning)、第24条乃至第28条の規定によって定められる最低限の扶養料を支払うことができるとみなされる相当の事由ある場合、その扶養料分は養育費補助から減額される。 

  子が両親の間を交互(växelvis)に生活の場としている場合、または養育費補助の受給申請者からそのことについての申請が行われた場合、養育費補助は、子と生計を共にしていない親の年収に第24条乃至第28条の規定が適用されるとき、第24条乃至第28条の規定によって算出された月額分を毎月の養育費補助1,173クローネから減額して支給する。

 子が一人または二人に特別監護者の許で生活している場合、または子が18歳に達したときに、18歳に達する前に、一人または二人の特別監護者の許で生活している場合、第1項の規定に定められている養育費補助の倍額が支給される。(参照旧児童扶養手当法第4条)

 第 9条 親子法の規定によって扶養料が一括払いの形で定められている場合、養育費補助からの減額は、月額扶養料相当額をもって行われる。

 扶養料支払い義務者(bidragskyldige)がスウェーデン国外に居住し、且つその者が所定の扶養料を支払うことができるとみなされる相当の事由ある場合、その分は、第8条第1項後段に規定されていることに代わって、養育費補助から控除される。

 第10条 子に第25条乃至第27条によって規定されている所得がある場合、所得の2分の1に相当する額が養育費補助から控除される。第26条第2項によって計算された控除額の代わりに、48、000クローネをもって控除額とする。

 第23条第2項の規定によって、扶養料の支払い義務者が、養育費補助の返済に際し、一定の金額の控除が認められた場合、それ以後の養育費補助は、控除分を減額して支給される。

 第11条 次に掲げる場合、その相当月には養育費補助は支給されない。

  1. 養育費受給権者が、正味、1ヶ月間、国の費用で保護施設に収容され、食事、住宅の提供を受けている場合
  2. 養育費受給権者が正味、1ヶ月間、機能障害者サービス法(Lag (1993:387) om stöd och service till vissa funktionshindrade.)によって、青少年に対して特別のサービスを提供するファミリホーム(familjehem)に居住している場合
  3. 養育費補助受給権者が、正味1ヶ月間、フアミリーホームまたは社会福祉施設に保護されている場合

 請求と決定(Ansökan och beslut)

 第12条 養育費補助(underhållsstöd)は、子と生計を共にしている親(boföräldern)からの社会保険事務所(den allmänna försäkringskassan)に対する書面による申請によって支給される。

 申請書には子の養育費補助の判断に必要な事項を記載し、記載されている事項が良心に基づき、誠実に記載されていること(pa heder och samvete)を保証しなければならない。もし、申請者自らが、その保証を行うことができない場合、記載事項に間違いのないことを保証する信頼できる二人の保証人によって確認されなければならない。

 第13条 養育費補助の受給申請書の提出が行われたとき、養育費支払い義務者の住所がわかっている場合、もしくは所在地を知ることができる場合、社会保険事務所は、直ちに養育費支払い義務者に対して、養育費補助申請のあったことを通知しなければならない。通知には、養育費補助受給申請に対して養育費支払い義務者が異議ある場合、または第21条に規定されている養育費補助返済額に対して、不服のある場合、書面または口頭で所定の期間内に、意見を述べることができる旨の注意書きを記載しておかなければならない。またその注意書には第3条、第4条、第8条、第10条および第21条乃至第28条の規定の内容を記載しておかなければならない。第21条の規定によって返済義務が問題になった場合、その旨の通知が行われる。(旧児童扶養手当法第14条、第7条参照)

 第14条 社会保険事務所が養育費補助の受給申請に対して決定を行った場合、社会保険事務所は、決定結果を書面によって受給申請者に通知しなければならない。養育費補助の支給が認められたとき、その通知には第18条および第20条に規定されていることを記載しておかなければならない。

 養育費補助の支給および返済義務の決定は養育費支払い義務者に対しても通知しなければならない。通知には本法第23条、第29条および第30条および親子法第7章第2a条に規定されている内容を記載しておかなければならない。

 第15条 養育費補助に関する問題が遅滞なしに決定できない場合で、且つ養育費補助を受給する権利があることが明らかな場合、養育費補助が子にとって明らかに重要な意味をもっているとき、社会保険事務所はその問題に対する最終決定がでるまでの間、相当と思われる限度において養育費補助の支給を決定することができる。

後日、養育費補助を支給すべきでないということが決定された場合、または第1項の規定によって決定された支給額よりも、低い額が決定された場合であっても、援助として養育費補助を受け取った者は、次に規定されている場合を除いて、既に受領している養育費補助を返還することを要しない。(旧児童扶養手当法第第5条第5項参照)

  1. 虚偽の資料を提供し、または資料の提供もしくは届け出義務を怠ることによって、もしくはその他の方法によって誤った支払いの原因を作ったとき、
  2. 養育費補助の受領者がその他の場合において、養育費補助の支払額に誤りのあることに気付いている場合または気付いて然るべき場合

 第2項に規定されている場合であっても、相当の事由ある場合、返済義務の全部またはその一部を免除することができる。

 支給(Utbetalning)

 第16条 養育費補助は、毎月、社会保険事務所から月初めに支給される。1人の子に支払われる金額が1ヶ月50クローネ以下の場合、養育費補助は支給されない。その他の場合、支給額に1クローネ未満の端額が生じた場合、1クローネ未満は1クローネとして計算される。

 養育費支払い義務者が、第14条の規定に規定されている返済義務についての決定通知を受ける前に、ある月の養育費の支払いを行っている場合、返済不足分は、その月の養育費補助によって清算される。

 養育費補助が養育費補助の支給を受けることのできる月の末日から6ヶ月以内に受け取らない場合、その養育費補助を受け取ることができない。(旧児童扶養手当法第8条第1項乃至第3項ならびに第5項参照)

 第17条 養育費補助は子と生計を共にしている親に対して支払われる。子の共同監護者として二人の監護者が選任されている場合、養育費補助は女性の監護者に支払われる。但し、監護者がそのことを希望する場合、男の監護者に支払われる。

 延長養育費補助は生徒本人に支払われる。

 相当な事由がある場合、養育費補助は、社会福祉委員会の提案に基づいて、子のために養育補助費を利用することのできる者または社会福祉委員会に対して支払われる。

 状況変更の報告義務(Anmälningsskyldighet)

 第18条 養育費補助の支払いを受ける者は、養育費補助の権利およびその額に影響を及ぼす事情について変動が生じた場合、その報告義務を負う。報告は養育費補助の支払いを受ける者が事情の変更を知ったときまたは事情変更があることを知ったとき、社会保険事務所に対して行う。(旧児童扶養手当法第12条参照)

 決定の変更

 第19条 養育費補助の支給をやめるべき事情が生じた場合、またはより低い額の養育費補助を支給すべき事情が生じた場合、社会保険事務所は養育費補助の支給を停止し、または支給額の減額を決定することができる。

 養育費補助の支給の停止または減額すべき相当の事由ある場合、社会保険事務所は、最終決定が行われるまでの間、一時的に養育費補助の支給停止および支給額の減額を決定することができる。

 返還請求(Återkrav)

 第20条 誤って養育費補助が支払われた場合、または法定額を超えて養育費補助が支払われた場合、社会保険事務所は、養育費補助を受給した者に対して不当に支払われた養育費補助の返還を命じなければならない。但し、特別の事由ある場合、社会保険事務所は返還請求の全部またはその一部を免除することができる。

 後日、社会保険事務所が養育費補助の返還義務者に対して、養育費補助、その他補償金の支払いを行う場合、社会保険事務所は、養育費補助の受給者に対して支払われる養育費補助から、第1項の規定によって社会保険事務所に返還されるべき額を控除して支給することができる。(旧児童手当法第13条参照)

 扶養料支払い義務者による養育費補助の返済義務

 (Återbetalningsskyldighet för den bidragsskyldige)

 第21条 養育費補助が子に対して支給され、且つ、扶養義務者がいる場合、扶養義務者は、子が受給した養育費補助の全部またはその一部を国に返済しなければならない。返済義務(aterbetalningsskyldigheten)は、養育費補助の支給決定と同時に、または養育費補助の決定が行われた後、可及的速やかに、第24条乃至第28条の規定によって、社会保険事務所によって確定される。

 第8条第1項後段または第8条第2項の規定が適用される場合、もしくは親子法の規定によって扶養義務が一括払いの形で確定されている場合、養育費補助の返済義務に関する決定は行われない。養育費負担義務者がスウェーデン国外に居住しているため、第31条の規定の適用が考慮される場合、返済義務を確定することを必要としない。

 社会保険事務所が第31条の規定によって子の養育費請求権を代位する場合で、返済義務は、第13条の規定によってその決定が養育費支払い義務者に送付された日から3年を遡ることができない。(旧児童扶養手当法第15条参照)

 第22条 第15条の規定によって社会保険事務所が最終決定がでるまでの間暫定的に養育費補助の決定を行った場合、扶養料支払い義務者の返済義務は、それに対応する期間とする。

 もし養育費補助が一人の子に支給された場合、子に対する父性の確定裁判が進行中の場合、子の父と指摘されている者が子の父とみなされる相当の事由がある場合、返済義務はその者に負わされる。但し、返済義務の決定は、その事件において複数の男が訴えられている場合には決定されない。第1項または第2項の規定によって同じ期間に支払われていた金額より低い金額に最終的返済義務が決定された場合、その差額は、扶養料支払い義務者に支払われる。最終的返済義務がより高い額に決定された場合、扶養料支払い義務者は、その差額を社会保険事務所に支払わなければならない。

 子の父とみなされた者に対して、返済義務が確定された後、その者が子の父でないことが認められた場合、父とみなされた者は、自己の支払った返済分と利息法[Rantelagen (1975:635)]第5条の規定に規定されている利息分の返還を求めることができる。

 第23条 第21条または第22条の規定によって、国に返済される養育費補助は、返済充当月のはじめに社会保険事務所に払い込まなければならない。養育費補助の返済額が決定される前に、子に対する養育費は支払われている場合、、社会保険事務所に払い込まれるべき返済分から控除される。

 養育費支払義務者が継続的に5日以上、自分の手許において面倒を見た場合、その者は、社会保険事務所が親子法第7章第4条第1項の扶養料について規定されているものによって彼の扶養義務の履行に際し控除を行うことができる。控除は滞在届けがその子供が養育費支払い義務者の許に滞在期間が終了した月の末日から3ヶ月以内に社会保険事務所に行われた場合においてのみその控除は認められる。(旧児童扶養手当法第16条参照)

 第24条 第21条に規定されている返済義務は、養育費補助を受給しているそれぞれの子について、毎年、一定の金額をもって決定される。その金額はは、第25条に規定されている返済義務者の年収に次に定めるパーセンテージを掛けて得られた額とする。パーセンテージの決定に際しては、扶養義務者が親子法第7章第1条の規定によって扶養料の支払い義務を負っている全部の子を考慮しなければならない。

 返済義務者が、親子法第7章第1条の規定によって1人、2人または3人の子に対して扶養料の支払い義務を負っている場合、そのパーセンテージは、10パーセント、6、25パーセントおよび5パーセントとする。扶養料を支払うべき子が3人を超え、4人以上の場合、そのパーセンテージは、15パーセントに3人を超える子の1人につき1パーセントを足した数を被扶養者の総数をもって除して得られた商の答えと同数とする。但し、求められる商の答えは、小数点以下2位までとする。

 1人の子のために返済される返済額は、その子に支給される一ヶ月の養育費補助の額を上回ることができない。

 子のために返済される1ヶ月の返済額に1クローネ以下の端数がでた場合、その端数は切り捨てられる。1人の子のために返済すべき1ヶ月の返済額が100クローネに満たない場合、返済義務は消滅する。

 第25条 第24条に規定されている扶養料支払い義務者の収入は、税法(lagen (1990:324) 第4章第2条の規定によって最後に決定された課税決定に従って計算される。

  1. 地方税法(Kommunalskattelagen (1928:370))第34条に規定されている給与所得
  2. 国税法(Lagen (1947:576) om statlig inkomstsskatt)第3条第1号に規定されている資産所得(inkomst av kapital)
  3. 第2項の規定によって調整された地方税法第25条の規定による事業所得med utgangspunkt i事業所得は、事業収入が控除を通じて減額された額をもって増加される
  1. 前の年度からのマイナス
  2. 社会保険法第1章第6条規定されている2分の1までの年金支出

  c)納税基礎控除(periodiseringsfond)へのavsättning

  d)設備準備積立金(expansionsmedel) periodiseringsfondへのavsättnigの控除課税へのaterforing

a)納税基礎控除引き当て分の控除課税に対する戻り、および

   b)設備準備積立金の減額をもって加算された事業所得額をもって減額される。

 第26条 第25条に規定されている額に

   1 海員税法(lagen (1958:295) om sjomansskatt)によって課税対象とされている給与、食費、宿舎代、

   2 学費補助(sudiebidrag)の形で支給される奨学金(studiemedel)

   3 養育費支払い義務者の800、000クローネを超える課税対象財産の分の1パーセントを付加する。

 以上の方法によって算された額は、24、000クローネをもって減額され、且つその後、返済義務の計算の基礎におかれた収入を構成する。

 第27条 既に返済義務が確定されている場合、第25条の所得計算の基礎として、返済義務が帰属する当該月の前にある課税決定がおかれる。

 第28条 扶養料支払い義務者が前条の規定によって計算された所得に対応する額を著しく超過する所得を取得する稼働能力をもっているということが明らかで、且つその者がその稼働能力が利用されないという納得できる理由を示さない場合、第25条乃至第27条の規定に関係なく返済義務は、相当性の判断(en skalighetsbedomning)をもって決定される。

 第29条 社会保険事務所は、扶養料支払い義務者が養育費補助の返済義務を履行しない場合、未納返済分について、遅滞なく強制徴収措置を講じなければならない。(参照旧児童扶養手当法第17条)

 第30条 第24条乃至第28条の規定によって確定された返済義務は、新年度の課税率が新しく決定された場合、および第24条に規定されている適用パーセンテージの基礎に改訂が行われた場合、再審理される。

 一定期間の返済義務は、扶養料支払い義務者の申請によって、もしくは社会保険事務所の判断の基礎におかれている課税決定が著しく変更された場合、社会保険事務所の発議によって改訂される。返済義務が前の決定によって扶養料支払い義務者が支払うべき低い額が定められている場合、その差額および差額に帰属する支払われた利息は扶養料支払い義務者に返還される。返済義務が前に決定された額よりも高く定められている場合、扶養料支払い義務者はその差額を社会保険事務所に返還しなければならない。

 扶養料支払い義務者がスウェーデン国外に居住している場合、返済義務に関する決定の全部または一部を取り消すことができる。

 第31条 扶養料支払い義務者がスウェーデン国外に居住し、且つ扶養料の支払額が確定されている場合、社会保険事務所は、子に支給されている養育費補助の範囲において、扶養料支払い義務者に対して子が有している扶養料請求権を代位行使することができる。扶養料が確定されていない場合、社会保険事務所は、子と生計を共にしている親に対して扶養料確定の措置を講ずることを請求し、または社会保険事務所の扶養料確定措置に協力することを要請することができる。社会保険事務所から請求が行われた場合、子と生計を共にしている親は、社会保険事務所に対して、強制徴収の基礎となるべき確定された扶養料に関する書面を提出しなければならない。子が18歳に達している場合、子と同居している親について規定されている本項の規定は子に対して適用される。

 前項に規定されている場合に、第23条、第29条および第32条乃至第35条、第37条第3項の規定が適用される。返済義務について述べられていることは、確定された扶養料を社会保険事務所に支払うべき義務について適用される。但し、社会保険事務所への支払いは扶養料の支払期日が到来していることが必要である。

 社会保険事務所は、子に代わって子の訴訟を提起する者に対して、本条の規定によって社会保険事務所がもっている支払請求と関連して、養育費補助を超える未払い扶養料の一部を請求すべき機会を与えなければならない。

 返済義務の猶予(Andtand)

 第32条 扶養料支払い義務者から、返済すべき養育費補助の返済義務猶予の申し立てが行われた場合、社会保険事務所は返済すべき養育費補助の全部またはその一部について返済義務を猶予することができる。返済義務の猶予は、返済義務者が自己および自己の家族の生計を維持するに必要とする財産を確保するために必要とみなされる限度においてこれを許可することができる。返済義務の猶予を認める場合、強制執行法(utsokningsbalken)第7章第4条および第5条の留保額に関する規定(bestammelserna om forbehallsbelopp)が適用される。また扶養料支払い義務者の個人的または経済的事情もしくはその他特別の事情から見て、そのことが相当と認められ場合、社会保険事務所は返済義務の猶予を認めることができる。

 第33条 返済義務の猶予期間は最高1年とする。

 返済義務猶予の対象となっている返済義務は、後で支払われる返済分に先だって返済しなければならない。扶養料の支払い義務者は、返済義務の猶予期間経過後後、扶養料支払い義務者の収入額に第24条乃至第28条の規定が適用される場合、返済義務猶予に基づいて、ある月について、確定された返済分、もしくは確定されるべき返済分の月額よりも多く社会保険事務所に払い込むことを要しない。返済額が返済義務猶予の額を超える場合、その超過額については、別に改めて返済義務の猶予を求めなければならない。

 第34条 社会保険事務所は、事情の変更によって返済義務猶予の全部またはその一部を取り消しまたは変更する必要が生じた場合、返済義務猶予を取り消しまたは変更しなければならない。返済義務猶予を認められている者は、返済義務猶予の事由となっている事情について変動が生じた場合、社会保険事務所に対して変動状況を報告しなければならない。

 債務免除(Eftergifti)

 第35条 社会保険事務所は、扶養料支払い義務者の個人的、または経済的事情から見て(med hansyn till den bidragsskyldiges personliga eller ekonomiska forhallanden)、相当と見なされる事由(synnerliga skal)がある場合、本人からの申請に基づいて、返済義務および延滞金の全部またはその一部の返済を免除することができる。

 利息(Ranta)

 第36条 養育費支払い義務者が所定に期日以内に定められた返済金を支払わない場合、もしくは返済期日の延期を認められている場合を除いて、所定の期日以内に返済義務を履行しなかった場合、社会保険事務所は、養育費支払い義務者に対して、未払い債務に対して、延滞金を課することができる。遅延期間が短い場合、社会保険事務所は延滞金を請求する必要がない。毎年、政府は、翌年度の利息を決定する。

 扶養料の支払い義務者から払い込まれた返済金は、まず第一に遅延利息を控除したのち、その残額を元本の返済分に充当する。

 管轄社会保険事務所(Behorig forsakringskassa)

 第37条 本法に規定されている養育費補助の支給に関する問題(Ett arende om stod enligt denna lag)は、社会保険法(Lagen (1962:381) om allman forsakring)第4章に規定されている返還条件が充足されている場合、子と同居する親が登録されている、もしくは登録されるべき社会保険事務所(den allmanna forsakringskassa)によって審査される。

 前項に規定されている相当管轄社会保険事務所がない場合、もしくは子が18歳に達している場合、問題は子の登録が行われている、もしくは登録されるべき社会保険事務所において審査される。指摘された返還条件が満たされている場合、返済義務および第10条第2項に規定されている養育費補助の引き下げは、社会保険事務所において審査される。

 第10条第2項の規定による返済義務および養育費補助の減額の問題は、扶養料支払い義務者の登録が行われている、もしくは登録されるべき社会保険事務所において審査される。社会保険法第1章第4条に規定されている年齢条件が満たされたとき、扶養料支払い義務者が登録されていない場合、所定の条件の下で扶養料支払い義務者が社会保険事務所に登録されていない場合、ストックホルム県の社会保険事務所(Stockholms lans allmanna forsakringskassa)によって問題の審査が行われる。(旧児童扶養手当法第5条参照)

 異議の申し立て(Överklagande)

 第38条 本法による決定は、決定に別段の定めがある場合を除いて、決定と当時に、即時その効力を生ずる。

 社会保険法第20章第10条乃至第13条に規定されている再審(omprövning av en försäkrinigskassa)に関する規定および社会保険事務所の決定の変更(ändring av en försäkringskassas beslut)および社会保険事務所の決定に対する異議の申し立て(överklagande av försäkringskassa)は、本法に規定されている決定についても適用される。

 社会保険事務所において、社会保険委員会(socialförsäkringsnämnden)第35条の規定によって債務免除事件を審理する。誤って支払われた額が社会保険法第1章第6条に定められているバースベロップの10パーセントを超えている場合、第20条に規定されている返還請求事件の再審査の場合にも適用される。(旧児童扶養手当法第22条参照)

 その他の規定(Övrigt)

 第39条 養育費補助受給権(rätten till underhållsstöd)は、これを譲渡または強制執行の対象とすることができない。(参照旧児童扶養手当法第14条)

 第40条 本法に規定されている決定通知については、公示催告に関する法律(delgivningslagen (1970:428)第15条の規定は適用されない第13条の規定されている通知は、扶養料支払い義務者が受領拒絶(avvikit)またはその他の方法をもって通知の受け取りを拒否した(haller sig undan)とみなされる理由がある場合においてのみ、公示催告に関する法律第12条の規定によって通知が行われる。(旧児童扶養手当法第19条参照)

 第41条 返済義務と延滞金に関する決定は、強制執行法(utsökningsbalken)の規定によって実現される。

 第42条 社会保険法に規定されている社会保険局の社会保険事務所の監督に関する規定は、本法に規定されている社会保険事務所の養育費補助業務についても適用される。

 社会保険法の給付(förmåner)、社会福祉法に規定されている給付と援助の統合に関する社会保険法第17章第1条、第20条第9条に規定されている政府、コミューンの資料義務(uppgiftsskyldihget för statliga och kommunala myndigheter)、使用者(arbetsgivare)および社会保険機関(försäkringsinrättnigar)に関して定められている規定は、本法に規定されている事件についても適用される。(参照旧児童扶養手当法第第21条第1項、第21条第2項、第22条第1項および第9条第4項)

 第43条 政府(Regeringen)は、

  1. 本法の拡大適用について、他の国と協定を締結し、且つ
  2. 子が如何なる国の国籍をも有していない場合、または政治亡命者(politisk flyting)の場合、養育費補助の問題に関して、スウェーデン国籍を有する者と同様の権利を有することを定めることができる。

                  (旧児童扶養手当法第24条参照)

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 1 この法律は1996年12月1日から施行し、1997年1月31日以降の養育費補助および返済義務に関する問題から適用される。

 2 この法律をもって児童扶養手当法(lagen (1964:143) om bidragsförskott)および学校生徒のための延長児童扶養手当法(Lag 1984:1095) om förlängt bidragsförskott för studerande)および養子に対する特別補助法(Lagen (1984:1096) om särskilt bidrag till vissa adoptivbarn)は廃止される。廃止された法律によって支給されている児童扶養手当および補助は、1997年2月1日まで支給される。

 3 廃止された上記法律によって支給されている児童扶養手当および補助については継続して廃止された法律が適用される。

 4 廃止された上記法律によって1997年1月分として受給した児童扶養手当、補助を受給した者は、別に法律に特別の規定がない限り、新しい法律によって養育費補助受給権を取得したものとみなされる。但し、社会保険事務所において別段の決定を行っている場合にはその限りでない。養育費支払い義務者の返済義務に関する決定は、新しい法律によって決定されたものとみなされる。

 5 新しい法律によって行われた返済決定によって返済を命じられた金額は、養育費補助法第36条第2項に控除が法定利息(uppluen ränta)のために行われた後、廃止された法律によって生じた債権の上で控除される。

                             以  上

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