第9章 財産分与に関する一般規定

(9 Kap. Allmänna bestämmelser om bodelning)

 

 第1条 婚姻が解消されたとき、その夫婦の財産は財産分与(bodelning)(註4)の手続きにしたがって清算される。但し、夫婦の財産が特有財産だけで、且つ配偶者の一方から、他の一方に対して住居または家財道具の引渡し請求が行なわれなかった場合、財産分与を行うことを要しない。

 夫婦間に合意が調ったとき、夫婦は、婚姻中、離婚に関係なく書面をもって裁判所に届け出た後、財産分与の手続きにしたがって、財産関係を清算することができる。地方裁判所は、婚姻中の財産分与の届出を受理したとき、その旨を記録に留めておかなければならない。

 

 第2条 財産分与は離婚の訴えによって開始する。配偶者の死亡によって婚姻が解消された場合、離婚訴訟が裁判所に係属している場合を除いて、財産分与は配偶者の死亡と同時に開始する。

 離婚に関係なく財産分与が行われる場合、財産分与は第1条第2項の規定によって財産分与の届出が行なわれた日をもって開始する。

 

 第3条 財産分与が行われるまでに夫婦は、自己の財産と他人の財産の別を明確にしなければならない。夫婦は財産分与に必要な資料を提供しなければならない。

 

 第4条 離婚によって財産分与が行なわれる場合、財産分与は婚姻が解消されたときに行われる。但し、離婚訴訟係属中に離婚当事者の一方から財産分与の請求があった場合、直ちに財産分与を行なわなければならない。

 

 第5条 財産分与は夫婦共同してこれを行わなければならない。財産分与が行われたとき、夫婦はそれぞれの署名のある財産分与証書を作成しなければならない。配偶者の一方が死亡している場合、財産分与は生存配偶者と死亡した配偶者の相続人及び包括的受遺者との間で行われる。相続人及び包括的受遺者については、特に別段の定めがない限り、配偶者に関する規定が準用される。

 

 第6条 共同相続人の一人から反対の意思表示があった場合、死亡配偶者の知れたる債務の弁済が行なわれるまで、または弁済に充当される財産が特別の管理に置かれるか、もしくは共同相続人の間でその債務について責任を負わない旨の協議が調うまでは、生存配偶者と相続人及び包括的受遺者との間で財産分与を行うことができない。

 但し、死亡配偶者の財産が破産宣告を受けた場合、共同相続人からの反対の意思表示に関係なく、財産分与を行うことができる。

 

 第7条 離婚の訴えが提起された場合、必要な範囲内において夫婦の所有する財産に関して財産目録を作成しなければならない。必要ある場合、財産目録の作成に際して、財産分与人を選任することができる。

 

 第8条 離婚の訴えが提起された場合、離婚当事者の一方の利益を保護する必要があると認められるとき、裁判所は、その者からの請求に基づいて、他の一方の財産の全部またはその一部を特別の管理に置くことができる。但し、他の一方が相当の担保を供して、反対の意思表示を行った場合にはその限りでない。

 特別管理決定は、財産分与が完成されるまでは、または離婚問題が第5章第3条の規定によって却下もしくは取り下げられるまでは、その効力を有する。

 

 第9条 財産分与が行われる場合でも、債権者は債務配偶者の財産を差押えることができる。債務配偶者の財産が特別の管理に置かれている場合であっても、他の一方の配偶者がその債務に対して責任を負っている場合、または差押え債権が当該財産に対して優先的に弁済を受ける権利を内容としている場合、債権者はその財産を差押えることができる。

 

 第10条 財産分与が完成される前に配偶者の一方が破産宣告を受けた場合、または配偶者の破産を理由として財産分与が行なわれた場合、破産配偶者の婚姻財産は、財産分与によってその者に帰属すべき財産が確定されるまで破産財団によって管理される。破産財団は、必要に応じてその財産を処分することができる。

 本章第8条に定める特別の管理に関する決定は、破産によってその効力を失う。

 

 第11条 離婚訴訟中、離婚当事者の一方が死亡した場合、離婚による財産分与に関する規定が準用される。

 

 第12条 本法において離婚訴訟中とは、離婚の訴えが提起されてから離婚判決が確定するまでの期間のことを、そして裁判所が離婚の訴えを却下または抹消する場合には、その却下決定が確定するまでのことを、更にまた第5章第3条の規定によって離婚問題が消滅するまでのことをいう。

 

 第13条 離婚が目前に迫っている場合、夫婦は、将来の財産分与または将来の財産分与に関連する契約を締結することができる。上記契約は、夫婦の署名ある書面によってこれを締結しなければならない。

 上記の場合以外に締結された契約は、夫婦財産契約の場合を除いて、すべて無効とする。

以   上

 

第10章に移る。                目次に戻る