■歴史を学ぶとは?

 歴史を学ぶとは、現代を考えること、人間を考えること、そして、未知のものへの理解を深めることです。歴史を学ぶことは、過去の出来事をただ暗記することではありません。歴史を学ぶことは、「今」という時空と無関係ではありません。世界がどちらに向かって動いているのかわかりにくくなっている今日、歴史を学びながら、未来の社会を考えましょう。過去を掘り起こし、現在に生かすこともできます。歴史とは現代を考えるうえで貴重な引き出しなのです。そうした意味で、歴史学は実践の学問です。

 外国語を勉強するのが好きだという人も、歴史を学ぶ情熱を育むことによって、さらに豊かな好奇心と感性を身につけることができるでしょう。外国の歴史を学ぶことは、未知の国や人々の文化・社会を知る喜びと、より広い視野から日本の歴史を相対化して見ることに繋がります。歴史学は、視野を広くする学問です。

 さらに、過去という異文化と、そこに生きた人々(他者)を理解するなかで、その楽しさとむずかしさを実感することができます。私たちは他者を知って、自己を知るのです。その意味で、歴史学は今の「私」を映す鏡にもなります。

 さあ、歴史を学びましょう。人類が過去に蓄積してきた英知を明らかにすること、過去の事実を掘り起こし、過去を読み取り、「過去と現在の対話」を実践すること、つまり、歴史を学ぶことによって、現代社会を生きぬく「智慧」を見つけることが今、求められているのです。


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