■カリキュラムの特色

 21世紀の大学は、国際化・情報化社会の進展に相応しい教育システムの構築が要求されており、歴史学研究の深化に伴う細分化された専門科目を配当することで対応してきたこれまでの教育システムは再検討を余儀なくされています。
 歴史学科では、この点に考慮し、歴史学研究の深化に伴う専門教育をより徹底させるために積み上げ型のカリキュラムをとっています。
 他方、歴史学科は、こうしたカリキュラムをとることで、大学が狭い専門知識と技術の習得の場に堕すことを避けるために、それぞれの授業を通じて断片的に修得された専門知識を、学生自らが総合し、国際化・情報化社会に対応できる「知」の習得の場として機能できるカリキュラムを用意しております。
 歴史学科のカリキュラムは、日本史・アジア史・欧米史および考古学からなり、次のような特色をもっています。


  1. 歴史学(含む考古学)の基礎教育をふまえて、専門性と総合性を調和させたカリキュラムです。
  2. 少人数のゼミナール中心のカリキュラムです。
  3. 歴史学(含む考古学)固有の方法と技術だけでなく、考え方や方法の修得を重視したゼミナール・実習を多様に配したカリキュラムです。

■歴史学科の専門科目


1 必修科目
 必修科目は、学科の学生が必ず履修しなければならない科目です。歴史学科では、学生の科目履修の選択の幅を広くするために、必修科目は、わずか3科目を指定しているのみです。

 「専修大学入門ゼミナール(前期)、「専門入門ゼミナール(後期)」は、1年次の学生を対象にしており、これから歴史学を学ぶ人への誘いの性格をもつ科目です。ここでは、入学してから4年間に接する多様なゼミナールで要求される「調べ」の方法を学びながら、「まとめ・報告する」こと、「討論すること」の重要性を学びます。

 「ゼミナール I」・「ゼミナール II」・「ゼミナール III」は、それぞれ2年次・3年次・4年次を対象としています。この科目こそ、歴史学科の中軸となる科目です。学生は、考古学・日本古代史・日本中世史・日本近世史・日本近現代史、アジア前近代史・アジア近現代史・南(西南)アジア史、ヨーロッパ前近代史・ヨーロッパ近現代史・アメリカ史の14のゼミナールから選択します。考古学・日本史・アジア史・欧米史の時代と地域を異にする教員が指導するゼミナールでは、2年次は選択したゼミナールの地域と時代の基礎を史資料や論文の解読を通じて学びます。3年次は各ゼミナールの年間テーマを推進させる主力としての活動が期待されています。同時に、基礎的な力を発展させ、この1年を通じて自らの研究課題を発見し、課題解明のために必要な「もの」を探す1年でもあります。4年次は、各ゼミナールの年間テーマを推進させるいまひとつの主力としての役割を果たしつつ、自ら設定した研究課題を卒業論文としてまとめあげる1年でもあります。

 「卒業論文」は、大学で学んだ4年間の集大成ともいえるもので、4年次に自らが立てた研究課題を、史資料・関連論文の収集とその批判的検討を通じて「論文」として完成させるものです。

2 選択必修科目
「日本史概説」・「アジア史概説」・「欧米史概説」は、1・2年次を対象とした講義形式の課目であり、各領域の基本的な問題を学び考えていく科目であります。これらの科目は、1・2年次までに必ず2科目を選択し履修しなければなりません。

「歴史資料研究法」は、主として2年次を対象とした科目です。この科目は、外国語・古文書など、前期・後期で20科目開講され、少なくとも2科目ないし4科目を選択履修しなければなりません。「歴史資料研究法」では、それぞれコリア語・中国語・ヒンディー語・英語・フランス語・ドイツ語などの一次文献の解読、ならびに考古学を通して、歴史学研究に必要な基本的能力を鍛えることを目的としています。

3 選択科目
 「総合世界史」は、1・2年次を対象とした講義形式の科目です。方法論や特定のテーマについて学び、歴史の多様な見方を身につけ、考える手がかりをつかむことを目的としています。オムニバス形式をとる総合世界史1・2では、14人の専任教員が1コマずつ講義を担当します。

 「日本文化史」・「アジア文化史」・「欧米文化史」は、それぞれの地域が生んだ文化をテーマを絞って講義するものです。「日本の宗教と社会」も開かれています。

 「古文書学概論」・「考古学概論」・「外国考古学」は、1・2年次を対象とした講義形式の科目で、それぞれの学の基本を学びます。

 「古文書実習」・「考古学実習」は、2・3・4年次を対象とした実習形式の科目で、生の近世古文書の取り扱い方法・解読や考古学調査に必要な基本的な技術を学びます。なお、「考古学実習」の学生は夏季休暇中に発掘調査に参加し、実際の現場でさらに技術と方法を練磨することができるようになっています。皆さんが、それぞれの実習を熱心に履修すれば、相当の力量がついているはずです。

 これ以外にも各教員が前期・後期にその専門分野を講義する科目があります。この中には、「イスラーム史」・「ジェンダー史」というテーマを扱う講義も開講されています。


■学部のカリキュラム

下の歴史学専攻開設の科目以外にも、文学部の他学科・他専攻の科目を学ぶことも可能です。
科目名 期間 配当年次 区分
 総合世界史1・2(オムニバス形式) 前期・後期 1・2 選択
 総合世界史3・4(平和と戦争) 前期・後期 1・2 選択
 日本文化史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 アジア文化史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 欧米文化史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 古文書学概論1・2 前期・後期 1・2 選択
 考古学概論1・2 前期・後期 1・2 選択
 考古学実習1 通年 2・3 選択
 考古学実習2 通年 3・4 選択
 古文書学実習 通年 2・3 選択
 古墳から見た国家形成1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 日本古代の国家と社会1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 日本古代の国家と宗教1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 日本中世の法と政治1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 日本近世の政治と社会1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 生きることの日本近代史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 日本近代の政治と社会1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 東アジア考古学1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 中国古代の国家と家族1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 東アジア関係論1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 南アジア関係論1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 ヨーロッパの国家と民衆1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 近代ヨーロッパの社会と政治1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 アメリカの人種と政治1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 世界史講義1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 世界史講義3・4 前期・後期 2・3・4 選択
 世界史講義5・6 前期・後期 2・3・4 選択
 世界史講義7・8 前期・後期 2・3・4 選択
 日本の宗教と社会 前期・後期 2・3・4 選択
 イスラーム史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 ジェンダー史1・2 前期・後期 2・3・4 選択
 専修大学入門ゼミナール 前期 1 必修
 専門入門ゼミナール 後期 1 必修
 ゼミナール1 通年 2 必修
 ゼミナール2 通年 3 必修
 ゼミナール3 通年 4 必修
 卒業論文 通年 4 必修


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