田邉 祐司
TANABE Yuji
専門分野
★応用言語学,英語教育学
この中でも,日本人学習者が「音声英語としての英語」とどう向かい合うべきか,どうすればその習得は容易になるのか,そのための指導法とは,などが最大の関心事です。
もう少し具体的に述べますと,まずは日本人にとって英語学習の鬼門ともいうべき英語発音習得・指導・E研究。このテーマと出会って,早20年。多くの方々の協力と励ましをえて,発音指導・習得のための新たな視点を実証的に導くことができ,先般,それを学位論文としてとりまとめました。もちろん,まだまだ未解明なことだらけなので,まだまだ研究は続きます。
音声研究の延長線が音声面を中心とした日本英語教育史です。江戸末期から現在までに出版された音声学習書,教科書,辞書,人物史,学校史,などを収集し,それらを分析しながら,日本人の英語音声への「あこがれの軌跡」を追いかけています。歴史から浮かび上がることを現在に役立てたいとの思いからです。これも近々,中間報告的なものを公刊する予定です。
今一つは,日英通訳者養成法を応用した英語・異文化トレーニングです。適切な呼称がないので,これを「応用通訳法」と呼んでいますが,英語学習のみならず,日本語・日本文化,さらには異文化への意識を高めるにも,大変に役立つ手法です。事実,教え子の中にはすでにプロ通訳者になっている人もいます(完全に抜かれてしまいました!)。
この他に専門とは呼べませんが,いろいろな仕事の関係から,和文英訳,英作文も興味があります。これは別のところでも書きましたが,専門誌の『英語教育』(大修館書店)「和文英訳演習室」の連載(偶数月)を担当するようになって,必然的に芽生えたテーマです。なお,この連載は3年目に突入しました。
文部科学省の関係から,英語教員研修にも手を染めるようになり,教師教育や教員研修(teacher development)などの領域も必然的に攻めるようになりました。教員研修は主に夏期休暇時を中心に,一日平均5〜6時間の講義やワークショップを3,4日連続で行います。お陰様で全国各地の先生方とふれあえる喜びがあります。
今ひとつ。中学校検定教科書の編集にかかわり,そのお陰で中学生が素朴に思う一般的な疑問や,教材論,教授法なども勉強させていただく機会が増えました。 このように英語の音声学習・指導,英語コミュニケーションを通して,生きた英語にかかわることをもっぱらの生業としています。
主な業績
- ・『英語音声学活用事典』(共著)(2004) 日本英語・ケ声学会.
- ・「発音指導のbefore after」(2005)『IRICE PLAZA』第15号 IRICE英語教育学会,9-18.
- ・A Study of the Interaction- and Discovery-based Approach to Teaching English Pronunciation (2005) 学位論文.
- ・専修大学研究者情報データベース(研究業績一覧付)
担当科目
- ●2011年度担当科目(学部のみ)
- ・Special English 1,2(1年)
- ・通訳入門 I,II(2年)
- ・英語科教育論 II(3年)
- ・応用言語学特殊講義 1,2(3,4年)
- ・ゼミナール I,II(3年)
- ・ゼミナール III,IV(4年)
- ●2010年度担当科目(学部のみ)
- ・Special English 1,2(1年)
- ・Composition 1,2(1年)
- ・通訳入門 I,II(2年)
- ・英語科教育論 II(3年)
- ・ゼミナール I,II(3年)
- ・ゼミナール III,IV(4年)
教員からのメッセージ
英語ということばを「実用」,「受験」という具合に分けてとらえていませんか?これを「機能分化」と呼びます。そのときそのときの目的に応じて学ぶ対象を分化すること自体,健全であり,まちがってはいませんが,学習の初期の段階に固定的な視点でのぞむと,そのアプローチを後々までひきずってしまうことがあります。あまりにも分化しすぎると大きな森は見えなくなる危険性すらあります。英語はあくまでひとつの単体です。それとどのように向かい合うか,活かすかどうかはそれぞれの人生目標に応じて決まるものです。その英語に対する関わり方を,そのさじ加減を早めに決めてくださいね。語学学習の成否を決めるのは, そういうあなたの心持ちでしょう。本学はそのような多様なニーズに応じるべくスタッフ,カリキュラム,よい出会いがありますように。
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