鳥毛立女屏風下貼文書（東野治之「鳥毛立女屏風下貼文書の研究＊1」所載「鳥毛立女屏風下貼文書釈文」）
１
金 蘇芳 小鏡
合三種
直物 綿六百十斤
天平勝寶四年六月十五日知家事資人大初位上栗前首□[□
（続修後集43・大古25－44）
２
合壹拾陸種
倂風「一」具 鏡「二」面〈「一」七寸已上 「一」五寸已上〉 金鋺「二」具 麝香「一」齋
朱沙 香爐「二」具 密拔 呵莉勒
薫陸 衣香 丁字 枕香
桂心 青木木 人參 蘇芳
價綿壹伯捌[ ]□此中黑綿貳拾斤
天平勝寶四年六月十五日右大舎人大初位上中臣伊勢連老人
（尊・大古25‐45）
３
]平勝寶四年六月十五日
（続修後集43）
４
合玖種
丁香〈「直七斤」〉薫衣香〈「直七斤」〉青木香〈「直三斤」〉薫陸香〈「直[
牛黄〈「直二斤」〉蘇芳〈「直五十斤」〉五六寸鏡〈「直廿斤」〉牙梳〈「直三斤」〉
牙笄子〈「直二斤」〉
以 前 物 等 價 綿 「壹 伯 斤」
天平勝寶四年六月十六日
（続修後集43・大古3‐579・大古25‐45）
５
從四位下小槻山君廣虫解 申應念物賈事
合□種 直絹[]匹 []斤 綿參伯斤
鉢貳口 大盤貳口 小□ 鋺 金筯肆枚
[ ] [
[
以 前 念 物 并 價 等 顯 注 如 件 謹 解
天平勝寶四年六月十七日
（尊・大古25‐47）
６
天平勝寶四年六月十七日事業從七位上置始連「五百足」
（尊・大古25‐48）
７
念物五六寸鏡 丁香 [
蓽撥 木槵子 [ ] 如意 □拂
蘇芳 紫根
直綿貳伯屯
右 件 念 物 并 直 數 如 前 以 解
天平勝寶四年六月廿日
（尊・大古25‐48）
８
□□□□□中東絁二□ 糸百斤綿五十□
鹿射香五□ 沈香五斤 薫陸五斤 丁香[
青木香五斤 董香五斤 蘇芳廿斤 𩋖氈[
□鋺十二具 白銅火爐一口〈小〉 髪刺一具 呵䔧勒卌[
太黄二斤 人參十斤 甘草四斤 石二斤
蜜汁五升 桂心一斤 多良四 宍縦容
遠志一斤
合廿一種
天平勝寶四年六月廿一日〈左大舎人犬□小足〉
（続修後集43・大古3‐579）
９
合貳拾參種
鏡參面〈徑六寸已下五寸已上〉 迊羅五重鋺參帖〈口徑五寸已下〉
白銅五重鋺貳帖〈口徑五寸已下〉 白銅盤壹拾伍口〈口徑五六寸〉
□羅盤伍口〈口徑五六寸〉 白銅匙箸貳具
白銅香爐壹具 白銅錫杖壹箇
黄金伍兩 麝香參臍
朱沙壹斤 同黄壹斤
薫陸壹拾伍斤 人參肆斤
呵莉勒貳伯顆 松子壹斛伍㪷
(㪷カ)
木槵子壹仟貳伯玖拾陸顆 蜜汁貳□
牙鏤梳壹拾箇 牙鏤■（竹+早）子貳拾箇
口脂壹箇〈長一尺〉 鐵精一斤
蘇芳貳伯肆拾斤
儲價物綿伍伯斤 絲參拾斤
以 前 可 買 新 羅 物 并 儲 價 等 如 前 謹 解
天平勝寶四年六月廿三日
（尊・大古25‐48）
１０
合壹拾肆種
鋺五疂〈五重〉 鍮石香爐□〈□〉 鏡[ ]〈[ ]寸〉 [ ]□〈□[ 〉
麝香 蘇芳 呵𥟦□ 丁字香
帶二條 烟子 朱沙 銅黄
𨤽箸二具 雜香
價直物 絹壹拾參匹〈一匹白 十二匹赤〉 糸壹伯貳拾斤 綿壹伯□
拾斤
以 前 應 買 物 色 并 價 直 物 等 數 申 送 如 件 以 □
天平勝寶四年□□□□日「文奉飯高嶋□」
「以六月廿四日勘定」
（尊・大古25‐50）
１１
[ ]申請應買物事
「價物」 [ ]拾匹 綿陸伯伍拾斤
]□ □[
牙笏 沈□ 丁香 青木香
薫陸香 □[ 零陵香 甘松香
藿香 安□香 龍腦香 裛衣香
薫衣香 □草 桂心 大黄
人參 呵莉勒 蜜汁 朱沙
胡粉 黄丹 同黄 烟子
雌黄 畢拔 臘蜜 松子
緋氈 花氈 □裁氈 黑作鞍具
韉面 勒鞦 白銅香爐 五重鋺〈大〉
箸匕 五四寸鏡 燭臺 蘇芳
熟布
天平勝寶四年六月廿四日事業從八位上日置酒持
（続修後集43・大古3‐578、580、581）
１２
念物黄金
價絲壹伯斤 綿[ ]
天平勝寶四年六月廿六日從□位上行少書吏丹比連[
正六位上行家令大田臣「廣人」 正六位下行□從秦伊美[
（屏風＊2）
１３
]□ 絁十匹 糸廿斤
]□ □沙 同黄 烟子 沈[
太黄 [ ] 八寸鏡 蘇芳
天平勝寶[ ]月[
散位寮□[
（続修後集43・大古3‐581）
１４
鼓吹司正外從五位下大右[
合八種 直綿四百斤
鏡五面
麝香
烟子
金青
雜香
朱沙
同黄
蘇芳
右件念物具録□□□□
天平勝□□□□□[
（尊・大古25‐51）
１５
[ ] □沙 金青
同黄 烟子 花鏡
右 念 物 □ 價 直 物 申 送 如 前
（続修後集43・大古25‐51）
１６
五四寸□
[ ]十斤 烟[
桂心十斤
芒消十[
白銅水瓶一口
薫陸[
（続修後集43・大古25‐46）
１７
]□伊勢連大津解
（屏風）
１８
價[
（同上）
１９
價糸[
（同上）
２０
白青
□黄
（同上）
２１
合拾貳種
（続々修47‐4）
２２
白銅香爐一口 水瓶二口〈白銅〉
（続々修47‐4・大古25‐145）
２３
□綿壹仟斤
（続々修47‐4）
２４
]鋺 白銅[
（同上）
２５
千皮一領[
（同上）
２６
]論一巻
]□[
（続修後集43）
２７
]一[
麻紙
（屏風）
*1同著『正倉院文書と木簡の研究』塙書房 1977年 所収（初出は1974年）。
これは、天平勝宝四年六月の新羅物購入に関する一連の文書であり、現在はその大部分が正倉院（『大日本古文書』巻三・二五所収）・尊経閣文庫（「尊経閣古文書纂」三所収）に蔵されている。東野氏は、これと類似の特徴を持つ文書（反故文書）が鳥毛立女屏風の下貼として再利用されていること、正倉院・尊経閣文庫の文書が何かの下貼となっていたらしい特徴を有していることなどから、正倉院・尊経閣文庫の文書がもともとは鳥毛立女の下貼りとして利用されていたと結論づけられた。ここでは東野説に従って、同氏が翻刻・断簡整理を行った「鳥毛立女屏風下貼文書釈文」をテキストとする。なお、出典に関しては『大日本古文書』（以下 大古）・「尊経閣古文書纂」（以下 尊）・鳥毛立女屏風下貼文書（以下 屏風）と表現する。また、番号も同テキストによる。
なお、「」内の文字は追筆、〈〉内の文字は割書。欠損文字のうち字数が確認できない場合は［ 又は ］、推定できる場合は[ ]でおおよその長さを示した。
*2 1989年の鳥毛立女屏風修理に伴って行われた裏面調査において判別された文字が写真と共に、杉本一樹「鳥毛立女屏風本紙裏面の調査」（『正倉院年報』12 宮内庁正倉院事務所 1990年）に掲載されている。東野氏が不明とした部分についても判読がなされているので、以下にその釈文を紹介する。
念物黄金
價絲壹伯■（糸＋勾） 綿□伯□拾斤
天平勝寶四年六月廿六日從八位上行少書吏丹比連
正六位上行家令大田臣「廣人」 正六位下行家從秦伊美吉