専修大学社会知性開発研究センター/東アジア世界史研究センターは、平成19年度文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業
「古代東アジア世界史と留学生」が採択されたのを受け2007年に発足しました。
研究目的
これまでの東アジア世界を対象とした歴史研究プロジェクトは、壮大なテーマを掲げて取り組んできましたが、本プロジェクトは、追求すべきテーマを絞り込み、古代東アジア世界を流動した人々との対比を視野に入れた上で、東アジアの国々が、様々な文化・文物の流入を期待し、それを直接に担った「留学生」に焦点を絞り、テーマを設定しました。
先進文明国に位置する中国への留学生は、文化・文物を「移植」・「媒介」した存在でありますが、その果たした歴史的な意義は、充分に明らかにされていません。
本プロジェクトは、本学大学院が発見に大きな役割を果たした「遣唐使井真成墓誌」で培われました中国西北大学大学院との共同研究(その成果は『遣唐使の見た中国と日本』朝日新聞社、2005年、として刊行)を基礎として、1.秦・漢代から隋・唐代の中国への東アジアからの留学生の全貌を明らかにした上で、2.古代の東アジアの国々への影響を解明するものであります。これは、文物の「媒介者」の歴史的意義を問う試みであり、グローバル化した現代において見失われがちな「媒介者」の正当な位置づけとその果たしている重要性を確認させる点において、現代的な意義を有する研究といえます。また、研究計画を遂行する中で、日本人に限定しないで、東アジア世界の若手研究者の育成を目的の一つにおいていることも、本プロジェクトの特徴となっています。
研究計画・研究方法
本プロジェクトは、5年間の期限をもつプロジェクトであることから、効率的な研究体制を組むことを考えております。そのために、本プロジェクトの研究は、二つの作業を柱としました。
一つは、最も基礎的な作業である「留学生」関係資料の1.所在調査、2.収集・整理作業、3.収集データのデータベース化です。
いま一つは、@遣唐使井真成墓誌関係史資料の研究、A日本・中国・朝鮮の「留学生」史・資料についての研究、B政治・制度・文化・思想の接触と受容からみた東アジア世界の研究、C物の移動からみた東アジア世界の研究の4つのテーマからなる本プロジェクトの課題を研究する作業です。
前者はプロジェクト・リーダーが統括し、事務局長の下で研究者・助手からアルバイトの院生を含む編成で1〜3をその量的・質的作業量と年次を考慮し、分担して行ないます。
後者は、チームリーダーが調査・研究チームを総括し、年度ごとの調査・研究を行います。プロジェクトに参加する研究員は、複数の調査・研究チームに属し、プロジェクト・リーダーは、各調査・研究チームの研究を統括し、事務局がそれを補佐します。
各調査・研究チームは、テーマの課題に即し、プロジェクトの課題に迫るために、日本に未紹介の史資料の調査・整理を行なう中国への調査を年次計画にもとづき、助手にも機会を与えながら実施します。
また、二人の研究者がプロジェクトに参加している中国西北大学との共同研究も実施します(なお、プロジェクトを遂行する中で中国・韓国の研究者の参画を想定しております)。