専修大学人文科学研究所は本学における人文科学研究を本分とする唯一の研究機関として発足し、現在に至るまで大きな役割を果たしてきました。この役割を押し進めていくことが私、そして運営委員諸兄姉の基本的な役目であると考えております。私は長い間本研究所の運営委員として勤めて参りました。したがって、この仕事を進めていく上での制約も多々あることは十分に承知しています。こうした状況を引き受けつつ、前進するための一歩として、何をするか。これが、これまでの歴代の所長に求められていたことではないかと思われます。

 ところで、今年度から数年は、その大枠は決まっているのではないかと考えています。
 本研究所は、2017年に創立50周年の節目を迎えます。かつて創立40周年に際しては、本研究所は「旅―人間はどんな旅をしてきたかー」をテーマとして、文学・歴史学・地理学・社会学から経済学などの周辺学を加えた講演会が企画され、一部は単行本として上梓されました。また、40周年記念共同研究を行って、『移動と定住2010―グローバリゼーションの現在―』のテーマで単行本を刊行いたしました(『移動と定住の文化誌-人はなぜ移動するのか』)。
 これに比して、創立50周年に際してはどのようなことを実際に研究事業として考えていくのか。具体的な企画はまず運営委員会において検討されて、追々皆様にも案として提示されていくことでしょう。それに関する活発な議論こそが本研究所を支え、発展させていくことに直結することであると確信し、この議論の場への皆様の参加を大いに期待するところでございます。
 人文科学研究所は、専任教員を中心に、研究参与・客員所員そして大学院修了者から成る特別研究員など200名を越える所員によって構成されている本学における大きな機関です。私は所長として、微力ながら、創立50周年記念事業に関する議論の場をまず活発にするように邁進する所存でございます。皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

                                        伊吹克己