専修大学
人文科学研究所創立40周年記念行事

専修大学人文科学研究所は今年度、創立40周年を迎えることになりました。
以下のような趣意に基づき、『旅』というテーマで2007年度から2009年度にかけて連続公開講座を開催します。
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趣意書
人文科学はその淵源を14世紀イタリアに求めることができる。当時、古典古代(ローマ、ギリシア)の研究は人文学研究 (Studia humanitatis) と呼ばれ、研究者は人文主義者(Humanista)と呼ばれた。その基本は、中世のキリスト教倫理やスコラ学的な考え方から自由にものごとを考えていこうとする態度にあった。自由が彼らの生活の基本でもあった。一箇所に居を構え、机にしがみついて学問をするという発想は彼らにはなかった。
人文主義者の系譜はフランチェスコ・ペトラルカに始まると言われる。亡命者の息子として生まれた彼は各地を旅行しながら知識人としての業績を積んでいった。以後、アルベルティ、マキャベッリ、ブルーノあるいは当時の人々に最高の人文主義者と認められたエラスムスなど、著名な人文主義者の多くは旅の中で思索と知識とを深めていった。今日、膨大な知識に取り囲まれた人文科学の研究者たちにとって、旅は時として矛盾するライフスタイルのように見えるが、旅こそは人文科学の原点であった。マルコ・ポーロやイブン・バツータのような「大旅行家」の生涯に旅を見るだけではなく、その系譜で見ていくと人文科学研究のさまざまな分野が見えてくる。
まず、《漂白》という系譜には李白や杜甫などの中国唐代の詩人たちがいる。ここからさまざまな地域と時代の放浪の詩人たちがつらなるのが見えてくる。大航海時代のコロンブスやマゼランは《探検》という旅にくくることができるが、これは近代の植民地の問題に結びつく。《留学》の系譜を我が国で見るなら、遣唐使がまずあげられるだろう。身近なところでは、夏目漱石を始めとする明治期の留学生たちはヨーロッパの合理思想を持ち込み、日本の思想風土に深刻な影響を与えた。《亡命》はいつの時代にも存在したが、近年の例で見るなら、ナチの台頭に際してアメリカに向かったトーマス・マンやアドルノ、あるいはシェーンベルクなどの文化人は第2次大戦後の文化状況に決定的な影響を及ぼした。さらには《逃避》という旅の形もある。ゲーテの『イタリア紀行』はその一つの成果であろう。ここまでくると、さまざまな旅の形が混交している例が見えてくる。三蔵法師の旅は《留学》であるが、当時の状況を考えるならそれは《探検》あるいは《冒険》と表現した方がよい。西行の旅には《漂白》が当てはまるかもしれないが、やはり《隠遁》という言葉がふさわしい。旅に生涯を送った芭蕉からは、その著作を見ると《遊び》という一面も見えてくるように思われる。こうして、旅は人文科学研究の全方面を見わたせる視点を私たちに与えてくれるのである。
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2009年度日程第6回公開講座(10月24日)
@「松本清張と旅の魅力」権田萬治(文芸評論家,ミステリー資料館館長)
第7回(12月19日)
@「シェイクスピア演劇に見られる旅―『冬物語』における帰郷」末廣 幹 氏(専修大学文学部教授)
A「隠れキリシタンと北欧初期キリスト教―祖先や父祖をめぐる信仰と崇敬」中里 巧 氏(東洋大学文学部教授)
2008年度日程第3回公開講座(4月26日)
@「李白と杜甫の旅─二つの極端なたびの姿─」松原 朗(文学部教授)
A「中世的世界を求めて─薩南の喜界島からハーメルンへ─」亀井明徳(文学部教授)
第4回(5月10日)
@「自然に出会う旅─人は自然から何を学んできたか─」(高岡貞夫 文学部教授)
A 「近代日本の旅と観光─JTBを中心に」(永江雅和 経済学部教授)
第5回(6月7日)
@「世界地図を巡る地理思想の旅」(松尾容孝 文学部教授)
A「産業観光の旅の流行─物つくりの現場が名所となる日─」(青木美智男 元文学部教授)
2007年度日程
第1回 日時:11月10日(土)午後3時
場所:神田校舎1号館302教室
内容:「骨送使の旅−古代貴族の湯治と死−」矢野建一(文学部教授)
「出羽路の『芭蕉』-想定外の空間−」小山利彦(文学部教授)
第2回 日時:3月1日(土)午後3時
場所:神田校舎7号館731教室
内容:「遠藤周作の旅 フランス・長崎・インド」柘植光彦(文学部教授)
「ロシア兵の墓をたずねる旅」大谷 正(法学部教授)
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