専修大学
 
 
  ご挨拶
 

 社会科学において絶対的解を求めることはできないと、私個人は考えています。社会は様々な主体が各の複雑な思惑で、他者との結びつきのなかで行動することをとおして成り立っているからです。まさに今私がこうしてご挨拶していることがそうであるように、本人すら予想もしなかった行動をとることもしばしばあるわけです。
絶対的解が求められないということは、種々の関係性の中にそれぞれ解が見いだされることになるわけで、各研究者はその中で正しいと考えられる解を見出していかなければなりません。しかし、その解が正しいか、否かは他者が判断するものとなると考えられます。そうだとすれば社会科学を研究する者は、自分が分析する立場、視角ならびに条件等を明確に示し、そこから導き出される結論をわかりやすく叙述し、そのうえで他者による検討、検証を待ち、他者との研究交流の中で分析・叙述を精緻化していかなければならないと考えています。社会科学においても、研究交流の場として出稽古、他流試合が重要になると考えられます。
 その点で専大社研は学部を横断して構成されている点で、所内だけでも学際的研究が実現され、これまで数多く実施してきた学外での合同研究会、シンポジウム、実態調査等によって広く研究交流の場をつくってきました。国内はいうに及ばず、海外においても、韓国、中国、インドシナ諸国で数々の研究交流、調査を実現し、その成果を月報、年報、叢書の刊行を通して発表してきました。一昨年度の百舌鳥・古市古墳群の調査と昨年度の釜山の鳳凰台(古代遺跡)、福泉洞ならびに対馬の朝鮮式山城の調査は一見すると考古学の研究分野かもしれません。しかしこれらは歴とした5・6世紀の東アジア情勢の分析であり、現在の日中韓関係の分析にも参考になるところが多いと考えられます。
 専大社研はこれまで以上に研究交流の場を空間だけでなく、研究領域においても広げていき、社会に対して意欲的に問題を提起していきたいと考えております。私たちの研究成果に対して、皆様、忌憚のないご批判、ご教示を賜りますようお願いいたします。

2017年4月1日
専修大学社会科学研究所 第17代所長 宮嵜 晃臣





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