創立130年と、2010年4月に人間科学部(心理学科・社会学科)を開設、文学部を人文・ジャーナーナリズム学科などからなる7学科に改組することを記念し、シンポジウム「生きづらさのゆくえ」を11月6日、神田キャンパスで開催した。約500人が参加し、メディアで鋭い意見を発信し続ける香山リカさん(精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授)と上野千鶴子さん(社会学者・東京大学大学院教授)の講演に聴き入った。
本学文学部で非常勤講師としてサブカルチャー論を講義した経験もある香山さんは「生きるのがしんどい、と言う若者たちについて」をテーマに、傷つきやすい一方で攻撃的な面もある現代の若者たちについて論じた。彼らは、「低い自己肯定感と高い自己実現欲求を併せ持っている」とし、「自分の可能性を100%発揮しなければ、人生の意味がない」と考えており、このような若者が増えている現実について、「市場万能主義、グローバル経済といった現代社会が影響しているのではないか」と話した。
上野さんは「ネオリべ改革がもたらしたもの」をテーマに講演。社会で起こるさまざまな問題を心理学用語で読み解くことが流行している中、心理学では、生きづらさは「心」からくるとしているが、社会学では、心の外側である「社会」から説明しようとしていると主張した。90年代から始まったネオリべ(ネオリベラリズム=新自由主義)の結果として、社会的な格差が拡大してきたと指摘。社会改革を通じて、人間の安全保障をする社会にしていかなければならないと話した。
シンポジウムは、香山さん、上野さんに加えて、本学の大庭健文学部教授(哲学・倫理学)、嶋根克己文学部教授(社会学・人間科学部教授就任予定)をパネリストに、下斗米淳文学部教授(社会心理学・人間科学部教授就任予定)が進行役となり、さまざまな世代が生きづらさを感じている現代社会は「豊かになったから生きづらいのか、豊かさゆえに生きづらいのか」を「心」と「社会」の両面から考察した。